第20話 星と月と黒い海
そういえば昔 星と月が人間だったらとか考えて小説書いたことあったっけ。
そんなことを思いながら、冬用の毛布を引っ張り出した。
床にしいて寝転がる。
月が女で星が男だった。
男は1人で輝いて でも光が地球に届いてるうちに死んでることがあって。
月は1人じゃ輝けなくて でも1つしかなくて。
ぼんやりと考えてるうちに眠りについていた。
目が覚めると、布団の中にマゼンダはいなかった。
「ん〜?」
目をこすって起き上がる。
部屋中を見回すと、マゼンダは俺の机に座っていた。
「・・・何してんの?」
「へ!!?」
驚きの声を上げて、マゼンダが何かを落とした。
ドサッ!!
見ると、それは本だった。
「ん・・・?」
拾い上げて表紙を見ると、俺の本だった。
「げ!?」
「ご、ごめん・・・暇だったから・・・」
「お前、字読めんの!?」
「い、一応・・・難しい字は無理だけど、それは振り仮名あったから・・・」
俺は頭を抱えてため息をついた。
顔が赤くなるのがわかった。
よりによってこれ、初めて恋愛要素入れて書いたやつだし。
「言えよな〜・・・言ってくれれば隠したのに・・・」
「で、でも!面白かった!!」
「・・・うん、好評だった。」
『ブルース君の小説って、心情掘り下げて書くのに、恋愛物まだ書いてないわね?』
『恋愛物書くと女の子が買うわよ〜』
そんな言葉にのせられて、初めて書いた恋愛物。
なんか凄く乙女なことかいた気がする!!
でも、思ってたよりも売上が良かったのを覚えてる。
『星と月と黒い海』
俺は苦笑した。
ちょうど昨日思い出してた小説だったから。
星が男で月が女。
黒い海ってのは夜で暗くなった空のこと。
あぁ、題名からしてなんか乙女じゃん。
「ブルースの本って好き」
「・・・そぉ?」
「うん ブルースがいい人だって、凄くよくわかるから。」
そういえば その小説に書いた気がする。
『星はたくさんあって。』
この世の男と女もたくさんあって。
『その中で1人でも 見つけてしまったら』
『もうおしまいなんだ』って