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第18話 トイレへ逃げる

部屋に戻ると、マゼンダは目を覚ましていた。


俺が戻ってきたことに気づくと走って俺のところまで来た。


俺が驚いているにも関わらず、マゼンダは俺の腕を思い切りつかんできた。


「え!?」

「よ、よかったぁー!起きたらいないから逃げられちゃったのかと思った!!」

「逃げるぅ!?なんでだよ!」

「や、やっぱり迷惑だったのかなとか思って・・・」


マゼンダの目は潤んでいて、半泣き状態だった。


俺は小さくため息をつくとマゼンダの頭を優しく撫でた。


「大丈夫だよ 逃げたりしないから」

「・・・うん」


マゼンダは顔を上げて俺を見ると、にっこりと微笑んだ。


俺は慌ててマゼンダから離れた。


「ごっごめん!俺、今凄くトイレ行きたい!!」


きょとんとしているマゼンダを置いて、俺はトイレへ駆け込んだ。


どんだけトイレ行きたいんだよ俺!!


なんかクロウにあんなこと言われると急に気になるんだけど!?



『そういうのを世間では「恋愛感情」というんだけども』



ちょっと待ってくれー!!




数分後、俺は何食わぬ顔でトイレから出た。


時計を見るともう6時で、そろそろ夕飯を食べなくちゃいけなかった。


「マゼンダ、嫌いな食べ物って何?」

「嫌いな食べ物?」

「うん。そろそろ夕飯作らなきゃいけないから」


俺が言うと、マゼンダはまたきょとんとした。


俺が何言ってるのかわからないらしい。


「もしかして、何か食べたりってことしなかった?」

「うん・・・」


俺は小さくため息をついた。


お風呂には入らない トイレにも行かない 飯も食べない


ずいぶん便利なもんだ・・・


「じゃあいっか。俺もあんま腹減らないし」


たまに1日何も食べない日がある。


どうしてだろう 忘れてるんだ



体が『生きよう』って思ってないのかもしれない



「じゃ、シャワーの使い方とか教えてやるから来いよ」


俺が言うと、マゼンダはすぐに立ち上がって俺のところまで走ってきた。


風呂を開けるとマゼンダは首をかしげていた。


「ここひねったら水が出るから。で、これがシャンプーで・・・」


一通り説明をしても、マゼンダは首をかしげたままだった。


「わかった?できる?」


一応聞くと、マゼンダは首を激しく横にふった。


「だから・・・」



とりあえず、実際に水を出してみたり、シャンプーとかを泡立てたりして見せるとマゼンダはようやく理解できたらしい。


目をきらきらと輝かせていた。


「わかったぁ!ありがと!!」

「そりゃよかった・・・じゃ、風呂入れよ。俺は後でいいから」

「うん!」


マゼンダはにこにこしてた。


まぁ、気にしないようにしよう。


不自然な態度とってまた『逃げられるかと思った』とか言われるかもしれないし。



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