第二節 戦争前夜
いよいよ戦争の前日です
-3050年 ハドゥト帝国帝国議会-
「これより、帝国の今後の動きに関して議論していきます。では、ヴィジュ大将どうぞ。」
大将はゆっくり歩きながらマイクに近づいた。
「わしは、戦争を起こすことに賛成する。帝国は先の戦争で何も得ることができなかった、ただ臣民が疲弊するだけだった。セメシス様の無念を果たすためにも陛下お考えください。」
「ヴィジュよ、2年前のことは果たせたのか。」
「はっ、ニニセ王国、ニスケ王国など南海諸国が味方となってくれます。戦争になれば、海を封鎖し、連合軍に経済的打撃を与えることができます。」
「異議あり!」ここで東方将軍のヴギュフト将軍が口を出した。「大将殿、南海諸国を味方に付けただけでどれほどの兵力の支援が受けられるのですか!」
「南海諸国は海軍が充実しているため、我が帝国と合わされば陸海ともに最強となる。」
「しかし、戦争において兵数も重要です!」
「陸軍10万、海軍15万だ。」
「それだけで連合に勝てるとお思いか!この戦争に負けたら後はないんですよ!」
「そこまでにしろ。」ハドゥト帝国の元帥クトゥフがお互いを静めた。「そう熱くなるな、陛下はお決めになられた。」
「宣戦布告をしろ。連合を思い知らせてやるのだ。」
会場がどよめいた。
「陛下、ありがとうございます。」
「うむ。父の無念を果たそうと思う。」
「異論はないな。」クトゥフ元帥が重く念を押した。反論するものはいなかった。
-大将官邸-
「ヴィジュ様、うまくいきましたね。」こう語るのは西方鎮守のストリュト鎮守だった。彼はヴィジュの弟子であるため、ヴィジュの言うことを聞いているため、今回の件にも関わっている。
「うむ、助かったぞ。よくやってくれた。」
「はい、働きかけた甲斐がありました。」
「周辺諸国は圧倒できる。そのあとはどうなるか分からんが、良い。明日は共に武功をたてよう。」
「はい!」
この翌日から54年に及ぶ戦争が始まることになる。
続きます