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50話『黒星辰剣』

 エルトゥランの城下町は海に面した港町でもある。

 西を望めばデニズ海の青い水面が広がっている。

 澄んだ空と穏やかな波の狭間を海鳥が楽しげに遊んでいた。


 コンクリートで舗装された港に複数の大型船が停泊していた。

 船は甲板と船内の二層構造で、兵士百名が乗船できる二段櫂帆船だ。

 甲板には太い帆柱があり、航海中は大きな帆が張られる。

 その帆にはエルトゥラン王国の紋章が描かれていた。


 港は集まった人々で騒々しい。

 その大半はただの野次馬だ。

 救世主様に協力して、城を奪還した獣人とは何者かと見物に来たのだ。

 トラブルを防ぐため、警備の兵士が人の壁を作って規制をかけている。


 俺とティアナートは波止場まで見送りに来ていた。

 船に乗り込むための渡し板の前で、イツラと向かい合う。

 イツラは外套を身に纏い、身の丈を超える大戦斧を肩に担いでいた。

 この大戦斧、俺の初めての戦いでウィツィが落としていったものらしい。

 ミスミス姉弟が参考資料として鍜治場に保管していたのだ。


「わざわざわりぃな。船に乗せてもらってよ」


 イツラは陽気に笑う。

 ティアナートは豊満な胸元に右手を当てて、にこやかに微笑んだ。


「恩人へのお礼ですから、このくらいは当然のことです。イツラ=テパステクトリ、貴方の助力に感謝します」

「大袈裟なこったな」


 王城奪還の功績で、イツラは捕虜の身から解放されることとなった。

 その身柄は獣人族の国チコモストまで船で送り届けられる。

 前の海戦で捕虜にしたイツラの配下もすでに乗船済みだ。


 船を出す理由は三つあった。

 単純に海路を行く方が早いことが一つ。

 二つ目は陸路で帰る間に問題を起こされたくないことだ。

 エルトゥラン国民は基本的に、獣人族に対して良い感情を抱いていない。

 イツラとその配下たちが道中で狼藉を働く可能性もそうだが、獣人族に恨みを持つエルトゥラン国民が彼らを襲撃してしまう恐れがあった。

 解放すると決めた以上、迅速に安全に送り返す必要があるのだ。


 最後の一つはむしろ、イツラ解放以上の本題である。

 チコモストにいるドナンの軍を船で帰還させたいのだ。

 その渡りをつけるためにも獣人族の王子を国元に返すのである。

 大がかりな渡海をするので、もちろん鱗人族には話を通してある。


「イツラさん、本当にありがとうございました。俺一人だとどこまでやれたか分からなかった」


 俺は右手を差し出して、イツラに握手を求めた。

 だが彼はやれやれと肩をすくめる。


「感謝される筋合いはねぇよ。好きでやったことだ。それにオレはお前とお友達になったわけじゃあないんだぜ?」


 俺とイツラは敵として戦場で出会った間柄だ。

 この船が出たら、次に会う時はまた戦場かもしれない。


「貴方のそういうところが、俺は好きなんです」


 俺が微笑むと、イツラは呆れたように鼻を鳴らして笑った。

 体毛に覆われたその大きな手で、がしっと俺の右手を握ってくる。


「地元のバカどもを締め上げたら、またお前に会いに来てやるよ。次こそはオレが勝つ。首を洗って待ってな」


 そう言ってイツラはニカッと笑う。

 裏表のない男である。

 俺たちは互いに笑い合って握手をした。


「じゃあまたな」

「お元気で。旅の無事を祈ります」


 イツラは渡し板を上がって船に乗り込んだ。

 待っていた船上の兵士が渡し板を外す。


 船長を任された百人隊長が出港の号令を出した。

 笛の音頭に合わせて、漕ぎ座の兵士たちが櫂を漕ぐ。


 波止場から離れていく王国船を、俺は手を振って見送った。

 イツラは船縁から軽く手を上げて応じてくれた。

