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Pandora(改稿版)  作者: あすか@お休み中
第2章:反逆の少女たち
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超人抹殺兵器

「ねぇ、ねぇ。今日どこか寄ってかない?」

「そうねぇ」

「部活、急ごうぜ」


 生徒たちの明るい声が響く放課後の廊下を、聡史たちは歩いていた。


「宿題、多過ぎじゃね?」


 恨めしげな声を上げたのは柳だった。


「大丈夫だよ。柳君だって、さくさくっとできるって」


 そう言った根拠は無さそうだが、原田は明るい笑みを浮かべ、柳の背中をばんばんと叩いた。明るさと勢いだけを見ていたら、できそうな気がしてしまうと聡志は思いながら、原田に言った。


「原田。お前が教えてやったら?」

「えっ? 私が? どこでよ」

「柳ん家に決まってんじゃん」

「おお。俺はそれ大賛成だ。

 俺、女の子を部屋に入れるの初めてだし」

「やだよ。襲われたら、どうするのよ」

「だったら、俺も一緒に行こうか」

「えーっ。棚橋君と柳君?

 結局、それじゃあ、襲われないって、保証になんないわよ」

「じゃあ、私も行こうかな。

 中島君もどう?」


 聡史が出したほとんど冗談の提案が、鳥居から聡史に戻って来た。


「いや。俺は遠慮しとくよ」


 少し先の廊下の窓にもたれてスマホを見ている岡田兄妹の事が気になっていた聡志は、ほとんど反射的に拒否の言葉を口にした。

 岡田兄の手にあるスマホを覗き込む岡田妹の姿に、聡志はその視線の先のスマホに映し出されている情報が気になっていた。


「岡田先輩、何を見てるんだろ?」


 原田も聡史と同じ事を思ったらしく、そう言い終えた時には、原田は駆け出していた。


「何なんですか?」


 岡田兄妹の閉ざされた世界。そこに遠慮なく、割り込んで行った原田は、岡田兄がスマホを持っている右手の手首辺りを掴み、自分の視線の位置にスマホ画面が来るよう、ぐいっと引き寄せた。

 原田はそこに視線を落とした直後に、驚いたような顔つきで、目を見開いた。

 原田の反応がますます聡史の興味をそそり、速足で近づくと原田が見ている岡田兄のスマホ画面に目を向けた。

 そこには一枚の画像と、細かな文字で記された本文、そして大きな見出しのタイトルが付されたどこかのホームページが表示されていた。

 画像は少し太めのペン形状のもので、そのボディにはいくつかのボタンが設けられていた。文字は目を近づけなければ読めないが、タイトルははっきりと読めた。


「超人抹殺兵器 PLBTX-AZ」


 やがて柳たちも加わり、岡田兄に質問した。


「何なんですか、これ?」


 岡田兄からすれば、柳は顔を見た事があるかどうかくらいの仲と言う事もあって、鬱陶しそうな顔で答えた。


「超人たちを抹殺する兵器らしい」

「マジですか?」

「マジで?」


 鳥居と棚橋の声が重なった。


「俺たちは超人たちに襲われた事があってね。

 時間があったので、ちょっと超人の事を調べてたら、こんなページを見つけたんだ」

「えっ。そうなんですか?」

「よく無事でしたですね?

 あ、理保ちゃんの怪我ってそれと関係があるんですか?」


 鳥居の質問には答えず、聡志は妹に聞いた。


「この子誰?」

「鳥居七海ちゃん。私のクラスの女の子」


 岡田妹の事をほとんど口を開かない謎の少女と思っていただけに、その普通の反応に、鳥居が意外な顔をした。


「怪我の事は、君には関係ないかな」


 鳥居の質問の答えに、聡志としても興味があったが、岡田兄がやんわりと拒否したため、その答えは得られなかった。


「じゃあ、そのページは、どうやって検索したんですか?」

「興味あるの?」


 岡田兄がちょっと怪訝な顔つきで、鳥居に目を向けた。


「だ、だ、だってさぁ。あの超人を倒すんだよ。

 もしかしたらさ、最近の事件にも使われたのかも知れないじゃんか。

 だとしたら、本物だよね。

 私、のどかちゃんたち好きじゃないしぃ」

「それって、これで、柏木たちを襲うって事か?」

「そ、そ、そう言う訳じゃないよ」


 鳥居がなぜだかどもりながら答えた時、背後から柏木が声をかけてきた。


「あら、賑やかじゃない」

「賑やかだったら、悪いかしら」


 柏木に真っ先に反応したのは、鳥居だった。

 鳥居の言葉に何も返さず、棚橋に視線を向けていた柏木が言った。


「棚橋君。最近、この子たちと仲がいいんだね」

「行こう」


 そう言いながら、鳥居が棚橋の腕を引っ張ったので、棚橋は柏木に返事をする機会を失い、何も返さないまま、その場を離れて行った。二人がその場を後にし始めると、聡志たちも立ち去り、柏木と岡田兄妹だけになった。


「ちょっと、早かったかな?」


 首を少し傾げながら、柏木が言った。


「いや、そんな事はない」

「で、何をみんな集まっていたの?」

「ちょっとね。待っている間に見つけたHPの記事に興味があったみたい」

「どんな?」

「柏木さんには刺激が強すぎだ」


 岡田兄はそう言うと、にこりと柏木に微笑んだ。

 刺激の強いHPって、エロいサイトなの?

 一瞬、そんな事を思い浮かべ、顔を赤らめそうな気持を振り払おうと、柏木がくるくると数回顔を左右に振り回すと、ポニーテールの髪が揺れて、甘い香りを振りまいた。

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