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EP 58

始祖竜の幼体・アルカを新たな家族として迎え入れた翌日。

真守たちはアルカを連れ、報告のために冒険者ギルドを訪れた。

マモルの腕の中には、プラチナシルバーの鱗を持ち、宝石のような瞳をした小さな竜が抱かれている。

ギルドの扉を開けた瞬間、いつものような喧騒がピタリと止み、ざわめきへと変わった。

「おい、あれ……マモルたちのパーティだ」

「腕に抱えてるの、なんだ? トカゲか?」

「いや、あの魔力……『竜』だぞ!?」

「まさか、あの伝説のキュルリン・ダンジョンを本当にクリアしたのか!?」

畏敬と困惑が入り混じった視線の中、真守は受付カウンターへ進む。

受付嬢はマモルの腕の中の生物を見て、引きつった笑顔で固まった。

「あ、あの、マモル様……それは……?」

「ああ、ダンジョンの『クリア報酬』みたいなものです」

「ク、クリア報酬で竜!? ギ、ギルドマスターーーッ!!」

受付嬢の悲鳴に近い呼び出しに応じ、奥からアルマスが飛び出してきた。

彼はマモルの顔を見るなり、駆け寄ってくる。

「マ、マモル殿! ダンジョンをクリア出来たんですね!? あの難攻不落の三層を!」

「ええ、なんとか。皆のおかげで最深部まで到達できました」

マモルが事もなげに答えると、アルマスはゴクリと唾を飲んだ。

「素晴らしい……! まさに偉業です! で、では……その、最深部にあった『お宝』とは一体……?」

アルマスは身を乗り出す。伝説級の武器か、国を買えるほどの財宝か。

真守は少し困ったように笑い、腕の中のアルカを掲げた。

「ダンジョンの奥で、化石の卵を見つけまして」

「さっき、みんなで魔力を注いで孵化させたの! 可愛いでしょ~?」

フィリアが横からニコニコと補足する。

「孵化……させ、た……?」

アルマスの思考が追いつかない。化石を孵化させるなど、現代魔法の常識ではあり得ないからだ。

「フン。手間取らせおって。こいつを目覚めさせるために、どれだけ苦労したか」

「でも、とっても可愛いですわ~。ほら、アルカちゃん、ご挨拶は?」

デュラスが呆れ顔で言い、エルミナがアルカの頭を優しく撫でる。

すると、アルカは気持ちよさそうに目を細め、小さな口を開いた。

「キュウ……。うれしい……」

「「「「!?!?」」」」

ギルド内が静まり返った。

コップを落とす音だけが響く。

「し、喋ったああああああッ!!??」

誰かが叫んだのを皮切りに、ギルド中が爆発したような騒ぎになった。

「おい聞いたか!? 生まれたばかりの竜が人語を話したぞ!」

「知能が高すぎる! ありゃただの竜じゃねぇ! 高位の竜種だ!」

「ドラゴンをテイムした冒険者なんて、お伽話の勇者くらいだろ!?」

アルマスは震える手で眼鏡の位置を直した。

一週間でEランクからAランクへ。そしてS級ダンジョンを踏破し、言葉を話す神獣ドラゴンを従えて帰還した。

もはや、既存の枠に収めておくこと自体が不敬に当たるレベルだ。

アルマスは深呼吸をし、意を決して宣言した。

「……マモル殿。ギルドマスターとして、特例中の特例を認めます」

彼は懐から、黒地に金色の刻印がされたカードを取り出した。

「貴方達を、大陸最高峰の称号――『Sランク(S級)冒険者』に認定します!!」

「えっ、Sランク!?」

マモルが驚く。Sランクといえば、国家戦力に匹敵する、生きる伝説だ。

受付嬢が口元を押さえて震える。

「プ、プラチナ商人の財力と地位を持ち、さらにS級冒険者の武力まで……!? そんな人、歴史上聞いたことがありません!」

「すげぇ……!」

「マモル! あんたたち最高だ!」

「アルニアの英雄だ!!」

ワァァァァァッ!!!

冒険者たちから割れんばかりの拍手喝采が巻き起こった。

称賛の嵐の中、マモルたちは顔を見合わせた。

「Sランクか……。なんか遠いところまで来ちゃったな」

「フッ、我らには相応しい称号だ」

「やったねマモル! これで美味しいものいっぱい食べられるよ!」

「アルカちゃんのおかげですね~」

腕の中のアルカも、周りの歓声に合わせて「キャッキャッ」と楽しそうに笑っている。

最強の家族と、新たな相棒。

S級冒険者マモルの物語は、ここからさらに加速していくのだった。

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