ムサシ、中島知久平と会談ス!!
中島航空機の総帥、中島知久平との会談が実現したのは数日後だった。
場所は横空基地の私の執務室。
傍聴の問題もあるので、岩本にお茶と菓子の準備だけしてもらい、以後は密室にしてもらった。
「始めまして。武藤大佐。中島航空機代表の知久平と申します。」
「武藤大佐です。わざわざご足労頂き感謝します。
中島さんとは一度会談を試みたかった処です。」
「そうですか・・。大佐の発言で零戦は生まれ変わったと聞きます。
アレは素晴らしい機です。特に発展性を考えた設計には航空技術者としても感嘆しました。」
「12試時代は複葉機からの脱却も出来てませんでした。馬力も足りず敵が強くなれば、
パワーアップも不可能な華奢な構造で堀越さんにダメ出ししたのは私です。」
「G大佐の考える零戦を潰したのは素晴らしかったですね。空戦性能を求める余りに、
翼面荷重まで素人に指定されては技術者は逃げ道がありません。
残るは機体の軽量化のみです。」
「ええ、惨いパンチ穴ばかりで実戦では使えないと判断。
G案の試作案を潰し設計はそのままで強化を図りエンジンを瑞星から金星へと変えました。」
「正しい判断です。」
「話は変わりますが、中島さん、貴方の会社では国防迎撃戦闘機を作って欲しいのです。
それも川崎や愛知、その他の航空機会社と総力を挙げて。。」
「国防迎撃戦闘機・・ですか??」
「ええ、我が帝國は米国のみと闘いを続けてます。
撃退を継続するには基地や国土を守れる高高度戦闘機を必要になります。
三菱は艦上機に専念して貰いたいので余裕のある中島航空機に依頼したいのです。
条件は高高度に数分で登れる迎撃戦闘機です。
速度は出せるなら幾らでも・・です。
上昇限度は15000mは欲しいですが、最低でも13000は登れる機です。
当然既存のエンジンでは話になりませんが、金星などのエンジンに加給装置を装備し、
コックピットは機密室ですね。」
そこまで話すと知久平はため息を吐く。
「武藤大佐、それは・・裁量を全て会社に任せて頂けると言うのでしょうか?」
「ええ、モチロンです。海軍は全て抑えました。陸軍も山本長官が説得します。」
「・・・分かりました。新鋭エンジンで無く加給装置で高高度迎撃機ですね。」
「ハイ、ジェットやロケットではテストや諸々で10年はかかるでしょう。
それでは間に合わないのです。
祖国が焼け野原になる前には量産配備しないと。
猶予は米軍が艦隊を再建する・・二年です。」
「二年ですか?全く0から開発で無いなら可能です。
では早速会社に帰り概要を纏めます。時間は一秒も無駄に出来ません。」
「宜しくお願いします。ミサイルなどは結構ですが、主翼に30粍機銃は欲しいです。」
「B17以上の爆撃機が・・。」
「間違い無く出現します。ですので魔物を斃せる勇者が必要なのです。」
「海軍が凄い大量の資源を輸入すると聞きますので、それを回して下さい。
さすがに資源ナシでは難しいです。」
「了解です。確約しましょう。」
中島と武藤は笑顔で別れ執務室を後にした。
中島知久平を抱き込みます。




