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EP 44

真守の合気道によるカウンターで、白いガーゴイルは自身の膂力によって全身に亀裂を走らせ、ガクリと膝をついた。

最強の矛が折れた今、鉄壁のコンビネーションに綻びが生じた。

「よし、白い奴の動きが鈍くなった。……ここからは俺が『詰め』を行う」

デュラスが鞭を鳴らし、冷徹な指揮官の顔で告げた。

「エルミナ! フィニッシュをくれてやる! 最大火力の神気を貯めておけ!」

「分かりました! すべてを賭けます!」

エルミナは聖槍を天に掲げ、目を閉じて集中を開始する。彼女の背中の白い翼が大きく広がり、周囲の空間が黄金色の光で満たされ始める。

デュラスはその時間を稼ぐべく、、そして敵の防御システムを完全に瓦解させるべく、新たな魔術を行使した。

彼は片手を地面に突き刺す。

「闇よ、漆黒の闇よ……。我の前に顕現し、生ける者を苗床とせよ。『暗黒樹ダーク・ウッド』!」

ズズズズズッ……!!

デュラスの足元から、禍々しい黒色の茨と、捻じれた巨木が急速に成長した。

それは生き物のように蠢き、膝をついている白いガーゴイルへと殺到する。

「グオッ!?」

無数の枝と根が白いガーゴイルの四肢に絡みつき、身体を締め上げる。

だが、ただ締め上げるだけではない。

「……さて。打撃や斬撃は防がれるが、『吸収』は攻撃判定に入るかな?」

デュラスがニヤリと笑う。

暗黒樹のトゲが石の身体に食い込み、魔力と動力源をジュルジュルと吸い上げ始めたのだ。

「ギギギギッ……!!」

白いガーゴイルが苦悶の声を上げる。

物理的なダメージではない、生命力の枯渇。

これに対し、影の中に潜んでいた黒いガーゴイルが反応した。

ザワッ!

「出たわ! 黒いのが!」

フィリアが叫ぶ。

主である白の危機に、黒いガーゴイルが影から飛び出し、絡みつく暗黒樹の枝を切り裂こうと実体化したのだ。

「かかったな」

デュラスが指を鳴らす。

バフッ!

枝を斬られた瞬間、暗黒樹の花弁が開き、毒々しい紫色の粉塵――『魔界の眠り粉』を一気に撒き散らした。

「!?」

不意を突かれた黒いガーゴイルの動きが、カクンと鈍る。石像であっても、魔力回路を強制的に沈静化させる強力な催眠毒だ。

白は拘束され、黒は動きを止められた。

二体が重なるように並んだ、絶好の射線が完成する。

「今だ、エルミナ!!」

「はいっ!!」

エルミナのチャージが完了していた。

彼女の全身は、直視できないほどの神々しい光(神気)に包まれている。

「我が槍は光の道標! 邪悪なる石像よ、土に還りなさい!」

エルミナは翼を羽ばたかせ、超低空飛行で突撃した。

音速を超える一点突破。

聖槍ホーリー・ランスッ!!!」

ズドンッ!!!

光の奔流となった槍が、動きの止まった黒いガーゴイルの胸を貫き、そのまま背後の白いガーゴイルごと串刺しにした。

「「グオオオオオオオオオッ!!!」」

二体のガーゴイルが同時に断末魔を上げる。

光のエネルギーが内部で炸裂し、白と黒の身体は内側から崩壊。最後は光の粒子となって消滅した。

ドサッ……。

エルミナが着地し、残心をとる。

ガーゴイルが居た場所には、魔石の欠片だけが転がっていた。

「や、やった……!」

真守が拳を握りしめる。

「倒したわ! 二体同時撃破!」

「ナイス連携でした! マモル様、デュラスさん!」

フィリアとエルミナが抱き合って喜ぶ。

デュラスも満足げに頷き、暗黒樹を消滅させた。

「ふん。吸収と状態異常、そして物理特大火力。理屈さえ分かればこんなものだ」

見事なチームワークで第二階層のボスを撃破した真守たち。

その顔には、確かな自信と達成感が満ち溢れていた。

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