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ヤマタノオロチの谷

「……、姉さん」

「あはぁ、昨晩は激しかったね」

「なぁに人のベッドに入りこんどんじゃオンドリャはああああああああ!!!!」

「あひぃん」


 昨日は皇帝にギロチンをちらつかされ、絶対に商業ゲームには出せないような、トンデモな敵キャラを狩りまくり、戦利品を売って所持金とするという言われてみたら当然なんだけど、ゲームの中では省略されたプロセスに気づくという偉業を成し遂げた。しかし、気づいた時には日も暮れていたので、宿屋に泊まって明日に備えようという結論に到った。

 で、日が明けたわけだ。朝起きたら、馬鹿姉が隣で寝ていたから怒りのゲイボルグキックをかましてやりました。

 べ、別にゲイボルグが気に入ったなんてことは無いんだからね!



――



「まずは情報を集めましょう。城下街みたいに馬鹿AIではないことを祈っておくわ」

「そうだね。んじゃ行きますか」

 何事にも情報だ。一に情報、二に情報、三に情報だしね!


「ここはニィの町です」

 ニィの町ですか。

「ここはニィの町です」

 二回も言わなくても良いよっ! ニィの町ね!

「皇帝に刃向かったらギロチンってホントなのかな?」

 本当です、試しに皇帝に年増と言ってごらん、次の瞬間には君はデュラハンの仲間入りさっ! マミっちゃうよ!

「西の谷には巨大な蛇が住んでいるんだって! しかもクビが八つもあるらしい……」

 ヤマタノオロチか? 恐らくボスキャラな気がする。気を引きしめてかからないといけないな。

「ぱふぱふしていかなぁぁい?」

 魅力的な提案ですが、バニーガールじゃなくて、ババアガールのは結構です。



――



「西の谷だけど、ヤマタノオロチが棲息しているみたいだね。多分そこに風の紋章を守ってるんだと思う」

「ヤマタノオロチ?」

 姉さんは聞き返す。説明しなきゃダメか。

「ドラ○エにも出てくるんだけど、八つのクビを持った蛇のことだよ。日本神話にでてきて、スサノオに退治されたんだ。にしても、このゲームの世界はやたらグローバルだね。ヤマタノオロチとギロチンが同じ世界に存在しているっていうのがユニークだよ」

 古事記の世界と、マリーアントワネットが暮らした世界がドッキングしている。他の地域には何が待ってんだか。

「確かにボスっぽいわね。それは燃えてくるわ!!」

「それは頼もしい限りだよ。武器屋と防具屋で装備を揃えてから行こうか」

 雑魚を狩りまくってお金をそれなりに稼いだ。これだけあれば良い装備を買えるはずだ。

「銅の剣がエクスカリヴァーじゃ格好がつかないしね」

 どの剣買っても、あんたはエクスカリヴァーって言うんだろうな……。



――



「さぁ! 装いも新たに、ヤマタノオロチを討伐するわよ!」

 今の所別にヤマタノオロチの被害とやらを聞いていないんだけどな……。悪さをしてないのに討伐したら、僕らが悪役になるよ。

「人の一人や二人食べてるでしょ」

 軽く言われても。そうやって冤罪はこの世に生まれるんだ。僕はヤマタノオロチの人権もとい蛇権を強く主張するね。

「どっちにしろ、風の紋章が必要なんだし、行きましょ」

 意気揚々とした姉さんと、一抹の不安を胸にした僕は西の谷へと足を進める。出来れば、ヤマタノオロチとは交戦したくないんだけどな。こう言っちゃなんだが、勝てる気がしないよ。

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