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5-2【炉神】

今日も今日とて遅刻ですm

どうも、“ろ”の神ヘスティアです。


一応、メーティスから説明を受けたけどまだイマイチピンときていない。家に宿る火の神ってなんぞや……?何故それが“ろ”の一文字に集約できる……?


「みんなで囲む家の火……はっ!!“ろ”ってアレか!!暖炉とか囲炉裏の炉か!!」

「イロリ?が何かはわかりませんが、おおむねその認識で合っていると思いますよ」


突然のひらめきに丸を貰えた!やったー!そんで囲炉裏はバリバリ日本文化だったね。なんかなんでも知ってそうなメーティスだけど、さすがに日本文化は分からないか。……この世界に日本ってあるんだろうか。


「ヘスティア様には家庭の灯火や炉の炎を司り、家族の絆を加護する力があるのです」

「ほぇ〜、凄いねぇ」

「……他人事のようにおっしゃいますが、あなた自身のことですよ?」

「いや、スケールが思った以上に大きいから全然実感なくて……」


やっぱり私は串焼きの神よりも、もっと凄い神様だった!すごい!凄いけど、なんか家庭の火を司るとか家族の絆を加護するとか、全然実感がわかない。今まで串焼きを焼いていただけの私にそんなことが出来るとは到底思えないが???


しかし、ちょっとだけワクワクもしていた。だってさ、これラノベとかで親の顔より見た転生したら実はすごい能力の持ち主で、俺TUEEEEEEEが始まる王道展開じゃん?モブだと思っていた私もついにそんな主人公に?こんなん誰しも1回は憧れるでしょ!!


「ヘスティア様は本当に素晴らしい女神なのです」

「えへへ、そんなに褒めても何も出ないよ?串焼きくらいしか。もう1本食べる?」

「ありがとうございます、いただきます」


めちゃくちゃ気分が良くなりながら、もう一本串焼きを差し出せば、受け取って美味しそうに食べるメーティス。自分が作った料理を他人が美味しそうに頬張る姿は、見ているこちらも幸せになる。……これを料理と呼んでいいかは審議が分かれそうではあるけど。もぐもぐしていたものをしっかりのみ込んでから、メーティスは真っすぐ、それはもう真っすぐに澄んだ瞳で私を見据えた。先ほどよりもワントーン落ち着いた声で続ける。


「ヘスティア様はこの世界を唯一救える希望の光なのですよ」


おっと、流れが変わったな。

不穏な気配を察知。私の本能がこの続きを聞いてはいけないと全力で告げている。なんでだろうね、宗教勧誘が一瞬脳裏をよぎったよ。これ、大丈夫?なんか詳しい先輩とか出てこない?


「は、はは、お、大袈裟だなぁ」

「大袈裟ではありません」


待って、私の反応が大根すぎる。分かりやすくギクシャクしてしまった。素直さが取り柄だからね、仕方ないね。それに対してメーティスのなんて真っ直ぐで凛としたことか。惚れ惚れしちゃうね、こんな状況じゃなければね!!佇まいを正して私に向き直るメーティス。やめて!それ以上は聞きたくない!しかし、容赦なく厳かに、しかしどこか不安と期待の混じった声色で続ける。


「ヘスティア様、世界は危機的状況なのです。御尊父であるクロノス様を止められるのはもうあなた様しかいません。どうか……どうか、世界を救ってください」

「いや、流石に急展開過ぎない?」


確かにね?確かに、私も主人公に!?なんてちょっとワクワクはしたよ?けど、いざ世界救ってくれとか言われると、分不相応過ぎて無理ですわ。いや、無理無理無理。荷が重過ぎる。象さんもびっくりの重さだから。


「私、フィクションはフィクションとして楽しむタイプなんだよね」

「なんの話ですか……?これはフィクションではありません、全て現実なのです」

「それが分かってるから無理なんだよなぁ」


私の唐突なぼやきにキョトンとしながらも、ご丁寧に現実であると念押ししてくれるメーティス。むしろ私これ、これはフィクションなので、とか、夢だから、とか言われた方が張りきったよ?でも、現実でそれを楽しむには大人になりすぎてしまった。いつまでも厨二病は治らないのにね。あれは不治の病だって?知ってた。


「そもそもの話、世界って今滅亡しそうな感じ?」

「滅亡はしません、ですがこのままでは世界は止まってしまいます」


いやね、私も厨二病患者なので世界を救う救わないの視点で話を進めてしまったのだけれど、まず世界情勢どんなかも知らないからね。森で妖精さん達と育ったファンシーガールなので。絶対、世界救うの無理ってなる前にそっち気になるべきだったよね?むしろ、よく状況を知りもせず世界を救うとかいう話をすんなり飲み込めたな???


あと世界が止まるって何???オタク、流石にそれは咀嚼もせずに飲み込めないよ?厨二具合でいけばワンチャンこれメーティスの方が上だからね?いや、本人めちゃくちゃ真剣だし、魔法が実在する世界で厨ニもクソもないかもしれないけど。


「世界が止まる?」

「はい、このままでは世界はクロノス様の箱庭になってしまうのです」


悔しい……!!イチイチこの厨二心が擽られる感じが悔しい!!ちょっと話聞きたくなっちゃうもんね。世界救うとか救わないとか置いといて、とりあえず話聞きたいもんね。分かってやってる?ってくらいには厨二心めちゃくちゃコチョコチョされてる。ダメだ、この話題相性が良すぎる。


「箱庭?」

「えぇ、この世界で今、何が起こってるか……まずはそこからお話ししましょう」


だからこそ私は、聞いたらどんどん引き返せなくなることをうっすら感じながらも、そう語るメーティスの話に聞き入ってしまったのだ。大丈夫?世界を救うための第一歩それであってる?

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