 帆を広げた船団が水平線に向かってデニズ海を進んでいく。

 まずは西へブオナ島を経由し、そこから北上してチコモストを目指すのだ。


「では帰りましょう」


 ティアナートは海に背を向けた。

 港の入り口には乗ってきた馬車を待たせてある。


 警備の兵士たちが声を上げて見物人の整理をしている。

 だが集まった群衆はなかなか下がってくれない。

 せっかくだから王女陛下の顔を拝んで帰ろうとでも考えているのだろう。

 そんな彼らにティアナートは手を振って応える。

 歓声の中、俺たちは警備兵が空けた道を歩いて馬車へと戻った。


 待っていたベルメッタが馬車の車体の扉を開く。

 まずティアナートが乗り込み、次に俺が中に上がった。

 馬車の中で隣り合って座る。

 ベルメッタは外から扉を閉じると、御者として馬の手綱を握った。


 馬車が港を出る。

 石畳の道路に蹄の音を響かせて、馬車が町の大通りを進む。

 車内で揺られながら、俺は左隣のティアナートに話しかけた。


「このあとって何か予定はありますか? 二つほど行きたいところがあるんですけど」


 ティアナートは俺をちらりと見ると、窓の外に目をそらした。

 それから馬車が揺れること三度の後、視線を戻してきた。


「ベルメッタに見舞いの品を手配させてあります。持っていきなさい」

「えっ?」

「ギルタ=マリージャに会うのでしょう?」


 頼んでもいないのに、先回りして用意してくれていたとは意外だった。

 彼女の気配りに俺は頬が緩む。


「ありがとうございます」

「功には報いなければならない。ギルタ=マリージャを正式に免罪します。貴方の口から告げてやるといい」

「えっ……」


 あまりに温情な対応に、俺は逆に眉をひそめる。

 ギルタは百人隊長として一年前の反乱に参加した人物だ。

 ティアナートにとっては憎悪の対象のはずである。

 罪がどうこう以前に、その憎しみを許せるのかと俺は疑問に思った。


「いいんですか?」


 俺はティアナートの目をじっと見た。

 彼女はわずかな沈黙の後、静かに頷いた。


「ただし貴方の監視下で囲い込むことが条件です。アルメリア家とマリージャ家が屈したという形にしなければならない。あの二人が貴方の下にあれば、それは私に屈したのと同じになる」


 そう言うと、ティアナートはため息をついた。

 それから右手の白手袋を口で咥えて脱ぐ。

 素肌の右手を俺の前にすっと出してきた。


「手を握って」

「えっ、はい」


 言われるまま手を握ると、ティアナートは嬉しそうに微笑んだ。


「私はねシロガネ。冷たい世界で生きることはもうやめにしたの。私は今まで気持ちがささくれる度に、心を氷のようにして麻痺させてきた。でもそんな苦しみを先送りするだけのまねはおしまいにしたい」


 ティアナートが手を強く握り返してくる。

 手の平に彼女の温度を感じた。


「こうして肌を合わせていると貴方の温かさがよくわかる。私はもう選んだの。決めた以上、私は己の幸せのために全力を尽くす。だから足を引っ張るだけの遺恨は断ち切ることにした」


 統治者として物事に是か非かの判断を下すのがティアナートの責務だ。

 一度、舵を切ったらそう動くというのは極端だが彼女らしい。

 しがらみを振り切って未来を目指す。それはきっと正しいことなんだろう。


「立派な考えだと思います」

「何を他人事のように言っているのです」


 ティアナートに握った手をぐいっと引っ張られて、俺は前のめりになる。

 鼻先が触れてしまいそうなくらい彼女が顔を近付けてきた。

 ふんわりと甘いミルクような香りがする。


「シロガネ、貴方も幸せになる準備をしなさい。幸福というのは望んで手を伸ばさなければ掴めないものです。口を開けて待っているだけでは不幸の味しかわからない。私のために、貴方も全力で幸せを求めるのです」


