第9話 ブルースの母親
ブルースについて行くと凄く大きくて人のたくさんいる建物の中に入った。
「うわー!ひろーい!」
「デパートなんて赤ずきんの世界にはないよな」
ブルースはそう言うときょろきょろと辺りを見回す。
するとすれ違う人達の中で1人の女性がブルースの肩をたたいた。
「こんなところで会うなんて凄い偶然じゃない?」
女性がにこりと微笑んで言う。
するとブルースは女性の肩を振り払い、後ずさりする。
「あら、ひどい」
「誰?」
私が言うとブルースは私を睨みつける。
それと同時に女性が嬉しそうに笑った。。
「えーと、この方は誰?」。
女性はニヤリと笑うと、ブルースの方を見た。
ブルースも女性をちらりと見ると、大きくため息をついて言った。
「俺の、母親」
「え!?」
じゃあ、さっき言ってた親!?
じぃっとよく見るとそういえば雰囲気が似てるかもしれない。
「まったく、1人暮らしして何してるのかと思えば・・・」
「か、彼女じゃねぇ!」
「あらぁ こんなところに2人きりで来てつきあってないだなんて凄い嘘をつくのね?」
お母さんかぁ・・・
若いなぁ ブルースって何歳だっけ?
20歳として〜20歳で産んだとして・・・40歳!?
若い・・・見えないなぁ
「コイツは今日、うちに来た赤ずきんで・・・」
「赤ずきん?」
母親が聞き返すと、ブルースが『しまった』って感じの顔をする。
それからすまなさそうに私の顔をチラリと見た。
別に赤ずきんってことバレちゃいけないわけじゃないからいいのに。
「もしかして、童話の赤ずきん?」
「はい。」
私が素直に答えると母親の顔がぱぁっと明るくなる。
それからブルースを無視して私の両肩を強くつかんだ。
「まぁ!凄いわぁ!!すっごい偶然だわぁ!」
「え?」
「私はね、人魚姫だったのよ〜」
ブルースは母親の発言を聞いてぽかんと口を開けていた。
にんぎょひめ?
「私はね〜童話の人魚姫の人魚姫を演じてたのよ〜そしたらね、今の旦那・・・つまりブルースのお父さんが助けてくれたの」
「えー!赤ずきん以外にもあったんですかー!」
「私も今知ったわ!!」
凄い凄い!!
私が感動しているのに大して、ブルースは『信じられない』という感じだった。
「嘘だろ・・・母さんがそういうことって・・・」
「あらぁ〜赤ずきんちゃん、頑張ってね!貴方がブルースと結婚したら面白い家族関係だわー!」
「な、結婚って・・・!」
顔を赤くして言うブルースに、母親はにこやかに言う。
「あの世界から呼び出したからにはきぃっちり責任とりなさいよ?ブルース。あの世界はね 本当にこわいんだから」
母親はブルースにそういうとブルースの肩をぽんと優しくたたいた。