8-1【作戦】
やたらメーティスにドン引かれているなと思ったら、嘔吐薬の提案をされたヘスティアです、どうも。そりゃ、その案があるなら私のお腹かっ開こうぜ!っていう提案にはドン引くよな……。とんだサイコパスになってしまった。なかったことにしたい。
「でも、どうやってその薬飲ませよう?」
「問題はそこなんですよね……」
なので今までの主張をなかったことにして、強引にメーティスの話題に乗っかる。まさか正面からこれ飲んでくださいなんて言えるわけないし、話を聞くに警戒心MAXの相手に、そんないうなれば怪しげな薬を飲ませるとか結局かなり難易度高いのでは???これはもう、一服盛るしか……いや、それより確実に飲ませる方法……
「そうか!お酒だよ!!」
「お酒……?あぁ、お酒に薬を混ぜるんですね!」
「いやいや、そうじゃなくてさ!」
「そうじゃない……?」
だってさ、そんなことして勘付かれて飲まれなかったり、飲ませたは良いけど速攻気付かれて薬の量が足りないから吐き出せませんでした〜、なんてなったら余計クロノスの警戒心が上がるだけで、難易度ハードがエクストラにまで跳ね上がってしまう。それだけは避けたいし、何としてでもこの作戦は一発成功させなきゃいけない、失敗の許されない戦況なんだよ?それをお酒に混ぜるのではリスクが高すぎる。
「だからね、まずはお酒をしこたま飲ませて酔い潰す」
「酔い潰す?」
「強大な敵に立ち向かう時は泥酔させろってばっちゃんが言ってた!八岐大蛇しかり、酒呑童子しかり」
「バッチャン……?ヤマタノ……?シュテン……?」
「で、酔い潰れて前後不覚になったところで薬を飲ませる」
相手は判断力が落ちているので、よほど確実にかつ必要量飲ませるという寸法である。酔っ払いって自分が思う以上に正常な判断力無いからね。いいか、人を酔わせて薬を飲ませるとか良い子は絶対やっちゃダメだぞ!!私はやるよ!!倫理観とか言ってられないからね!!そんなこと言ったら生まれたての我が子を飲み込んではいけません!!!!!
「しかも吐き出されたあとも吐いた本人はへべれけで追ってこれない……はず!!」
「な、なるほど……」
勢いで言ってみたけど、なかなか筋が通ってるのでは??証拠にほら、メーティスも若干頭の上にクエスチョンマークが浮かんでる感は否めないけど、頷いてくれてるもん。やっぱりね、先人の知恵って偉大だよ。
「まぁ、結局どうやって酒を飲ませるんだって話になるんだけどね」
そして結局、振り出しに戻る。す、進まねぇ……!!どれだけ案を出しても結局、実行するきっかけがなければそこで躓いちゃうんだね……………あれ?これ、もしかして結構詰んでない??
「それなら私に考えがあります」
「考え?」
「ヘスティア様は慎重な相手が油断する瞬間とは、どんな時だと思いますか?」
打開策を期待して聞き返したら、突然めちゃくちゃ難解な問いかけされた。え、なにこれ?謎掛け始まってる???
「えっ……油断する瞬間……?」
「はい、神々が最も油断する瞬間……それは、勝利を確信した時です」
「ほーん?」
あっ、なんかこれどっかで聞いたことあるかも!!
何だっけ……なんか、デスゲームの漫画とかで見たような……?あれだよね、勝って兜の緒を締めよ的なことだよね?
「つまりクロノスに勝ったと思わせるってこと?」
「えぇ、その通りです……では、クロノス様の勝利条件とは何でしょう?」
「…………」
おっとぉ???空気が変わったな???なんだかとっても不穏だぞー???だってクロノスの勝利条件って、子どもに権利を奪われない様にその子どもを根絶やしにすることでしょ?で、今残ってるのは私だけで、ママンも幽閉されたときた。……つまり、クロノスは私を捕まえることができたら……もっと言えばコロコロする(かなりマイルドな表現)事ができれば、一応完全勝利じゃんね?
「……つまり、私に囮になれと?」
「理解が速いのは助かります。ですが、そうではありません」
「???」
「ヘスティア様は確かに囮にもなり得ますが、最高の切り札でもあります。ここで囮にしてしまうにはリスクが高い」
まぁ、それで私も食べられちゃったら元も子もないもんな。ミイラ取りがミイラになっていては世話ないよ。私だってわざわざ危険な目に遭いたくないし。
「何も態々ヘスティア様を直接差し出す必要はありません。むしろ、間接的にその勝利を知らせた方が効果的と言えます」
「というと?」
「例えばヘスティア様がクロノス様の目の前に現れたとして、ずっと探していた相手を見つけた興奮とクロノス様の慎重な性格からして、油断するより先にヘスティア様を害そうとすると思うのです」
なるほど……確かに、標的を目の前にしたなら確実に仕留めてからじゃないと油断なんて出来ないよな。そうなったらもはや酒とか薬とか言ってる場合じゃなくて笑える。いや、笑えねーよ!!!
なんだかんだこの時期はバタバタします……g




