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竜のさきっちょ  作者: 小鈴なお
2章 高校生最後の日(恋愛、コメディ)
4/61

1.3 ぷるぷるしていた

 そこで思ったわけです。巻くんのことが好きなのは置いておくとして、私はこれでいいのかと。

 

 高校3年間、きちんと区切りをつけて次の大学生生活に進まなくていいのかと。


 こんどこそ、明日こそ。

 でも結局なにもしない。


 これからの人生ずっとこうやって生きていくのかと。


 巻くんに想いを告げる。

 もうこれだけは絶対やらなければいけない、そう思ったのです。

 

 成否の問題ではないのです。


 ……ちょっと嘘です。振られたらショックで仏門に入ります。多分余計なことしなきゃよかったって思うだろうなぁ。


 でもこれを片付けないまま高校生を終えるわけにはいかない。


 一応3月31日、23時59分59秒までは私も高校生で間違いないはずです。

 

 それまでに。

 

 ……と、決意はしたんですけどね。当たり前のように31日になるまで何もできないのが私です。


 古来恋心を相手に打ち明けるとなれば、面と向かって口上を述べるのが正式でしょう。文をしたためるというのも十分誠実だと思います。あとは電話ならぎりぎり許してもらえそうかな。


 そんな世間様の常識を十分に把握しながら、私の選んだ手段はSNSでした。うっわぁ……。


 いや、だって無理でしょ。そんなんできてたらとっくにやっとるわ!


 せめて、スタンプでごまかさずに平たい文字列で送ることにしましょう。


「好きです」


 よし。あとは送るだけだ。


 16時32分。

 とりあえず夜ご飯のあと送るぞ。


 19時13分

 食べ終わっちゃった。

 やっぱ身を清めないとね。お風呂はいろっと。


 21時17分

 やー、つい長風呂しちゃったなー。

 ・・ついじゃないだろ。いい加減覚悟決めようよ、私。


 まあこんな私なのです。

 

 なのですが! 


 ここで重大発表があります。


 巻くんが寝ちゃうかもしれないし、せめて22時00分までに、と手をぷるぷるしていたわたくし。


 案の定22時00分を過ぎてもぷるぷるを継続していたわたくしが。

 

 ついに送ったのです。

 

 22時31分35秒。

 好きです、の文字列を。

 巻くんに。

 この私が。


 えらい!


 思わず一句詠みたい気分です。

 詠めないけど。

 

 とにかく私がんばった。ほめて! ……あと、できればOKしてよ巻くん。


 そんな謎のテンションの私が余韻に浸る間もなく、かかってきたのが件の電話というわけです。

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「いんちき奴隷館(連載)」
「ソーシャルディスタンス千香ちゃん(短編)」
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--
小鈴なお
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― 新着の感想 ―
[良い点] 1.3 残り88分25秒 まで読みました。 想いを伝えようと考えつつもいつまでも想いを伝えられないところが面白かったです。 最後は送れて良かったです!
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