表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/19

プロローグ2【逃亡】

本日二話目の更新です。


心地良い揺れが止まって、ゆっくりと意識が浮上する。重たい瞼を上げれば、きれいな青空と少し離れたところに人影が見えて……


「クロノス様」

「……あぁ、レアか」


そんな短いやり取りに、あぁ、夢は続いてるのかと思う。そういえば私今赤ちゃんだったなって。通りで身体が動かない。こうなる前の自分の状況は覚えてないのに皮肉なものだ。ていうかママンの名前レアっていうんだね、可愛い名前。


「……!!、貴様その腕に抱いているのは……!!」

「えぇ、あなたの子、ヘスティアです」

「はっ、余の王座を奪うものか」

「そんな……!」


なんて感傷に浸っている間に何か話が進んでいって混乱する。え、何々?何の話?めちゃくちゃシリアスなのは分かるけど、話にさっぱりついていけない。情報量が多すぎる。さっきまで名前呼び合うだけだったじゃん。急によく分からん話するのやめて?


ていうか今、余の王座とか言った?余?一人称余なの?マ?驚き過ぎてこちらも一文字になってしまった。こう、なんていうか一人称余を目の当たりにする日が来るとは、って謎の感動を覚えている。


そして、ママンが私の名前を呼んでくれてたと思うんだけど、横文字苦手すぎて全然覚えられん。正味、今の余の衝撃で吹っ飛んでった。なんだっけ?ヘから始まってたような気がする。私もレアくらい覚えやすい名前が良かったよ。


って現実逃避をしてみたんだけど、これってどう考えても父親に歓迎されてない感じだよね?えっ、修羅場なの?生まれて早々修羅場なの?ぬくぬくした家庭で育ちたかったナ……。明らかに生まれたての“我が子”に対する態度じゃないんだよな〜。

  

そこまで考えて混乱する頭で唐突に思い出したことがある。それは昔、ネットで齧っただけの記憶。


『我が子を食らうサトゥルヌス』という絵画をご存知だろうか?具体的には赤子をムシャァって食べてる男の人の絵。少し気になって調べたらサトゥルヌス=クロノスだという。


つまりクロノスが我が子を食らっているところを描いた絵なんだけど、ここで私の父親の名前を思い出してみよう。もうお分かりだね?


そう、私こそがその我が子なのだ。


え、待って?流石に人生ハードモード過ぎない?


……いや、落ち着こう。流石にね、流石に考え過ぎかもしれないじゃん?たまたまクロノスって名前で、ちょっと不穏な空気なだけでバリバリ人間の可能性もあるし?ていうかクロノス(神)が父親なら、そんな神から産まれた私も神ってことになるじゃん?いや、ないないない。


「抱いてあげてください」


そんな私の内心などお構い無しに父親に私を手渡そうとするママン。待って、まだ心の準備が……!


父親との距離が近くなってその時初めて父親の顔を見た。見慣れた黒髪に凍てつくような黄金に光る瞳に見つめられて悟る。


 

あ、これ、ダメなヤツ。



本能でそう悟った私の行動は早かった。母親から父親へと手渡されるその瞬間に無我夢中に暴れた。やだ!!まだ死にたくない!!というかあんなグロテスクな状態に自分がなるとか無理!!


おくるみに包まれたまだ小さな手足を力一杯振り回せば、何がどうなったかは分からないけど、温もりが離れていく。誰かの慌てる声を聞いた気がするけどそれすらも構っていられない。私は動くことをやめず必死に抵抗する。なんとか、なんとか逃げなきゃ。その一心で。


「ヘスティア!!」


聞こえる悲鳴のような声に驚いていつの間にか固く瞑っていた目を開く。驚いてこちらに手を伸ばす両親が何故だか鮮明に見えた。


ヒュンヒュンと耳元のすぐそばで風を切る音がする。投げ出された小さな身体はあとは重力に逆らわずに落ちていくだけだ。一瞬のことだったのかもしれない。でも、私にとっては延々と続くような………続く、ような………


待って、待って、待って?流石に地面遠くない?いくら私が小さくなってるとは言えこれは遠すぎるって。だってほら、両親の顔もよく見えないくらい遠く来ちゃってるもん。


いやいや、え!?私これどこ落ちてんの!?ていうかどこで赤ん坊引き渡そうとしてたのママン!!どうして!!!こんな崖の近くで!?確かに青空見えるなとは思ったけどさ!?場所を考えろよ!!!


これじゃあ、逃げ出した意味ないのでは!?死因変わっただけじゃん!!食べられて死ぬか飛び降りて死ぬかの違いになっちゃってる!!デッドオアデッドだよ!!アライブどこ行った!!


なんかもうずっと落ち続けてゆっくり落ちてるような錯覚に陥ってるもんね。落下地点が分かんないの怖すぎ、いつ地面に叩きつけられるか分からないなんて………頼む、せめて地面に着く前に気絶させてくれ……どうしてこんなに元気なの私の意識……あっ、オソラキレイ……


そんな絶望と共に私の小さな身体は遥か下の深い森へと飲み込まれていった。

明日からはストックがある限りは毎日一話ずつ更新していきたいと思っtています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