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竜のさきっちょ  作者: 小鈴なお
2章 高校生最後の日(恋愛、コメディ)
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1.2 無事之名馬

 これは運命でしょう、と今度こそ告ろうとします。

 いやでもまだ残り1年同じクラス。あせることはありません。


 ゴールデンウイークが終わって梅雨です。

 雨の日に下校時間が重なったら傘に入れてもらって告るぞ、と身構えますがそんな都合のよい場面は訪れません。


 夏休みが近づきます。

 私も受験勉強を本格的に始めなければいけません。振られて夏休みに突入しちゃった日には、頭真っ白で完全に浪人確定です。時期がよくありません。


 秋、文化祭に体育祭。それっぽい行事が目白押しです。

 今度こそ告れない言い訳がない。言い訳がないどころか、準備で一緒になる機会もいっぱいありました。あったんだけどなあ……。


 明日こそは勇気出しちゃうよ、を繰り返す日々です。文化祭前日なんか、クラスみんなで遅くまで残って。二人だけで買い出しにいったりまでしたのですけどね。せめて不自然に体をくっつけるぐらいすれば察してくれたかなぁ……。


 そしてついに冬休み。

 さすがにもう受験一色。こんなときに余計なことを言って邪魔をしてはいけないな、と。


 はい、嘘です。もうこのあたりになってくると自分の行動が読めてしまいます。どうせなにもできないままなのは分かっているので受験に意識を集中します。

 

 この諦めがよかったのか半ばやけくそだったのかよくわかりませんが、無事志望校に受かりました。


 一応学校に報告に行って、巻くんも無事どこやらに通ったらしい、というのを小耳に挟み、気分良く家に帰ります。


 文字通り小耳に挟んだだけなんですよね。ここで堂々と聞いてまわるような根性があれば親切なだれかが巻くんとの間をとりもってくれたのかもしれません。


 こうなるとあと学校に行くのは卒業式のみ。


 卒業式当日、一応卒業アルバムにコメントを書いてもらいました。


 巻くんがしゃしゃっと書き殴ってしばらく止まり、ほら、と差し出されたアルバムを受け取って私の高校生活はほぼ終了です。


 無事之名馬、って書いてありました。男の子ってこの手の漢字並べた言葉好きですよね。


 いや、別にいいんです。巻くんっぽいし。……なんでこんなこと書いて寄越したのか、意味は分かりませんが。

  

 私も書きました。一揆のからかさ連判状みたいになっていた巻くんのアルバムに、私の字も残っているはずです。


 なに書いたっけ。覚えてないぐらい当たり障りのない内容にしてしまったのは確かです。せめて好意を匂わすようなことぐらいしてもばちはあたらないのに。


 そんなこんなで次に会うのは開催されるかどうかも分からないクラス会となってしまいました。万事休す。

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小鈴なお
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