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海を知りたいぬいぐるみの脱走計画!?

作者: 半透明幽霊

「おかあさん、行ってきまーすっ」

朝、草原を赤く照らす太陽に雫が光った。

「いってらっしゃい、リト」

少女の明るい声に優しく母が答えた。

リトの部屋にある天窓から朝日が差し込んだ。差し込んだ光は別の窓にちょこんと置いてあるくまのぬいぐるみに当たった。するとくまの目に光が灯った。そして、もぞりと体を持ち上げて立ち上がった。

「ふぁぁぁぁぁぁ〜〜〜よく寝たっ」

そう言うとくまは窓の鍵をなんのためらいなくもなく開けた。

外から入るそよ風がくまの体を優しく触れた。そして、くまは気持ちよさそうに横に置いてある自分用の小椅子に腰を下ろした。

「あ〜気持ちいいいい!」

椅子に座りながら大きく伸びをしたくまはじっと外を見つめていた。そしてふと呟いた。

「今日は誰が来るかなぁ。みんな来てくれるといいな。今日こそは計画を実行するんだ!」

手をギュッと握ると再び外を眺めた。すると、その声に応えるかのように上から声がした。

「クリプー来たよー」

くまのぬいぐるみクリプは上を見上げて嬉しそうに言った。

「タイル!来てくれたんだ!」

「とーぜんだよ」

カモメのタイルは窓のふちに着陸した。

クリプの住んでいるこの村は小山に囲まれている。しかしその山を越えてしばらく進むと海があり、タイルはそこに住んでいる。幼鳥の時にタイルは嵐で風に飛ばされてリトの家の近くに迷い込んでしまった。それを見たリトはタイルを手当てしてくれた。その恩を忘れず今はクリプの計画に協力してくれた。

「リトは命の恩人なんだし」

「でも僕はちがうよ?リトのぬいぐるみだし。」

少し申し訳なさそうにクリプは言った。

「そーいうの関係ないよ」

「えっ?」

「リトとかリトのものだからとか、関係ないよ。別にリトが僕を助けてくれた。でもその恩返しはもうしたし…」

「だったら…」

するとタイルは顔を赤くしながら言った。

「だ・か・ら!関係ないの!クリプは…その…ぼ、僕の友達だから!!友達だから協力するの!」

「タイル…」

目をウルウルさせながらクリプは言った。

「うん。ありがとおおおお!!」

「水臭いことはやめろよぉぉぉ!」

二人は泣き笑いしながら言った。

それをみてつまらなそうな声が響いた。

「ったく、あんたたち今日の集合目的忘れたの?感動ドラマの撮影じゃないのよ?」

二人は慌てて下を見た。すると下には一匹の猫とウサギがいた。

「うっさいなー。少しは空気読んでよ。」

「はいはい、悪かったわねー」

「反省の意思ゼロに感じるんだけど!?てかルルこそ何で来てんの?水苦手だからだっけ、子供のお遊びに興味がないからだっけ?来ないっていってたのに、何で来たの??」

猫のルルは言葉に詰まった。

「…気分が向いたのよ。偶然今日の用事が無しになったから来たの。あんたたちとは違って忙しいんだから」

「じゃあなんで…ん!むぐっ!!」

言い合いになりそうだったためウサギのミーが慌ててクリプの口を塞いだ。

「もー終わりにしよっ!ねっ!!早くしないとリトが帰ってくる時間になっちゃうよ。」

「そうだね!もう行こっか!」

クリプも慌てて合わせた。


4匹(動物3匹、ぬいぐるみ1体)は小さな森を抜け、川沿いの林道を歩いた。2時間歩くと波の音が聞こえ始めた。4匹は顔を見合わせ頷くと走り出した。クリプはぬいぐるみのため体が小さくずっとタイルに咥えられていた。その間空を飛んでいると大はしゃぎしていたのだった。

4匹は砂浜に到着するとタイルはクリプを地面にそっと降ろした。

「「「うわぁ…」」」

タイル以外は声を失った。クリプ、ルル、ミーは生まれて初めて海を目にしたのだ。

太陽の光に当たり青や白にちらちらと反射する光。どこまでも続く水平線。白い砂浜をうっすらと透き通すコバルトブルーの水。どこまでも続く青の世界に3匹は「感動」以外の言葉を見つけられなかった。

「す、すごい」

「フン、来た甲斐があったわね」

そっけない態度をしながら海に目を奪われているルルが言った。

「うん。すごい。これが海なんだね。」

クリプはタイルの方へ体を向けて言った。

「タイル、海を見せてくれて本当にありがとう。」

そう言ってぼふっと頭を下げた。

「いいっていいって」

タイルは片方の翼をひらひら振って言った。



「おかあさん、ただいま〜」

「あら、リトおかえり」

学校からリトが帰ってきて言った。そして、自分の部屋へ行き、窓に置いてあるくまのぬいぐるみにも声をかけた。

「クリプ、ただいまっ!」

(おかえり、リト)

クリプは心の中でそっと呟く。

その時、リトが不思議そうにクリプを見た。

「あれ?なんか今、クリプから海の匂いがしたな??」

リトが鼻をくんくん動かした。

「あれ、もうしない。さっきはしたのにな?」

(ふふ、まだ潮の匂いが残ってたんだ)

リトはクスリと笑って言った。

「もうしかしてリトがいないうちにクリプは海に行ったのかも!なんてね」

(リト正解だよ!)



こうして海を知りたいぬいぐるみの脱走計画は大きな成果を収めたのだった。

めでたしめでたし?


「海を知りたいぬいぐるみの脱走計画!?」を最後まで読んでくださりありがとうございました!

自分は童話を書くのは初心者ですのでこの話が童話じゃなくても童話だと思って読んでください…

これからも面白い話を書けるように頑張りますのでよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 初めての海。打ち寄せる波とかが見えて楽しめたでしょうか。 砂まみれにならなくてよかったです。
[一言] 元気いっぱいのお話でした! 海見ることができて良かったですね。
2023/01/14 13:33 退会済み
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