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【連載版】星空を見上げれば  作者: ジョン・ヤマト
序章 私達は星々の夢を見る
9/113

第8話 朱蒼 ②

    ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

「うん、二人ともお願いね!」


 我らがチームのリーダー、そしてわたしの大切な親友ちゃんは笑顔でこの場をバイバイしちゃっタ。

 まったく、イブちゃんは一度決めたらどんなことがあっても押し通しちゃうんだからネ。わたしの苦労も考えて欲しいヨ。


「ま、それが良いところでもあるんだけどネ」

「ハトさん、私がサポートするからあのホシを惹きつけてくれるかしらぁ?」

「もちろん、守りはメイちゃんに任せるネ! それにこれを使ういい機会だし」


 そう言ってバックパックからトゲトゲしたボールを取り出す。それを見たメイちゃんは「あらあらぁ」って少し怖い笑顔を浮かべた。


「それ研究課の試作品ですよねぇ? なんでハトさんが持っているのですぅ?」

「いひひ、秘密! それじゃあよろしくネ!」


 これからやるのは時間稼ぎだからここまでやる必要は無いんだけど━━━━━別に倒しても問題はないよネ!


 そうして空に浮かぶ二体のホシの注意を逸らすために芒炎鏡をバンバンと撃ちまくる。盲打ちだから当たることはないけどこれであいつらはわたしに夢中になるはず。


Disturber(妨げる者よ)…………』

Die(滅びよ)…………』


 ━━━狙い通リ!


 案の定ホシ達はわたしに向かって水鉄砲で遊ぶ子供みたいに沢山の熱光線を放って来た。

 一つ一つの攻撃に確かな殺意が込められているんだろうけど、わたしには無意味だヨ!


「遅い遅い! そんなに距離が離れてるんじゃ避けてくださいって言ってるようなものだヨ!」


 回転の力と身体捌きを駆使して熱光線の雨を避け続ける。

 イブちゃんみたいにアクロバットな動きはできないけど、速さだけならわたしも負けないかラ!

 

 そうして避け続けていると二体のホシに変化が訪れる。

 いくら撃っても倒れないわたしに対してもっと直接的ない方法で倒そうとしてくる━━━━簡単に言えば痺れを切らしたってことだネ。


 ━━━━でもホシさん達、こういうのは先に折れた方が負けるってものだヨ。


「メイちゃん!」

「"一時的に対象者の戦闘スーツの機能を向上…………強化コードSB3を承認"」


 メイちゃんの陣光衛星(じんこうえいせい)から放たれた眩い緑色の光がわたしを照らすと同時に身体の筋肉が引き締まる感覚が訪れる。

 それと同時に二体のホシがぐるぐると回転をしながら突撃して来た。


「ふう、それじゃあ行くヨ。よーい………………ドン!」

 

 わたしはクラウチングスタートの態勢と共にホシに向かって真っ直ぐと駆け抜けて行った。

 距離にして約30メートル。このままだと五秒もしないうちに激突しちゃウ。


 残り20メートル。ホシに近づいて来たからか肌を熱さと寒さで痒くなって来た。

 10メートル。間近に迫る二つのホシ。ここが正念場だネ。

 ━━━残り0。


「おりゃあ!!」


 ホシへと接触する刹那、ぴよーんとあいつらの頭上へと大きく飛び上がる。そして空中でホシと交差するその瞬間━━━━例のトゲトゲボールを奴らに向けて投げ付けた。


 ━━━━ボンッ! 


 鳴り響く爆発音、そしてビューと耳を劈くさせる風切り音が聞こえた瞬間、わたしの勝利を確信した。


『━━━━━Ghuaaaaaaa!?』

『Ahgaaaa!! Wats(何が)………………happened(何が起こった)!?』

「ざーんねン! いひひ、驚いてるネ。わたしも驚いたヨ」


 対ホシ用罠型兵器の試作品『水宙機雷(すいちゅうきらい)』。

 星電器とは異なり空中に設置できる罠。

 設置して標的を感知した瞬間、強力な爆発と共に電磁波が流れる。

 その威力は星電器とは比べものにならないほど大きい。それこそただの九芒星なんて一捻りするぐらいにネ!


「わたしだけでホシの討伐なんてチョチョイのちょいなんだかラ! ………………イブちゃんがいなくてもね!」


 ━━━━━だけどこの時のわたしは知らなかった。目の前の九芒星は()()()九芒星では無かったことに。


『G…………Guhgaaaaaaa!!』


 バンッ………………


「……………………え?」


 ふと赤い線が目の前を通り過ぎた瞬間、お腹が燃えるように熱くなった。

 赤い九芒星が電磁波による苦しみを押し除けながら赤い熱光線を放ったのだ。


「ぁ………………」


 お腹に触ってその手を確かめる。

 ━━━━━真っ赤だった。まるで五年前のあの時みたいに━━━━真っ赤、だった。


「ハトさん!!」

「…………! ……………………!」


 遠く聞こえてくるメイちゃんと誰かの声。それと同時にわたしはゆっくりとこの広場のど真ん中でバタリと横になった。


「いひひ…………あっけ………………ないナァ」


 目の前が暗くなる━━━━━違う、目の前が真っ赤に染まって行く中でわたしが最後に見たのは、燃えながら倒れゆく時計塔と遥か先でわたしを心配そうに見守っている大切な親友の姿だった。


「ああ、いぶ………………ちゃん」


 どんな時でもイブちゃんは、こんなわたしを助けてくれるんだネ。


 ━━━━いひひ、うれしい、ナァ

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