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第21話 マゼンダとスーパーと狼

「・・・もう冷蔵庫、空になるからさ。今日はスーパー行こうか。」


俺が言うと、マゼンダはまた嬉しそうに笑った。



マゼンダは昨日買ったワンピースを着て、クロウに勧められたスパッツを履いた。


ドアを開いて外に出ると、マゼンダは背伸びをしてあくびをした。


「なんか、凄く気持ちいー!」

「ははっ ちゃんと荷物もちさせるからなー?」

「うん!もうなんでもする!!」


マゼンダはそういうと俺の手首をつかんだ。


なんとなくその感覚が心地よくて、笑ってしまった。



スーパーに入って食品を見る。


「何にすっかな・・・どうせあんまし食べないからな・・・」


そんなことを言っていると腹が小さく鳴った。


やっと空いたかこの腹は・・・


「・・・あのね、ブルース」

「ん〜?」


マゼンダがまた俺の手首を握る。


「何、鳥のほうがいい?それとも魚がよかった?」

「そうじゃ・・・なくてね」

「へ?」


マゼンダのほうを見ると、マゼンダは床を見ていた。


クリーム色でつるつるした床は、マゼンダと喋ったりしないのに。


「私、ずっとブルースのところにいてもいい?」


「・・・え」


返事に困っていると、誰かが俺の後頭部を殴った。


「って・・・!?」


後ろを向くと、そこには狼がいた。


マゼンダは震えて後ずさりをした後、すぐに俺たちに背を向けて走り出した。


狼がマゼンダを追って走り出そうとするのと、俺が狼の腕をつかむのはほぼ同時だった。


「なんでお前が止めるんだよ!!」


狼は俺を睨んで怒鳴った。


もう俺も狼も、周囲の視線なんておかまいなしだった。


「俺は!マゼンダのことが好きだ!でもお前は昨日、そうじゃないって言っただろ!?」

「確かに・・・言ったけどさ・・・」

「マゼンダが誰を好きかなんてわかるだろ!?でもお前がそんなんじゃマゼンダは傷つくんだ!!」


俺の意見を聞かず、狼は怒鳴った。


「俺はそんなの嫌だ!だから止めるな!!」


狼はそう言って、俺の反応を確認するように睨むとマゼンダを追いかけて走り出した。



数秒間立ち尽くした俺は、買い物かごを足元において同じように走り出した。



わからないことは山ほどあるし、問題だって山ほどあるけど



『お前がそんなんじゃマゼンダは傷つくんだ!!』


じゃあどんなんなら傷つかないんだよ?


お前なら傷つけずにいられるとでも言うのか?




そんなの 絶対に違う



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