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第8話 ブルースとテニスと職業

「そんなことより!ブルースはテニス、しないの?」


なんだか暗い気持ちになってきたので話題を変えようとその話をすると、ブルースの眉間にしわがよった。


「なんでその話になんだよ・・・」

「だってさ、テニス好きなんでしょ?どんなのか知らないけどテニスしてるブルース、見たい!」


ブルースは急に顔を赤くした。


それから急に早歩きになって私の前を歩き出す。


「もうやめたんだからいいんだよ!」

「えぇ〜!?じゃあ今は何してるの!?」

「何・・・って・・・」


途端にブルースは足を止めた。


ブルースに追いつこうと軽く走っていた私は顔面をブルースの背中にぶつけてしまった。


「あ、悪い・・・」

「へ、平気!」

「・・・別に今は何もしてねぇよ」

「嘘だ!こんな凄い世界にいるのに何もしてないわけないじゃん!」


私が言うとブルースは不愉快そうに笑った。


私も負けじとむっとした表情をする。


「別に・・・普通に生活してるだけだろ?適当に仕事して給料もらって飯食って寝てんだよ」

「仕事?何してるの?」

「なんだっていいだろ!」

「よくないよ!一緒に住むのにさ!」


私が言うと、ブルースは大きくため息をついた。


それから周りに聞こえないような小さな声でつぶやく。


私が『は!?』と大きな声で聞き返すと短く唸ってもう1度ぼそりとつぶやいた。


「・・・ファンタジーの・・・小説家」

「ええぇえぇぇぇ!!?」

「似合わねぇだろ!?だから言いたくないんだよ!」

「似合う似合わないはわかんないけど、だったらどうして私の話、最初信じてくれなかったの!?」


私が言うとブルースはまた眉間にしわを寄せる。


そのうちいつも眉間にしわがあるようなおじいさんになるんじゃないだろうか。


「あのな、それを仕事にしてるからすぐに信じるって話じゃねぇの。実際は半信半疑だよ。非科学的なことだし・・・自分の目で実際に見た世界じゃねぇからな」

「・・・ふぅん」


ブルースは急にきょろきょろと辺りを見回す。


「何?」

「いや・・・なんでもない」


私が首をかしげるとブルースは私の腕をつかんでまた早歩きになった。


早くここから逃げ出したいみたいだった。



やっぱりいいよなぁ 簡単に逃げ出せて。


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