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EP 50

第三階層への階段を降りきった瞬間、その異変は唐突に訪れた。

「……ぐっ!?」

「きゃっ!?」

マモル達の膝がガクンと折れ、地面に手をつく。

空気が鉛のように重い。ただ立っているだけで、数倍の重力が全身にのしかかってくるようだ。

「な、何だ? 身体が……重い……!」

マモルが脂汗を流しながら顔を上げる。

呼吸をするだけで肺が軋む。装備の重さが何倍にも感じられ、一歩足を前に出すことすら困難な状況だ。

その時、薄暗い空間の虚空に、蒼白く輝く文字が浮かび上がった。

『力を捧げよ。さすれば軽くなる』

「……力を、捧げよ?」

デュラスが重力に抗いながら、その文字を睨みつける。

「なるほど……。この部屋の『重枷』を外す条件か。……おい、エルミナ」

「は、はい……お父さん……」

エルミナは四つん這いになりながら、必死に言葉を紡ぐ。

「えっと~……力……。私たちにとっての力って、この『武器』って事ですか?」

エルミナは震える手で、背負っていた愛用の聖槍ホーリー・ランスを外し、地面に置いた。

カラン……。

その瞬間。

「あ……っ!」

エルミナの表情がパァッと明るくなった。彼女はスッと立ち上がり、軽くジャンプしてみせた。

「軽いです! 嘘みたいに身体が軽くなりました!」

「本当!? じゃあ、私も!」

フィリアが背中の長弓を外し、地面に置く。

「……っ! 本当だ! 身体が軽くなった! 普通に動けるよ!」

フィリアもその場でステップを踏む。どうやら、この空間の重力異常は「武器を所持している者」に対して強く作用する呪いのようだ。

「マジかよ……。武器も無しに戦えってか?」

マモルは腰の『王帝』を撫でた。相棒を手放すのは不安だが、このまま這いつくばっていても何もできない。

彼は意を決して、三節根をベルトから外し、床に置いた。

フワッ。

足枷が外れたように、鉛のような重圧が消え去った。

「……ふん。武器など、私には飾りでしかない」

最後にデュラスが、愛用の鞭を無造作に放り投げた。

四人全員が武器を手放し、身軽になった状態で広場の中央に立つ。

すると、待っていたかのように、部屋の奥から重苦しい駆動音が響いた。

ズシン……ズシン……。

現れたのは、全身が鋼鉄で作られた二体の巨大な騎士型ゴーレム。

一体は大剣を構え、もう一体は巨大な鉄の弓を構えている。

「……冗談だろ?」

マモルが構えるが、手には何もない。

相手はフル装備の鋼鉄の塊。こちらは素手。あまりにも条件が悪い。

「つまり、素手で戦えって事かよ。俺の合気道も、あの鉄の塊に通じるかどうか……」

「いや、違うなマモル」

デュラスが素手でポケットに手を突っ込み、不敵に笑った。

「これは単なる力比べではない。武器(個の力)を捨てさせた上で、強敵をぶつける……。求められているのは『知恵』だ。そして『チームワーク』だ」

「え~……。お父さんが『チームワーク』とか言うと、何か裏がありそうで怖いです~」

エルミナがジト目でデュラスを見る。普段、「焼き尽くせ」しか言わない魔王の言葉とは思えない。

「も~! 親子喧嘩してる場合じゃないよ! 集中集中!」

フィリアがパンパンと手を叩き、二人を叱咤する。

「来るぞ! 武器がないなら、無いなりの戦い方を見せるまでだ!」

マモルが叫ぶと同時に、ゴーレムたちが動き出した。

武器を捨てた最強パーティvsフル装備の鋼鉄兵。

丸腰の戦いが幕を開けた。

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