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第11話 俺の世界

世界は全部『俺以外の誰か』が進めていた。


俺のしていることはすべてその『誰か』が作り出したもので『誰か』が指示したものだった。


自分が誰かに指示をすることはなかったし・・・


いや、最近は誰かとかかわることが少なかったかな。


高校を卒業してからは友達ともほとんど会っていなかったし。


最近喋った人っつったらコンビニの定員と親と出版社の人ぐらいだった。


そんな俺の世界に赤ずきんが入ってきた。


赤ずきんはあっという間に俺のそばに住処を作った。



クロウと赤ずきんを関わらせたくないなんていう、兄が妹を思うような感情まで生まれてきてるぐらいだし・・・



そんなことを考えて俺は短くため息を漏らした。


そんな俺を赤ずきんは不思議そうに眺めている。


「そういや赤ずきんさ・・・赤ずきんって呼ぶのなんか変だから名前決めろよ」


突然の俺の提案に赤ずきんはしばらく目をぱちぱちさせていた。


「えぇと・・・」


全然思いつかないらしく、赤ずきんは目を泳がせて何度も『えぇと』と繰り返している。


「・・・マゼンダとかは?」

「マゼンダ?」

「あ、ホラ 色とかでマゼンダだかマゼンタだかあるじゃん。なんか赤っぽい色じゃなかったっけ?」

「あ、赤ずきんだから赤?」

「そうそう。」


俺が頷くと赤ずきんは嬉しそうに笑った。


その様子がなんだか小さな子供を見ているみたいでなんとなく『可愛い』と言いそうになり、慌ててその言葉を飲み込んだ。


「んじゃマゼンダ、行こう」

「うん!」


マゼンダはまた嬉しそうに笑って俺の後についてくる。


「次はなんだ?服かな?」

「服?これじゃだめ?」


マゼンダはそう言って今着ているワンピースを手でひっぱった。


「それだけだろ?一着くらい買おう。」


そう言って俺は辺りを見回した。



まずい



自分で言ったからとはいえ、女物の服なんてどこに売ってるかわからない。


まして、女は好みの服がうるさいとかクロウが言ってた気がするし、歳にあった服がどうとか言ってた気がする・・・


あぁ、それより安い店と高い店とあるんじゃないのか!?



そんなことをごちゃごちゃ考えていると誰かが俺の後頭部を強くたたいた。



驚いてそっちを睨みつけるとそこにはニヤニヤ笑いのクロウがたっていた。


「さっきの人・・・」

「どうも〜!何挙動不審になってんだよ もっと堂々と歩けよ。女の子と2人なんだからさー」

「な・・・ッ お前薬局は!?」

「もうあがりだよ。終わったんだ。ホラ、私服だろ?」


確かにクロウは薬局のださい緑のエプロンじゃなくただのTシャツとズボンだった。



チラリとマゼンダのほうを見るとマゼンダは口を半開きでじっとクロウを見ていた。


まさか見とれてるんじゃないよなぁ・・・


そんなことを考えて俺はまたため息をついた。



俺はシスコンな兄貴か!!


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