第33話 私の居場所
「そうそう、残念ながら仕事の話になるんだけどさ。」
「残念じゃない。そっちが本題だろ?」
ルファは苦笑すると、メモ帳を取り出した。
「えーと・・・今後の話なんだけどさ。」
「ん?」
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ぼーっとブルースの部屋を眺める。
あぁ 私がこの世界に来て、もう結構たったんだな・・・
ブルースに会って、ブルースのお母さんに会って、クロウさんにリンさんにティンクさんに・・・
いろんなことあったなぁ・・・
なんだかだるくなってきて、床に横になる。
部屋はしん、と静まり返っていた。
外も誰もいなくて、静かだった。
まるで、どこにも誰もいないみたいだった。
この部屋だけがどこかに取り残されたみたいだった。
世界はどこかで進んでいて、ここだけが放り出されたみたいだった。
「・・・あぁ、そうだった」
この世界に逃げてきたところで、私はこの世界の人間にはなれないんだ。
いくつかの世界の中で、私はたった1人 取り残されてるんだ
望んでいたとはいえ、放り出されたんだ。
私はたった1人 取り残されてるんだ。
何もない 私が たった1人で。
あの世界から逃げ出したくてしょうがなかった。
だからこの世界に来れたとき、凄く嬉しかった。
だけど
この世界は私のいるべき場所じゃない。
この世界に私はいるべきじゃないんだ。
この世界に私と同じ気持ちでいる人はいない。
あの鎖にまみれた世界で同じ境遇の人達と慰めあうのと
この自由な世界でこんな寂しい想いをするのと
どっちがよかっただろう?
どっちのほうが楽だったかな?
この世界に来たいって思ってたのに
ずっとそのことを信じてたのに
どうしてこんな気持ちになるんだろう
私の居場所は どこだろう?