第5話
まさか、ここへ来てイキナリ求婚されると思わなかった。
でも、愛のない結婚なんてごめんだ!
「他に方法はないんですか?」
結婚以外にほら、公爵の養女になるとかさぁ。
此処で養女になったところで、あっちの世界の戸籍が傷つくわけじゃないしぃ。
「・・あったらとっくに実行しておる」
え?ほんとにないの?
「どこかお偉いさんの養女になるとかは?」
「養女になったところで俺の傍にいる事はできんだろう?」
・・た、確かに・・・・・。
「じゃ、じゃあ、救世主としてこの国にやってきたものとか」
「別に国自体は困っておらん」
左様ですか・・・・。
「じゃぁ実は私にこの世界一の魔力があるとか!」
「・・・・見たところ魔力はまったくないようだが?」
やっぱり、魔法は使えないのか・・・。
他に何かあったっけかな?
「お前は、面白い事を言うな。どこからそんな事を思いつくんだ?」
くっくっくと笑ってますが、あんたの為に提案してるんですよ?
「・・・まぁ、私のいた世界ではそういう本があったもんで」
「ほぉ。そんな本があるのか?随分と想像力豊かな世界なのだな」
その想像力豊かな世界が実際にあるとは思いませんでしたけどね。
「他にはないのか?」
そんなわくわくした顔されても・・・。
「・・・おもいつきませんね」
「そうか。残念だ。もっと面白い話が聞けるかと思ったのに」
だから、面白がるなって!!
「どうだ?妃になる以外ないだろう?」
んー・・・・。それは嫌だなぁ・・・・。
あ!!あるじゃん!もう一つ普通のやつが!!
「王子!!ありますよ!とてもいい考えが!!ちょっと耳貸して!」
ごにょごにょ
「ふむ。それならまぁ、ずっとではないが当分は王宮の中でうろうろしても俺の傍にいても問題ないな」
ふふ。
一度やってみたかったんだよねー。
あっちの世界でやったらかなり痛いと思われるから絶対やれないし。
「じゃぁ、そうときまれば早速用意してください!!」
あ!そういえばあの近衛は私を見てるからばれちゃうかも・・・。
「王子、私を捕まえた時の近衛はどうしますか?」
「ふむ。それならお前がいた時の記憶を消しておこう」
・・・便利だな。魔法使いって・・・・。
「あ!それから!部屋は隣りじゃなく別の部屋にしてね!!」
「・・・・むー。致し方ないな・・・。しかし、俺はお前を妃にするのを諦めたわけじゃないからな!!」
しぶといな・・。
愛もない結婚してどーすんだか。
まぁ、とにかくこれで当分は求婚されずに済むわ。