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第3話 2つのスイッチの話

そういえばいつだっただろう 赤ずきんのおばあさん役が言った。



『この世界にはね 2つだけスイッチがあるのよ』



私は初めこのおばあさん、この世界のせいで頭がおかしくなっちゃったんじゃ?なんて思った。


だけど



『1つのボタンが押されると、貴方は他の世界へ行くことができるの。物語の中じゃない自由の世界よ』


あの頃の私にとってその世界の住人がどれだけうらやましかったかわからない。


だけど とにかく惹かれたのを覚えてる。


ここじゃない世界


自由で 物語の鎖なんてない世界


その住人 その空 その森


すべてが魅力的に思えた


この世界の錆びた空も景色も見たくなかった


とにかく逃げ出したかった



だけど



『もう1つのスイッチはこの世界に引き戻されてしまうスイッチなの』


『その2つのスイッチが押されるにはキッカケが必要なの。まず1つ目のスイッチのキッカケ・・・これが難しいのよ』



どんなことだってやろうって思った


この世界から逃げ出せるのならなんだってできるって思った



『キッカケ』を聞くまでは。



『もう1つの世界の住人が私達の物語を読んで貴方のことを「かわいそう」と思うの』


かわいそう?


『狼に食べられる女の子を「かわいそう」と本当に心の底から思い、「助けたい」と強く思うの。』


そんなの私にできることじゃない



待ってるしかないなんて



『もう1つのスイッチはね、他の世界に行ってすぐに始まるの』


何が?と私が聞くとおばさんはブロントのほうをちらりと見た。


『狼ももう1つの世界に行くのよ。それで、貴方と鬼ごっこするの』



鬼ごっこ?



鬼ごっこって、子供の遊びの?



『それで狼が鬼で、狼につかまったら貴方はまたこの世界に戻されちゃうのよ』



聞かなかったほうがよかったかもしれない



だけど私はそれから今まで この話だけを頼りにしてた。



この真っ白で何もない無の世界で





この話と想像するもう1つの世界だけが鮮やかに色づいてた


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