 俺は目をぱちぱちする。

 自分のためではなく、彼女のために頑張る。

 そう言われると不思議と受け入れられる気がした。


「ティアナートさんって、俺のことよくわかってますよね」

「それは冗談のつもりですか?」


 ティアナートはわざとらしく息を吐いた。


「貴方ほどわかりにくくて面倒な人は知りません」

「面倒な人間だって、わかってくれているじゃないですか」


 俺が笑みを浮かべると、ティアナートは呆れた様子でそっぽを向いた。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 城に戻った俺はベルメッタに見舞い品の用意を頼んだ。

 それを待つ間に俺は城の鍜治場に顔を出すことにした。

 ミスミス姉弟から呼び出しを受けていたのだ。


 鍜治場は東側城壁のそばに建っていた。

 煉瓦造りの建物の扉は開けっ放しになっている。

 作業台の前に、黄色の全身つなぎを着た地人族の二人がいた。


 もじゃもじゃくせ毛の勝気な方が姉のミスミス。

 もこもこ髪で優しそうな雰囲気の方が弟のマウラだ。

 どちらも背丈は子供と同じくらいである。

 いつも被っているバケツのような鉄仮面は床に置いてあった。

 入り口から俺が大きな声で呼びかけると、二人はぱっと振り返った。


「おーシロガネ。ちょっとお前に聞きたいことがあるんだけどさー」


 ミスミスが手招きしてくる。

 そばに寄ると、彼女は作業台の上を指さした。

 柄の部分を切断された金属槍が置かれている。

 短い期間ながら激戦を共にした相棒である。

 あらためてその姿を見て、俺は哀しい気持ちになった。


「お前、この槍を斬られたって言ったよな。それどんな武器にやられた?」

「剣ですね。長さはこのくらいだったかな」


 俺は腕を広げて大きさを示す。


「もっと詳しく。その剣の形状とか材質は?」


 ミスミスの問いかけに、俺は身振り手振りを交えて答えた。

 白い髪の少年ロタンが持っていたあの漆黒の剣のことを話す。

 マウラは壁に立て掛けた塗板に墨で要点を書き記した。

 俺なりに見たこと感じたことを伝えると、ミスミスはマウラと目を合わせた。

 無言で頷き合うや、唐突にミスミスは固めた拳を振り上げた。


「ふおおおおぉぉぉぉ!! まじか! 絶対あれじゃん! うひょー!」


 飛んだり跳ねたりして大はしゃぎする。

 俺は呆気に取られるしかない。

 姉の奇行をマウラは微笑ましく見守っている。


「シロガネ! お前って本当に持ってる奴だな!」


 ミスミスが俺の尻をばしばし叩いてくる。


「あの、説明してもらってもいいですか?」

「ヘパが作った最後の傑作『黒星辰剣』だよ! やっぱり残ってたんだよ! 運命を感じるぜー!」


 昂ぶりすぎていて要領を得ない。

 俺は助けを求めるように、マウラに目配せする。

 地人族の弟はやれやれと肩をすくめた。


「黒星辰剣は僕たち地人族の先祖が作ったとされる伝説の武器なんだ。かつて名工へパは救聖装光と合わせて一本の剣を打った。そしてその剣と鎧を人間族に与えたって言われてる。それが黒星辰剣と救聖装光なんだ」


 なるほどと俺は相槌を打つ。

 ロタンが持っていた剣はやはり特別なものだったのか。


「その、こくせいしんけん? というのはどういう機能があるんですか?」

「うん。黒星辰剣は――」


 マウラが言いかけると、待てとばかりにミスミスが間に入ってきた。

 どうやら自分で喋りたいらしい。


「黒星辰剣はなぁ、空に黒い太陽が昇った日に作られた剣なんだ。その特徴は絶対に刃こぼれしない剣ってことだ! 千人斬っても全く切れ味が落ちなかったって逸話があるくらいだからな!」


