表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/20

2-2【疑念】

完全に捕食する側とされる側みたいな関係図の私とお兄さんとの対峙は続く。ダークブロンドの髪はかきあげられており、此方を射貫くように睨見つける鋭いヘーゼルの瞳がよく見える。そんなことされたらすくみ上がっちゃうでしょうが!!この身体、他人に対する免疫が無いんだよ!!


1人固まっている私に構わずそのお兄さんはズンズンと無遠慮に近寄ってくる。おい!止まれ!!それ以上近づくな!!レディに気安く近づくんじゃない!!!


「貴様、名は?」

「名前……?えーっと、エ、エマです」


もはや名を名乗るという行為をしていなさすぎて、自分の名前を名乗る時すらどもってしまうというコミュ障っぷりに泣けてくる。だって人と会話する生活してなかったんだもん。……言ってて悲しくなってきた。妖精さん達とはお話するけど、やっぱり対人となるとちょっと違うじゃん?


「……なぜ、自分の名前をちゃんと言えないんだ?」


お兄さんが怪訝そうに眉を寄せて表情が更に険しくなる。いや、私だって吃りたくて吃ってるわけじゃないから!!!というか思わず名乗ったけど、人の名前を聞くときはまず自分からって習いませんでしたか〜?なおここまですべて心の声で、勿論声に出してはいない。くそっ……これだからイキりオタクは……内心で煽ることしかできない……。


「まさか、偽名じゃないだろうな?」

「ち、違います……っ!!」


やたら疑ってくるお兄さんに、咄嗟に否定の言葉がまろび出る。私は生まれてからずっと、それこそこの身体になる前からエマちゃんですけど!?!?まさか偽名を疑われるとは。ちょっとコミュ障なだけだよ!言わせんな、恥ずかしい!しかし、お兄さんの表情は険しくなる一方で正直ちょっと泣きそう。


「貴様、炉の神ヘスティアではないか?」

「………?」


え、待って。なんかサラッと言われたけど聞き慣れない言葉ばかりで全然聞き取れなかった。思わず涙も引っ込んできょとんとしてしまう。ろ?今、ろの神って言った?え、なにそれ、“あ”の神とか“い”の神とか五十音全部いるの?なんで、ろ?しかも名前はろで始まらないのかよ。というか名前なんて言ったっけ?なんか聞き覚えがあるような気もしたけど……。


「ろ?の神?ヘス……なんでしたっけ……?」

「その様子……本当に知らないんだな」


はぁ、と大きなため息を吐くお兄さんはその時初めて少し表情が緩んだ。とはいえ、本当に少しで険しい表情には変わりないけど。いや、あれは呆れてる顔か?


「それで貴様は何者だ」

「え、えっと……その……串焼きの神、エマです……」

「クシヤキの神?」


ぽそりと呟いた私の言葉をしっかり拾って、またしても怪訝そうに顔を顰めるお兄さん。そこ拾うのやめてもらえます???お兄さんが“ろ”の神とか訳わからん事言うからノリで言っちゃっただけだし!!

だって私串焼き焼くの超絶上手いんだもん!!本当だもん!!嘘じゃないもん!!


《ェーマァー、ピュアピュア!》

《ピュアッ、ピュァ!》

《ェーマァー、キュイキューイ!》


その時、今まで静かにしていた妖精さん達が一気に何かをお兄さんへ訴えかける。援護してくれるの?そうだよね、“ろ”の神がいるなら串焼きの神だっているよね!!ありがとう、みんな!私はこれからも串焼きの神を名乗り続けるぞ!!


「!!、ニンフか……いつの間に……それもこんなにたくさん……」


お兄さんは妖精さん達に気づいていなかったようで、いっぱいいる妖精さん達が声を出したことでようやくその存在を認識したようだ。いや、遅くない?最初から妖精さん達ずっと一緒にいたよ?そしてまたしても聞き慣れない単語が出てくる。な、なんて?今なんか妖精さんのこと特殊な呼称しなかった?しかもなんかかっこいいやつ!本当は聞き返したかったんだけど、そんな雰囲気でもない。お兄さんはなんか一人で考え込むようにぶつぶつ呟いてる。えっ、こっわ……。


「確かにエマと聞こえなくも……しかし………それにこの数のニンフ……そもそも…………あぁ、そうか、そういうことか」


何やらブツブツ呟いていたお兄さんは唐突に納得したようで頷いている。いや、どういうことだよ。ていうか今私の名前呼ばなかった?人の名前呼びながら、考え込んでるの怖すぎない?私の挙動も不審だった自覚はあるけど、お兄さんも大概不審すぎ……ここが現代だったら結構通報してるかも。


すると突然、お兄さんが見下したような目つきで鼻で笑ってきた。ん?


「ふん、紛らわしい真似を……ニンフ上がりの神かぶれが」

「……ぇ?」

「少し力を持った程度で神を名乗るとは烏滸がましい!ニンフ如きが神である私の手を煩わせるな!」


言いたいことだけ言って、踵を返し颯爽と去っていくお兄さん。


はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?意味分かんないんですけど!?まぁ、確かに一般人が神を名乗るのは烏滸がましいけど?でも、私だって神から生まれてるから神だし!!!ていうかさっきからニンフってなんだよ!!!意味分かんねぇ〜〜〜〜〜!!!


なんて言う間もなく、あっという間に姿は見えなくなってしまった。


で、結局お前誰なんだよ!!

久しぶりに会った幼馴染と5時間くらい喋ってました。時間は溶けるものp

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