第2話
おぉ!地獄から天国とはまさにこの事!
っていうか、初めからこっちにしてくれればよかったのに・・・。
「ここを使わせて貰ってもいいの?」
天蓋つきのベットがドーンと真ん中に置かれていても余裕のある部屋。
窓辺にはソファーとテーブルが置かれ、ドレッサーには大きな鏡な鏡が付いていた。
「・・・あぁ。もちろんだ」
にやりと笑う王子に私は気付かなかった。
こんな豪華な部屋なかなか泊れない・・・。って泊るつもりはない。
どうやって元の世界に帰ろう?
どうも夢じゃないみたいだし・・・。
額はまだ痛いし・・・。
ここはセオリー無視してすぐ帰りたいところだけど・・・。
・・・・まさかね・・・・・。
「ねぇ、王子。私、元の世界に戻りたいんだけど?」
「は?何を申している?元の世界とは何だ?」
・・・やっぱりこう来たか・・・。
でも、魔法使えるみたいだし何かしら帰る方法があるはず!!
「いや・・・。見ての通り私この世界の者じゃないの。だから、元いた世界に帰りたいんだけど、王子の魔法でどうにかならない?」
「何!?この世界の者じゃないと!?」
目を丸くする王子。
いやいや、この格好みて気付こうよ・・・。
誰も黒い目いないじゃん。
まぁ髪は染めてるからちょっと茶色っぽいけど、それも珍しい感じだし?
「・・・ふむ。ますます面白い」
いや、面白がられても困りますよ?
明日は仕事があるし、今日中に戻りたいんだけどね?
「ねぇ、王子ってば!他の世界に人を飛ばすような魔法はないの?」
「うむ。ない!」
・・・・・え?
なんだって?
きっぱり言い切っちゃった?
「・・・・ないならさ、探そう。とか努力しようとか言わない?」
「探してもよいが、ないものはないと思うぞ?」
・・・マジか・・・。
え!?ってことはもう元の世界に戻れないってこと?
ちょ、ちょっと、セオリーとちょっと違わない?
普通苦労しながらも元に戻る方法見つかるじゃない!!
「王子!お願いだから元の世界に戻れるようにしてよ!!」
「嫌だ」
・・・・・・・・・はぃ?
今なんとおっしゃいました?
嫌とか聞こえたんですが・・・。
「王子・・・。私、よく聞き取れませんでした・・・。もう一度言って下さい」
「い・や・だ」
のぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
2度も言いやがった!!
つーか、嫌だってなんだ?
無理じゃなくて嫌?
ふざけるな!!
こっちは人生かかってんだよ!!
「嫌じゃありません!!なんとかして見つけて下さいよ!!じゃないと、絞め殺してしまいそうです!!」
「・・・・殺されるのはかなわんな。まぁ、探す努力はするが、私はお前が気にいったからな、そばに置くことにする」
あぁぁ!!
突っ込みどころ満載なんだけど?
まず探す努力じゃなくて見つける努力をしろよ!
探すとこから努力させなきゃなんないわけ?
それから、側に置くってなに!?
勝手に決めんなっての!!
「・・・・・・・っっはぁぁぁぁぁ」
心の中で叫びすぎて深いため息が出てしまった。