第4話 現実の世界と男
だけどそんなの自分じゃどうしようもないことだし、童話を読むのは小さな子供ばっかりなはず。
だから私のことを『かわいそう』と思ったとしても『助けたい』なんて本気で考える子なんていないだろう。
第一、私を見て『かわいそう』だなんて思うだろうか?
この頃の童話を読む歳の子供もませてるかもしれないし、『自業自得だ』なんて笑うかもしれない
そう考えると道のりは長そうだな、と思いため息が漏れる。
だけど
長い道のりを歩いてるうちに下を向くと、前を見るのを忘れてる。
いや、忘れてるじゃないし気づかないでもない。
とにかく道のりのゴールは突然目の前に現れるんだ。
ふと気がつけばいつものように私は木でできた小屋の前にいた。
そしてまた ドアノブの手をかける。
ドアノブを回そうとした瞬間、視界がゆがんだ。
気分が悪い
くらっとした瞬間、目の前の情景が違った。
目の前には茶色い木ではなくつるりとしたグレーの扉だった。
ガチャッ
ドアを開けるとそこには見知らない男がたっていた。
「誰だ」
男はギロリと私を睨むと立ち上がった。
そうしてようやく私は何が起きたのか理解した。
あの話は本当だったんだ!!!
スイッチが押されたんだ!!
ぼーっとしてる間に男は私の目の前にいて、ドアをおさえつけていた。
「うわ!ちょ、待った!!」
「待ても何もないだろ 不審者」
なんで私が不審者なのよ!!
私は慌ててドアを押さえた。
「待ってよ!話ぐらい聞いたっていいでしょ!?」
どうにか説得しないといけない!
確かブロント(狼)が鬼ごっこするんでしょ!?
1人でいたら絶対につかまっちゃうよ
「話・・・ねぇ」
男がまたギロリと私を睨みつけた。
私がカエルで男がヘビみたいに私はカチンと固まっていた。
「まぁ、別に話ぐらい聞いてもいいかな。それから追い出すのも簡単そうだし」
男は私がブロントにするように鼻で笑った。
それから私の腕をつかむと家の中へひっぱった。
「入り口につったってるな。迷惑だろ」
後ろを見ると道幅が狭いせいで女性が私のせいで通れずにいた。
「こんなに道が狭いのも迷惑ね」
「馬鹿 アパートの道を広くしてどうすんだよ」
「あぱぁと?」
私が言うと、男はため息をついて私の腕を強くひっぱった。
「だから入れって言ってんだろ!」
「ご、ごめんなさい!」
慌てて謝り、私は男の家の中に入った。
さっきはかなり慌てていて気づかなかったけど、家の中はシンプルすぎた。
必要最低限の家具に白い壁。
なんだかそっけなくてこの人の趣味とかが見えない。
片付いてる辺りはまぁ、綺麗好きなんじゃないかな?
1つだけあった。
勉強机の上に大きな何か機械のようなものがあった。
「ねぇ、これは何?」
「パソコンだよ。知らないの?」
「うん。何につかうの?」
「他の奴はネットに使うけど俺は文章うつのに使ってる。」
「ねっと?」
「もういいだろ 座れよ」
男はイラついた様子で座布団をどこからか出すと床に落として指差した。
私が大人しく座ると男は座らずに壁によりかかってまた私を睨みつけた。
「話をするんだろ?とっとと話せよ」
私はちらりと男を見上げた後、話始めた。
男はじっと私を睨んで聞いていた。
私が話し終わると男は私を追い出さず、床にそのまま座り込んだ。
「だから俺にかくまってくれと?」
「は、はい・・・」
「ふぅん・・・まぁ、嘘言ってるようには見えないけど人間なんてわかんないからな。第一信じられる内容じゃないな」
「でっでも・・・」
私は思わずじわりと涙を浮かべた。
でも ここにいさせてもらえないと私はまたあの世界に戻ってしまう
そんなの嫌だ
せめてもっとこの世界を見たい
「ばっ ばか!泣くなよ!」
男は急に慌てたように立ち上がった。
「わかった!置いてやる!そのかわりに!」
「かわりに?」
私が聞いた瞬間、『ピンポーン』とどこからか音がした。
男は舌打ちをすると私に隠れるよう合図して玄関へ向かった。
私は慌てて他の扉を開けて中に入った。
そこには見慣れない大きなトイレがあった。
しゃがむやつとは違うなぁ?
そう思って眺めていると大きな声な聞きなれた声が聞こえた。
「赤ずきん、ここにいんだろ?」
狼だ!!!
私は慌ててドアに耳を押し当てた。