第34話 声をあげて泣く
「あー・・・口の中が甘い・・・」
帰り道、ぼそりと言って咳き込んだ。
コーヒーゼリーを食べ終わった後、ルファが勝手に注文しだしてチョコアイスだとか色々食べてしまった。
無駄な出費を!!
それにしてもあのチョコアイスは結構美味しかったな・・・今度マゼンダと行くか。
家の鍵を出し、ドアを開けるとそこにはどんよりとした空気のマゼンダがいた。
俺が家を出てから今の間に何があったんだよ。
「マゼンダ?」
俺に背を向けて床に座り込んでいるマゼンダの肩をぽん、とたたく。
マゼンダはピクリと体を震わせて振り向いた。
その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
予想外の反応に俺は何も言えず、しばらく沈黙した。
「ど、どうした?」
「うっ」
俺が声をかけて肩に触れたせいか、マゼンダの何かスイッチが入ったらしく、急に涙がぼろぼろこぼれだした。
慌てて洗面所へタオルを取りに行き、マゼンダに渡すとマゼンダはタオルに顔をうずめた.
その間に自分の部屋をちらちらと見回す。
特に本棚が荒れているわけでもなかった。
とはいっても、マゼンダをこんな風にするようなものをかいた覚えなんてないけど。
「マゼンダ?どうした?」
顔をあげてタオルをぼーっと見つめるマゼンダ。
何が気に入らなかったのか、俺の顔をちらりと見た途端タオルを放り投げた。
「え!?」
「なんでこうなるの?」
「はい?」
「なんで私、1人になっちゃうの?」
マゼンダはそれだけ言ってまた泣き出した。
俺はただ 黙ってその様子を見ていた。
マゼンダが泣いている理由がわからないもどかしさ
やっと理解した感情
マゼンダは声をあげて泣いていた。