 ミスミスは楽しそうに早口でまくし立ててくる。


「でもな、どんな材質を使ってもそんなことできるわけないんだよ。どんなに硬くても叩けば欠ける。どんなに柔らかくても擦ればすり減る。どんなに良くできた武器でも使い込めばいつか必ずだめになるんだよ。でもヘパは黒星辰剣でそれを実現した。これには何か仕掛けがあるはずなんだ。伝説だと黒星辰剣は救聖装光の後に作られたって話だ。オレの予想だと救聖装光と同じ技術を組み込んだんだと思う。刃こぼれしないんじゃなくて、しても元に戻せるんだよ。鍛冶の大革命だよ! 何でその技術をちゃんと伝えなかったかなぁ! 世紀の大損失だと思うねオレは! なぁ!?」


 息を弾ませながら同意を求めてくるが、俺は愛想笑いを浮かべるしかない。

 ミスミスが技術者として熱くなる気持ちは分かる。

 だが俺が知りたいことは別にあった。


「ところでなんですけど」

「ところで!? ところでってお前……」


 ミスミスは愕然とした様子で口を半開きにしたまま固まった。

 言い方が悪かったかと思い、俺は言い直す。


「えーと、ごめんなさい。違うんです。その剣の持ち主がかなり人間離れした相手だったんです。城の三階から飛び降りてくるし、大ケガを負わせても平気で向かってきた。その剣が持ち主に与える効力とかがあれば教えてほしいんです」

