3 状況整理をします①
一通り食べ終わったので、まずは一刻も早く状況を整理しようと思い部屋へ戻った。
とりあえず、転生したにしろ何にしろこれからの生き方を決めないと、どうしようもないじゃない! もしくは、日本に戻れる方法があるかもしれないし、まずは情報収集からしないと。あ、でも私死んだから日本には戻れないか。ちょっと寂しいな。
とりあえず改めて自分の部屋を見るとほんとに広いのが実感できる。あ、この部屋本がたくさんある。しかも日本語じゃないのに、なんか読めるんだけど、ほんと不思議。
そーいえば、よく、私のおばあちゃんがよくわからない状況に直面した時に焦らず、身の回りに何か使えるものがないか探せって言ってたな。
よし、引き出しの中とかも探してみよう。そう思い、 引き出しを見ると鍵のかかった本を発見!
これ絶対情報が載ってるに違いない。でも鍵が あるんだよね。
どーしよー、とりあえず力でやってみようかな。
前世の私は男子から握力ゴリラと称えられたほどの実力、今はどうかわからないけどやってみよう。
「ふぬーー!!」
ミシッ、ミシッと音がしているけど、開く気配はない。
やっぱり駄目か。今の体だと前世ほどの力が出ない。
もう一回部屋を探そうかな。
そう思い、もう一度本棚を端から見たり、引き出しのなかを探したけれど収穫はゼロ。どーしよ。進まない、そう思ってふと窓辺に目を向けると前世で見たことのある花が花瓶にいけられていた。
確か、オトギリソウって、花だった気がする。綺麗だなと思い近づいてみると、何かが反射して光っていた。近づいてみると花瓶の中に鍵があった。
水から取り出して本の鍵穴に差し込むとぴったりハマった。
「カチャリ」
どうやら、私の探していた鍵はこれで間違いなさそうだ。さっそく読もうと思い本を開くと、パカーンと眩しいほどの光が急に現れ、思わず目を閉じた。その瞬間、私は、温かい光に包まれたまま公爵令嬢リーン・アスガルドとしての記憶が一気に蘇った。
幼い頃から現在に至るまでまるで一つの映画でも見ているようだった。
ただ、私が思ってた以上にリーンは辛く大変な思いをしていた。小さい頃から公爵家の長女として、毎日毎日勉強を10時間こなし、それに加えてマナーレッスン。
乗馬や護身術、毎週本を100冊以上読まされている。常に監視のようにメイドや騎士がついていて、1人になる時間すら無い。
自由の時間がないのだ。
たった12歳の子にこの生活を毎日やらしてたなんて、いくら公爵家に生まれたからという理由だけではやりすぎではないだろうか。
リーンはいつも心のどこかで諦め、感情を塞ぎ込むようになった。お父様との関係は、比較的良好のように見えるが、問題は、お母様との関係だ。
お母様は、隣国ヨハネの第一皇女でこのアスガルド公爵家に嫁いできた。お父様との仲は良さそうなのに、娘のリーンとはいつも必要最低限の会話しかしない。ひどい時は、無視され、失敗すれば叩かれる。
私が見た記憶の中で1番最悪なのは、お父様にリーンがお母様に叩かれることを話そうとしたことがバレてしまって暗くて薄気味悪い物置に閉じ込められてしまう記憶だ。
リーンは何度も何度も、
「お母様!開けてお願い!もう何も言わないから、助けて‼︎」
と叫んでいるのに、誰も助けない。
こんなの誰でも嫌になるに決まってる。ほんと、胸糞悪い映画を見せられたような感じだ。
ラーナがリーンに仕えるようになって、少し明るくなったが、依然として12歳の子供のする目ではない。
そんな人生にすでに嫌気がさして、私が移りこんだのだろうか。
と考えていると、私が元いた部屋に戻っていた。本のページは、自然とめくられ、最後の2ページに変わっていた。
最後は何が書いてあるんだろうと思い、開いてみると、
今度はピンク色の光に包まれた。