1-2【妖精】
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それからというもの、妖精さん達が水とか果汁とか花の蜜とか持ってきて私のお世話をしてくれたおかげで私はすくすくと成長していった。妖精さん達には本当に頭が上がらない。あなた達がいなければ私は今頃死んでたよ。
ちなみに私が包まれていたおくるみはマジックアイテムだったようで、私の成長に合わせてサイズが変わる魔法の服へと変身した。よかった、これがなければワンチャン素っ裸で過ごさなければいけなかったかもしれないと思うとゾッとする。魔法のおくるみにくるんでくれたママンには感謝しかない。
日にちを数えてる訳でもないのでどれくらいの月日が経ったか分からないけど、私は赤ん坊から幼児と呼べるくらいには成長していた。体感そんな何年も過ごした感じはないんだけど、日付感覚が無いからそう感じるだけなのか、多分一応神様の子?だから成長が早いのかは分かんない。
それでも自分の足で立って、走れるくらいまでには成長していた。自分の意志で動けるってサイコー!最近では妖精さん達に見守られながら森を駆け回っている。
そんなこんなで妖精さんとも長い付き合いになってきた訳だが、未だに彼女ら(彼ら?)が何を言ってるかは分からない。共に過ごしてきて分かったことは2つ。
1つは妖精さん達にはどうやら属性のようなものがあるみたいで、それは色によって違うということ。属性によって鳴き声(?)も違うっぽくて例えば緑系の子であればピュアっていうし、水色とか青系だとキュイ、ピンクやオレンジだとムイと言ったりと色によって鳴き方が違うのだ。他にもミュウだったり、ポネだったり、多種多様な鳴き方があってどれが何かはイマイチ分かんない。けどピュアっていうのが一番よく聞く気がする。
そしてもう一つ。それは……
《ェーマァー》
「あい!」
もう一つは妖精さん達は皆私のことをェーマァーと呼ぶ。これはどの鳴き声の子もそう。私は勝手にエマと呼ばれているのだと思っている。
というのも私の前世……いや、死んだ記憶はないんだけど、私が普通の人間として生きていた頃の名前がエマなのだ。日向絵茉、それが私の日本人として生きてた頃の名前。
なので私は今もエマとして生きている。カタカナでも通じる名をつけてくれた親には感謝しかない。この世界で名乗っても違和感ないからね。
この世界に生まれてママンに呼ばれてた名前があった気がしたけど、横文字苦手な私は覚えれなかった。なんだっけ、へラティスみたいな……いや、レスティみたいなかんじだったっけ?正直このレベルの認識だ。云年前に数回呼ばれただけだしね、正直あの時はそれどころじゃなかったし……。
妖精さん達が何故私の名前を知っていたかは謎だけど、もしかしたら魂の形みたいなのが見えるのかもしれない。だって妖精さんだし。つまり私は真名を握られてしまっている……!?と思ったけど、そもそも妖精さん達がいなければ私はとっくに死んでいるので、真名を握られてたとてかと思い直す。
……やめて、厨二病乙とか言わないで。しょうがなくない?こんな妖精さんに囲まれて育つだなんてファンタジーな世界観に浸ってたらそりゃ厨二病も再発するって!誰かの黒歴史がまんま私の今の生存環境だからね?あまり私を舐めるなよ?
まぁ、そんな冗談はさておき、妖精さん達に囲まれたメルヘェンな環境で意外とぬくぬくと育ってきた私だったんだけど、ある問題に直面する。それは食べ物への“飽き”だ。
いや、分かってるよ?こんな傍から見たらサバイバル!みたいな生活でも、妖精さん達のおかげで食べるものに困らないのは本当に有り難いと思ってるよ?まだ自力で動けないときはどこからか果物とか花の蜜とか持ってきてくれたし、自分で動けるようになった今は美味しい木の実がなっている場所を教えてくれたりするからひもじい思いはしたことがない。それは本っ当〜にありがたいことなんだけどさ。
やっぱり人間同じ物ばかり食べてると飽きてしまう。果物や木の実、花の蜜にある程度種類があるといえど、やっぱり種類にも限度があるし。山菜とかきのことかも探せばあるかもしれないけど、流石に生で食べるのは躊躇われる。
くっ、せめて火があれば……。いや、私料理出来ないんだけど。でも、素焼きで良いから別の物が食べたい。なんなら果物とか木の実を焼いたっていい。私は味変を切実に求めているのだ。
しかし、ただの一般人である私に火起こしの知識などない。よくこういう転生物語でさ?前世の知識を使って……とかあるじゃん?私には無いんだよ、火起こしの知識が!!ていうか普通に生きてて身につけることあんまなくない?だって現代社会ではマッチとかライターとかコンロとか、いくらでも簡単に火起こせたじゃん!自分で火を起こす必要なんてなかったじゃん!ここにはそのどれもないよ!!転生主人公ってどこでそういう知識仕入れてんの??むしろなんかそういう知識ないと転生主人公ってなれないの?だったら明らか人選ミスだろ、これ。
なんて嘆いていても現実は変わらない。私はとにかく違う味が食べたいのだ。でも妖精さんに料理という概念はなさそうだし……さて、どうしたものか。




