第115話 任務開始!
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「よおー、ハトちゃーん! 久しぶりだなぁ、元気にしてたか、うりうりー!」
「う、そんなにナデナデしないで…………!」
「ははは! 相変わらず可愛いな!」
エレン支部長に指定された場所に行くとそこには、休日だというのに作業着を着ている男勝りな雰囲気を感じる女性――――ジェーンちゃんの姿があった。
彼女はわたしの姿を見るなりその硬い手で頭をぐりぐりと撫で回すのだった。
「うぅ、髪の毛ボサボサ…………」
「悪かったな。ハトちゃんに久しぶりに会えたのが嬉しかったんだよ」
「ということはジェーンちゃんが今回の件のサポートをしてくれるってこと?」
「ああ、支部長サンから頼まれたんだよ。『この任務はアタイにしか任せられない』ってさ」
そう語るジェーンちゃんからは大きな自信が感じられる。この自信は確かに頼りになるネ。
しかし同時にエレン支部長の人選に対しての疑問も出てくる。
「ジェーンちゃんにしか任せられないって、どういうこと?」
「アタイは以前に星物保護団体に所属してたんだよ」
――――その衝撃的な一言にわたしの思考が一瞬だけ止まった。
「え、そうだったの⁉︎」
「まあ色々あって辞めたけどな。それでも組織のことについては詳しいからな、気軽に聞いてくれよ!」
「…………うん、わかった」
ジェーンちゃんが星物保護団体に入っていたのは驚いたけど、これほど頼れる人もいない。
不安が多い任務だけどジェーンちゃんのおかげで少しだけ気が楽になったネ。
さて、時刻はもう十二時四十分、集会まで残りわずかだ。
「それじゃあ、もう時間だしそろそろ…………」
「あー、そうだ。集会に行く前にこれだけ渡しておくぞ」
ジェーンちゃんは歩き出そうとしたわたしを引き留めると、作業着の胸ポケットに刺してあったペンを一本だけ抜いて渡して来た。
「これって?」
「ペン型カメラだよ、余った部品で作っておいた。これがあれば集会の様子とか録画しやすいだろ?」
「おー、確かに。スパイみたいでカッコいいネ」
「ボタンを二回押せば録画されるからな。忘れないように胸ポケットに差しておけ」
ペン型カメラを受け取り、服の胸ポケットにペンを差し込んだ。
改めて、これで準備万端。今日は絶好の潜入日和、気分は映画のスパイだ。
「よし行こう!」
「ああ、あのハイエナ共の鼻を明かしてやる」
そうしてわたし達は、星物保護団体が行う集会場所へと向かうのだった。
この時のわたしは思ってもいなかった。
――――今回の任務で交わされる新たな出会いを。そしてその先にある結末を。




