第7話
その中に入ると、丸いテーブルに数人のおじさんたちがすでに席についていた。
「王子!何をされていたのですか?すでに会議は始っておりますぞ!!」
一人のおじさんが席を立って王子に声をあげた。
「すまない。急用ができこちらに来るのが遅れてしまった」
「・・・王子。その後ろの娘はなんですかな?こんなところに女を連れてくるとは甚だ遺憾でございますな」
また違うおじさんが口を出した。
「馬鹿者!!こちらは父の客人だ!そのような軽口をたたくでない!!」
すると、会議室がざわついた。
どうも、王子はあまり信用がないようだが王子の父はかなり権力のある人だと見た。
まぁ・・・国王なんだから当たり前だろうけど。
そして、私は一歩前に出て初めて着たドレスを摘み右足を一歩後ろへ引き、腰を落として礼の形をとった。
「お初にお目にかかります。大事な会議の途中、お邪魔してしまい申し訳ありません。私、ニッポンという国より参りました、ニッポン国第一王女ユメノ・ニシノと申します。こちらには父の知り合いの国王陛下様にお願い致しまして、施政の勉強に参りました。皆さまの経験豊かなお知恵を少しでも多く勉強させて頂きたいと思います」
一国の姫のように優雅ににっこりと極上の笑みを見せた。
会議室の中にいたおじ様方の好きそうな清純派を演じて見せたらまぁまぁイケてた様で皆こちらをみて固まっていた。
横にいた王子ですら口をあけている。
・・・まったく、王子は共犯なんだからそんな顔したらまずいでしょ!!
「・・・王子?私もしお邪魔のようでしたら外でお待ちしておりますが・・・・」
これまた、上目遣いで可愛い女子を演じながら王子に声をかけた。
「・・・・・はっ!い、いや。大丈夫だ。問題ない。ぜひ見学してください」
・・・はっ!って・・・。どこの漫画の世界だ?
すると、覚醒したおじさんが声をあげた。
「に、ニッポン国など聞いたことがありませんぞ!本当に陛下のお知り合いですかな?」
あー、いるいる。こういう揚げ足取りな感じのおじさん。
「申し訳ありません。わが国は今まで鎖国をした状態でした。近隣の国はもちろんこちらのように遠い国まで名が通る程大きな国ではございません。私の国は人口1億人という小国な上、島国なのですから・・・・」
「い、いちおくにんっ!!!?」
あれ?少なすぎたか?
「そ、そんな大国が!?」
え?大国なの?およそ3千万人も消してしまったのに・・・・・
「いいえ!1億人だなんてそんな!!1千万人の聞き間違えですわ!!」
「・・・そ、そうか。1千万人か・・・・・・・それなら納得できるが・・・・確かに1億人と・・・・」
「宰相。お前は耳が遠くなったのではないか?私には1千万人と聞こえたぞ?」
おぉ!ナイスフォロー!キアン!!
「さ、左様でございますか・・・?」
まだそのおじさんは首をかしげていたがやがて思い至ったのだろう。
「それよりも、そのユキノ様が会議に出席されるとはどういうことですか!?」
また、憤慨し始めた。
忙しい人だ。
「ユキノから言ったであろう。施政の勉強にこちらに来られたのだ。こういった事を見せろと父からも言われておる。それともおまえは私や父の言う事がきけないと?」
「ぐっ・・・。陛下がおっしゃるならば仕方ありません。では、遅れている分早く始めましょう」
そのおじさんはわざとキアンの事を言わずさっさと席についてしまった。
私とキアンも席に着いたが、嫌な雰囲気の会議が始まったのだった。