「えー」


 ミスミスは不満気に、もじゃもじゃの髪に手を突っ込んで頭をかいた。

 面倒だとばかりにマウラの方に顔を向けて、あごをしゃくった。


「しょうがないなぁ」


 マウラは呆れながらも、慣れた様子で話を続けてくれた。


「とはいえ黒星辰剣は長い間、所在もわからなかったぐらいだからね。具体的な話までは残ってないよ。詩みたいな口伝でいいなら……」


 目で『どうする?』と問うてくるので、俺は頷いてマウラに促した。


「黒き星に血を捧げよ。尽きぬ渇きは雨は呼ぶ。大地に命が満ちし時、不死たる鳥は燃え上がる」

「……どういう意味ですか?」


 マウラはうーんと首を捻った。


「これは僕の推論だけど、黒星辰剣は救聖装光の後に作られたわけでしょ。救聖装光の欠陥を補完するための機能を組み込んであるんじゃないかな」

「欠陥?」

「使い手に害があること。道具としてあるまじき欠陥だよ。それについては使用者であるお兄さんが一番詳しいんじゃないかな?」


 俺は納得して首を縦に振る。

 救聖装光は装着者に力を与える代わりに、その生命を吸うと言われている。

 その結果が俺やティアナートの灰色の左腕だ。


「獣人族の王アカマピは、黒星辰剣のことを血を吸う魔剣と呼びました。もしかするとそれは比喩じゃなかったのかもしれない」


 救聖装光は装着者の生命を吸う。

 黒星辰剣はおそらくその逆で、他人の命を吸うのではと思う。

 そして剣が吸い取ったエネルギーは使い手に供給されるのだ。

 とんでもな想像だが、だとすれば白い髪の少年の不死身さにも納得できる。


「ミスミスさん、マウラさん。俺の槍はいつごろ直りそうですか?」


 俺は作業台に置かれた金属槍を見て、二人に尋ねる。

 トラネウス王国と敵対する以上、きっとまたロタンと戦うことになる。

 そのためには俺のむちゃについてきてくれる相棒の復活が必要だ。


「無理言うなよ。直るわけないだろ?」

「えっ?」


 ミスミスは作業台に手を置いて持たれかかった。

 呆れた顔で俺を見上げてくる。


「壊れたら終わり。この槍はもう死んだんだよ」


 彼女の容赦ない言葉に俺は狼狽した。


「えっ、ほ、本当に直らないんですか? 斬られたところをくっつけて――」

「そんな付け焼き刃じゃ簡単に折れる。戦場じゃ使いもんになんねーよ」


 同意するようにマウラも頷く。

 甘く見ていた俺はさーっと血の気が引いた。

 折れた武器は打ち直せば元に戻るのだと思っていた。

 取り返しがつかないことを知り、俺は胸を締め付けられる。

 俺は鍜治場の床に膝をついた。


「ごめんなさい。俺、壊れても直してもらえると思っていたんです。本当にごめんなさい!」


 俺は二人に頭を下げる。

 するとミスミスは俺の頭をばしっとはたいた。

 呆気に取られる俺に、彼女は腰に手を当てて胸を張った。


「なに辛気臭い顔してんだよ。さっきも言っただろ。武器ってのは消耗品なんだから、いつかは壊れるものなんだよ。槍が壊れたのはお前のせいじゃないことくらいわかってる。また新しいの作ってやるから楽しみに待ってろ」

「……ありがとうございます」


 俺は作業台に置かれた金属槍をじっと見た。

 その表面には無数の削れやひっかき傷があった。


「槍を溶かして、一から作り直すんですか?」


 俺の問いに、ミスミスは首を横に振った。


「この槍、部位に合わせて違う素材を使ってるから無理なんだよ。溶かしても一緒くたになって元の素材には戻せない。もったいないけど、新しい槍を作るのには使えない」

「じゃあこの槍は……」


 もうかつてのようには戦えないこいつはどうなるのだろう。

 ミスミスは俺の肩にぽんと手を置いた。


「お前に返すから、お前の好きにしていいぞ。部屋に飾るなら手直しくらいはしてやるし。欠陥品になるから戦場には持っていくなってだけだからな。飾っときゃあ、後世に獣人殺しの槍って伝説にでもなるんじゃないか? もしくは別のものに作り変えてもいい」

「別のもの?」


 俺の疑問に答えるように、マウラは鍜治場の中をあれこれと指さした。


「胸当てとか盾にするとかね。鍬とか斧みたいな日用品に作り変えてもいいよ」


 新しい槍は最高品質にしたいからだめだが、素材の再利用はできるのか。

 柄を斬られて二つに分かれた槍を眺めながら、俺は思案する。


「確認しておきたいんですけど、新しい槍はすぐに作れますか? 多分、次の戦いまでそんなに時間がないんです」

「えー? そう言われると困るなぁ……」


 ミスミスはもじゃもじゃの頭を両手で押さえた。

 眉間にしわを寄せて渋い顔をする。


「間に合わせろって言われれば、最低限は間に合わせるけどさぁ……でも雑なの作ってもまた黒星辰剣にぶった切られるだけだぜ?」


 そう言われると返す言葉がない。

 結局は二人の腕前頼みなのだ。

 だったらごちゃごちゃ言わずに任せた方がいいかもしれない。


「わかりました。新しい槍は無理せず、しっかりお願いします。もし間に合わなかったら、この折れた槍で頑張りますから」


 ミスミスは眉尻を下げて、わしわしと頭をかいた。


「そういうのはあんまり好きじゃないんだけどなぁ……まぁなるたけ急ぎではやるよ」

「お願いします。頼りにしてますから」


 あらためて俺はミスミスとマウラに頭を下げた。

 二人が作ってくれた槍のおかげで今日まで生き延びてこられたんだ。

 次の戦いにも姉弟製の槍を持っていきたい。


「よっしわかった。黒星辰剣にも負けない、すっげぇ槍を作ってやるかんな! それでお前が勝ったら、オレの槍が世界最強ってわけだ。オレたちで伝説を超えてやろうぜ!」


 ミスミスは思い切り俺の背中を叩いた。

 俺は息を詰まらせながらも、彼女の熱意を心強く思った。

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