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最終話 宝物の物語。

トントントントン・・・


規則正しい包丁の音。


「・・・んー」


重たいまぶたをなんとか持ち上げて、起き上がる。


ぼんやりと台所の方を見るとマゼンダが料理をしていた。


「・・・ウィンナー炒め?」

「正解!今起こそうとしたのに。」


そう言ってマゼンダはにっこりと笑って振り返った。


あれから数ヶ月、マゼンダは料理やこっちの世界の生活に慣れてすっかり専業主婦みたいになっていた。


そのおかげか俺も規則正しい生活を送るようになった。


朝起きて夜に寝て。


3食ちゃんと料理したものを食べて。


なんとなく体調もよくなった気がする。


俺は朝特有のだるい体を起こして椅子に座った。


マゼンダがご飯やら味噌汁やらを机に置く。


「あ、そうだ。さっきルファさんから電話があってね!」

「ん?あぁ、そっか今日締め切りなんだった。」

「3時までに仕上がらないようなら5時にお泊りセット持っていくからそのつもりでよろしく!だって。」


俺は苦笑して牛乳を飲んだ。


「ちゃんと締め切りまでにやらなきゃだめだよー?ルファさんに迷惑かけちゃだめだよ!」

「いや・・・今まで締め切りギリギリだったことなんてなかったんだけど・・・今回はちょっと」


俺が言うと、マゼンダが首を傾げる。


「今回の小説、マゼンダがモデルの主人公なんだよ」

「・・・へ?」

「ルファがどうしてもかいてくれって。売れるって保証する!とか力説するからさ。仕方なく。」

「え?じゃあ、私のことかくの?」


マゼンダが自分のほうを指差して言う。


なんとなく恥ずかしくて本人に許可を取ってなかったんだ。


俺は小さく頷いて味噌汁の小さな豆腐を箸で2つに切った。


「すごーい!嬉しい!!私、ブルースの小説大好きだから凄い嬉しい!!」


マゼンダはきゃあきゃあ言って笑う。


予想外の反応に、俺はもう少しで味噌汁をこぼすところだった。


マゼンダのことならまだしも、やっぱり自分とのことも書かなきゃいけない。


そのせいかなんだか恥ずかしくてかくのをためらってしまい、執筆の進みが悪いんだ。


ラストがどうも決まらない。


別に全部実話にすることないんだから、バッドエンドにしたっていいわけだ。


どうしたものか・・・


「ねぇブルース!」

「うん?」

「私もね、小説かきたいの!」

「え?」

「ブルースみたいな小説かいてみたいの。初めにかいたのはブルースにだけ読ませてあげたい。」


そう言ってマゼンダは照れ隠しに笑って味噌汁を飲んだ。


俺は笑って「ありがとう」と言い、急いでパソコンの電源を入れた。


時々俺は急にパソコンの電源を入れて小説を書き始める。


マゼンダはそれを知っているから、そんな俺の後姿を見てくすくすと笑った。




そして俺はすぐにメールでルファに原稿を送った。


本はすぐに書店に並び、今までの本よりも長い期間平積みされた。


長い長い 本当はまだ続きのある、ハッピーエンドの物語。


童話の世界と現実の世界と その世界の2つのスイッチの物語。


モノクロな童話の世界の赤ずきんの女の子と色鮮やかな現実の世界のモノクロの男の物語。






2つの世界を結ぶ物語だ。



俺達の宝物だ。




後半、1日に何話も連続で投稿するようになり本当にすみませんでした。

長々とした小説となってしまいましたが、楽しんでいただけたでしょうか?

というより、こんな小説に最後までおつきあいくださった方がいたでしょうか?

ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

この話は終わりですが、他の小説をしようと思っていますのでよろしくお願いします。


シリーズにしてる短編小説やファンフィクションの小説もよろしくおねがいします!


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