6 婚約させられそうです
今、私が着ている水色のドレスは、白のレースが入ったほんとに清楚で可憐という言葉がピッタリのドレスだ。
ついつい、自分自身だけど見惚れてしまう。だって、ほんとめっちゃ可愛いんだもん。
ラーナが、呆れた顔で
「ゴホン。そろそろ行きますよ。」
と言ったことで、急に現実に引き戻される。主人に向かってこんな顔してるラーナっていったい。まあ、わたし的にもそっちの方が変に気を使われるより楽だからいーけどね。
執務室までラーナが案内してくれてるからそれに今ついて行ってる感じだけど、改めて見るとほんとに広い。一体前世の家の何倍あるんだろうか。装飾もヨーロッパで見られそうなお高そうなものだ。
後で散歩でもしてみようかな。と思っていると着いてしまった。
ここからは、私だけで入るらしい。ちょっと緊張するけど、ここは自然に記憶みたいにやればいいんだから。
「失礼します。お父様。お呼びでしょうか。」
「あぁ。リーンよく来たね。ソファーに座りなさい。」
お父様にそう言われて、顔を上げるとそこには、青色の瞳に金髪のなんとも可愛らしい男の子と、明らかにオーラが違う風格の青色の瞳で長い金髪の髪の毛を結ぶ男性がいた。カッコいいというより、美しい感じの男性だ。
流石に、私はそこまでバカではない。これが今の王様と第一王子だということはわかっている。ただ、本当に冷や汗が止まらない。先程までそう簡単に会わないだろうと思っていたのに、すでに1人攻略対象にあってしまっているのだから。
さっきの私のアホ!せめて、もう少し早く整理し終わってれば、作戦考えられたのに。もうー!!
「何をしている。リーン座りなさい。」
私は、はっとして、急いで
「はい。それでは失礼します。」
と言って席に座った。これから何を言われるかなんて想像がつく。でも、できれば他のことであって欲しい。
神様、仏様これからもいい子にするので、この状況を打破してください。お願いします。と心の中で念じてみる。
「お久しぶりだな。リーン嬢。元気だったか。」
と、まさかの王様に話しかけられた。内心は、焦りすぎてアタフタしていたが、今までの習慣のおかげで自然と立ち挨拶をすることができた。
「国王陛下お久しぶりでございます。陛下の計らいでとても元気に過ごすことができています。王子殿下おはつにお目にかかります。リーン・アスガルドと申します。」
「よいよい。そうかしこまるな。今日は、そなたに頼みがあってきたのだ。」
「頼みですか?どういったことでしょうか。」
「それについては、私から説明しよう。リーンもそろそろ13歳になるし、14歳からは社交会にも参加するようになる。そうなると、リーンの相手をそろそろ考えなくてはならない時期だ。そこで、リーンには、第一王子殿下の婚約者になってもらいたいと思う。」
あぁー、やっぱり予想通りだな。回避方法も思い浮かばないし、どうしよう。ここで嫌だとかいったら、お父様悲しむよね。いや、でもいきなり婚約っていうのは何とか避けたい。
そんなふうに頭を悩ませていた。
「まあ、まあ、公爵。リーン嬢もいきなりのことで困惑しているようだし、息子と過ごさせて仲よくなってもらってからでもいいんじゃないかな。」
「それもそうですね。では、リーン。王子殿下に我がアスガルド家の庭園を案内して差し上げなさい。わかったね。」
いやだー!!!何この展開?強制力働きすぎだよね!
いや、待て私、まだわかんない。とりあえず、案内しながら婚約を断る方向に誘導できるか、試してみよう。
「わかりましたわ。お父様。では、第一王子殿下ついてきてください。」
私は、かなり嫌々だったが、笑顔を作って庭園への道を案内し始めた。