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4-4【名前】

気付いたrら日付が変わってました

「あなたの名前、ミサじゃないの!?!?」


気づけば思ったことがそのまま口から漏れていた。あまりに脳直過ぎたなと思ったんだけど、それだけ驚いたんだよ!!マジで何も噛み合わないな、会話。


「ミサ?いえ、私の名前はメーティスですが」

「全然違う!?妖精さん達がミーサーって呼んでたのに!!」

「妖精さん達……?あぁ、ニンフのことですか」


わーん!新しい単語がポンポン出てきて全然会話のキャッチボールが出来ない!!いや、ニンフってどこかで聞いたよな……?いや、それもおっさんか!最近話したのなんて、あのイキりおっさんしかいないわ……悲しい。


「確かに私達には《ミィーサァー》と聞こえるかもしれませんが、あれはニンフの言葉でメーティスと言ってるのです」

「えっ!?お姉さん妖精さん達の言葉分かるの!?!?というか発音完璧だね!?!?」


衝撃の事実が発覚!!美少女は妖精さん達の言葉が分かるらしい!!私は何年ずっと一緒にいても全く分からないというのに!!!ぽっと出の美少女に負けた!!なんか悔しい!!私は全く分からないのに!!

……というかちょっと待って?


「じゃあ、妖精さんのいうェーマァーって……?」

「ヘスティア、ですね」

「エマじゃなかった!!真名を読み取られたかと思ったのに!!」

「……?、マナ?」


さらに衝撃の事実!!ずっと妖精さん達、私のことヘスティアって呼んでたの!?エマではなく!?ちょっとそろそろ頭が追いつかないんだけど???流石に自分が思ってる何倍も話が噛み合ってなくてビビる。私たちは根本から生きている世界線が違うのでは?ってレベルなんだけど。


「えーと、お姉さんは………………お名前なんでしたっけ?」

「メーティスです」

「メーティスさんね、OK覚えた」


とりあえず今わかったことを整理しようと思ったけど初っ端躓いた。ごめんね、何度もお名前聞いて。ちょっとあまりの衝撃に記憶ポーンって一瞬で飛んじゃった。メーティスね、メーティス。……カタカナの名前ってなんでこんなに覚えにくいんだろうね?なんかもう、お姉さんの名前がよしことかだったら良かったのに。


「えっと、それから妖精さん達がニンフで私の名前がヘスティア。ここまでは合ってます?」

「はい、合っていますが……大丈夫ですか?」

「うーん、大丈夫じゃないかも……」


めちゃくちゃ気遣わしげにメーティスさんに心配されてしまった。そりゃそうよな、自己紹介(?)にこんなに時間が掛かって話が進まないんだもんな。私に至っては、初対面の相手に自分の名前確認してるんだもん。そりゃ、大丈夫か聞きたくもなるよな。頭が、とつけないあたりメーティスさんの優しさを感じる。


「えーっと………あの……その……えと、メーティス、さんは、なんで私を知ってるんですか?」

「……そうですね、理由は色々ありますが一番は貴女の御母堂であるレア様に頼まれたからです」

「ご、ごぼう……?レア…………?」


なんとかギリギリメーティスさんの名前を絞り出すも、聞き慣れない単語に戸惑う。今なんて???しかし、それも束の間、なんだかどこかで聞いたことがあるような名前が聞こえてきて、必死に記憶を探る。レア、私はその名前を何処かで聞いた気がする。これはおっさんと対峙するよりももっと前……一体どこで……。喉の奥に小骨が引っ掛かったような不快感に苛む私などお構いなしにメーティスさんは続けた。


「あなたのその、レア様によく似たプラチナブロンドに、炉に灯る優しい炎のような色の瞳」


自分の容姿なんて気にしたことが無かった。鏡なんて当然無かったし、木が生い茂って殆ど光の差さないこの森では水鏡だってあまり映らない。視界の隅で金髪が揺れているのは気づいていたけど、えっ、私そんな厨二病心擽る瞳の色してんの?


「そして何よりその首にあるレア様の加護そのものと言っても過言ではない炎を閉じ込めたようなペンダント。あなたこそがヘスティア様なのだと一目で分かりました」


そう微笑むメーティスさんの視線の先にはいつだって私の首元で揺れていたペンダントがあった。その瞬間、ぶわりと記憶が蘇る。


そう、このいつも少し暖かいペンダントは私が赤ん坊の時にきっとこの身体の母であろう人がくれたもの。優しく抱かれた暖かな腕を覚えている。だってあそこは、右も左も分からないこの世界に放り出されて、私が唯一安心出来た場所。いつだって強がってきた私のこの世界での数少ない優しい記憶。どうして忘れていたんだろう。


「この、ペンダントは母が……私はヘスティアって呼ばれて………」


周りにはいつだって妖精さん達がたくさんいて助けてくれたけど、何を言ってるかは分からないし、身振り手振りで言いたいことは何となく分かっても、ほしい返事はもらえなかった。毎日生きることに必死で、それなりに楽しんでだっていたけど、現代を生きてきた私にとって今の環境はやっぱり過酷で。


思考の渦に飲み込まれそうになった時、頬が濡れて冷たくなっているのに気付いた。


「あ、あれ……?おかしいな……なんで……」

「よく、お一人で頑張って来られましたね」

「ぅ………うわぁぁぁん!」


その日、久しぶりに私は声を出して泣いた。

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