1-3【灯火】
なんて頭を悩ませていた私だったが、ふと天才的発想が降りてくる。妖精さんに育てられるファンタジーなこの世界、そして私の親はどうやら神様らしい。そこから導き出される答え、それはつまり……私、もしかして魔法使えるんじゃね??この場における最適解これでしょ、絶対!!
急に降って湧いたひらめきにテンションはぶち上がり、そのノリのまま実行する。魔法はイマジネーションだって誰かも言っていたので、イメージは明確に。小さい頃から空想は大好きだったのでこういうのは得意だよ。頭の中にコンロをイメージする。煙草を吸わない私はそれが一番身近な火だったからね。そして、コンロの栓を捻るイメージでそのまま掌に力を込める。
いでよ、炎!
心の内にそう唱えながら、ぎゅっと目を瞑って、更にイメージに集中する。なんで声に出さないかって?誰にも見られていないとしても、これで出なかった恥ずかしいでしょうが!それに人はいないけど、妖精さんはいるし。
イメージの中のコンロはチッチッチッと音を立てたあとにボッと火がつく。あ、これつけるのにコツいるタイプのコンロだ。実家のコンロも上手くやらないとなかなかつかなかったんだよなぁ……なんて我ながら解像度の高さに惚れ惚れしていれば、パチパチと火が爆ぜるような音が聞こえる気がする。私、幻聴が聞こえるほどイメージ強く出来てる!?と驚いて目を開けば掌には小さな炎が灯っていて……
「え………えぇーーーーー!?」
ま、まさかの大成功!?いや、やろうとしたのは私だけどさ、まさか本当にできるとは……。多分、誰よりも私が一番驚いてるよ!!だって本当に火が出せるなんて思わんやん?掌の上でゆらりと燃える火を見つめながら呆然としてしまう。私やっぱり天才なのでは???
掌の上で燃えているというのに不思議と熱くはないし、皮膚も焼かれたりはしない。ただ掌の上がじんわりと暖かいぐらいだ。そして重要なことに気づいてしまう。
えっ、この火どうしよう?まさかつくと思っていなかったので、食材を用意してなければ、当然焚き火などの準備もしていない。いや、これ本当にどうする?下手なことして山火事……いや、森火事?とにかく火事になっても怖いよね!?というかこの火どうやって消すの?
思いつきのノリだけでやってしまったが為に大パニックである。とりあえず手が熱くないのが救いだよ!いま切実にスマホが欲しい。『手から出た火 消し方』で検索かけたいもん。……出てくるのか?
なんて思考が明後日の方向へ現実逃避しかけながらも何気なく開いていた手をぎゅっと握ったら消えた。えっ?あっ!消えた!
「び、びっくりしたぁ……」
流石に本気で火が出るとは正直思っていなかったのでマジで焦った。しかもよりによって火だからね!扱い方は本当気をつけないと。まだ心臓はバクバク鳴っている。
だけどこの鼓動の速さは驚いたからだけじゃない。だってこれってつまり、私に“焼く”のコマンドが解禁されたってことだから!!やった!!グッバイ生食、ハロー焼物!そうとなればじっとはしていられない。
「たきびを!!します!!」
《ピュアー!》
《ピュア、ピュァ!》
それからというもの、私の行動は早かった。妖精さん達と一緒に手頃な枝を集めて、焚き火の土台を作る。知識なんてまるで無いが、なんかこんもりさせとけばええやろ。何とかなるさ精神で、どんどこ焚き火の準備を進めていく。途中で焼くようの鍋がないことに絶望しかけたが、鍋なんていらない、細めの枝に突き刺して串焼きにすればいいんだよ!!
というわけでとりあえずいつもの木の実や果物を枝に刺す。ゆくゆくは魚とか肉とかも焼きたい……いや、その前にきのことか山菜が解禁される日も近いな。
ホクホクと準備をして、ついにあとは火をつけるところまでに迫った。よーし、落ち着けー。私ならできる。さっき出来ただからできる。これで出来なかったら泣くぞ。と思いながらも再びコンロを鮮明に思うかべる。そして……
「ついたーーー!!」
《ピュアッ、ピュアー!》
《キュイ、キュキュキュィ!》
《ェーマァー、ムイー!》
無事に着火成功!ちゃんと集めた枝にも火はついて焚き火が完成する。すごい!すごい!早速、枝に刺した食材を火に近づけて焼いていく。焼き加減とかは分からないからこの辺はもう勘だ。……いや、ずっと勘でやってきたね??
妖精さん達の分も焼いて、準備はバッチリ!久しく嗅いでいなかった香ばしい匂いが鼻を擽る。みんなで揃ってご挨拶、いたぁだきます!
「ん〜まっ!!」
あまりの美味しさにびっくりする。え?これ焼いただけだよね?調味料なんてないのに、焼いた木の実とか果物ってこんなに美味しいの??えっ、勘でいったのに焼き加減が絶妙過ぎる……!!自画自賛?いや本当に美味しいんだって!!
妖精さん達も今までに見たことないくらいお目々がキラキラしてる。ね?美味しいよね?これ、焼き加減完璧かもしれない……!!ゆで卵すら失敗する料理が出来ないと定評のある私が新たな才能を開花!?
そこまで考えて、気づいてしまった。
私、串焼きの神様なんじゃない!?!?!?
薬と睡眠の偉大sさを思い知る2026年です:




