大空戦
サイパン上空の戦場は激戦と化してた。
ドッグファイトに弱いと言われてたP40が空戦を零戦に挑んでるが・・。
重いので旋回半径が伸びて簡単にケツを取られて食われてる。
前史の通り、楕円形に旋回半径が膨らむのだ。
前史でもP40はカモだったが、今生でも同じ・・か。
まあお得意の急降下離脱でも今の零戦なら負ける心配はナシ。
欠点は全て開発時に潰した万能機が今の零戦だ。
P36はP40の空冷版の駄作機。
まだ開戦直後なので米軍も余裕が無いのだろう。
食われる心配は無いが敵も必死だ。
敵が我が機の特性を把握する前に散って貰わねばならぬ!!
「武藤だ!!我が小隊員は待機セヨ。私が見本を見せる!!」
小隊を3000mに待機させ、私は単独で敵に挑む。
敵は・・P40,10機!!
敵は私に気づいたのか、単機と見て挑んで来た。
私はゆっくりと旋回し敵を待つ。
鎌首を上げて上昇して来たP40に我が機は一瞬で急降下。
主翼からは白い水蒸気を出し敵に接近。一瞬で敵に接近し約50mで射撃。
4門の13粍が火を噴くと敵のコックピットは粉々になり海に消えて逝く。
撃墜一機と判断したら即座に急上昇。
500m登ったら敵を見直すと・・頭に来た敵が追いかけて来る。
一瞬で機を裏返し、敵に接近。
驚いた髭ツラの敵パイロットが見える・・が、次の瞬間。
彼は私の弾丸に斃れ肉塊と化し、海に消えて逝く。
そして次々に敵を落としまくり、気づけば10機のP40を全て叩き落としてた。
部下は・・。
上空で私を守ってた。
有難い。
編隊に戻ると部下に攻撃を譲り次々にP36へと踊りかかって行く。
敵は劣化性能なので零戦とマトモに闘えば撃破されるのみ。
我が小隊員も奮戦し、次々に敵を葬ってる。
叶わぬと思ったか、敵は無電で撤退を通達したのだろう。
次々に戦場空域から離脱。
蒼空には敵の墓標たる飛行機雲の輪が盛大に散らばってる。
海や地上には激突した敵の残骸が浮いたり炎上してる。
まさに大空の決戦だった。
敵も我が戦闘機をけん制しようと必死なのは分かる。
海軍が返り討ちに遭い、壊滅した現在、米軍も総力を挙げサイパン攻撃に必至。
我が国は今回の戦争を国防戦争と名乗り、米側は太平洋戦争と名乗るそうだ。
だが我が国がハルノートを暴露した事で世界の目は厳しく、なをかつ、返り討ちに遭うと言う、
無様さで笑いものになってるそうだ。
欧州では第二次大戦が始まり米軍も参戦したいそうだが、ハルノート暴露で連合国が拒否!!
下手に関わるとボッタくられると思われてるそうだ。
嗚呼、滑走路に着地セヨ、戦闘終了の煙弾が上がった。
制空を続けながら被弾した機を優先させ着陸させる。
やがて当番分隊のみが警戒飛行を続けるのみで基地は静まる。
時に1100.
戦闘終了が告げられ指揮所で戦果集計が行われる。
ガンカメラがそろそろ開発終了するハズだ。
それまでは目視の戦果報告のみ・・。
総合戦果、撃墜64機。
我が方の被害、被撃墜0,被弾4機。全機帰着セリ!!
武藤小隊、私が10機、小隊員が各自1機ずつの13機撃墜。
地上で撮影してたらしく、空のムサシと呼ばれる様になるのは後の話だ。
昭和20年の厚木上空の迎撃戦をモチーフに描きました。
単独でグラマンF6Fを追い回し、10機対1機で撃墜4機でした。
この戦いは地上で目撃した方が多く、空のムサシが定着したのです。




