おどうけもの
ーーーそのピエロは泣いていた。
この文は、当たり前である。ピエロが泣いているのは、当たり前である。まず、ピエロというのは、道化の中でも泣いているものを指す。だから、しごく当たり前である。
しかし、これを変える気ではない。ある話では、小説はありのままを書くものである、と、言った。その通りだと思う。だから、こう書いた。
しかし、だから、と言って、これが正解だと思っている訳でもない。まず、作品に、正解、などない。ルールがあっても、正解、はないハズだ。
ーーー彼の職業は道化師だった。
ーーーサーカスで人を笑わせる、道化師。
ーーー元々、彼は人を笑わせるのが好きであった。
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ーーー彼には、恋人がいた。
ーーー「いた」、これは過去形である。
当たり前である。わかりきった事。英語で言えば、大過去(have p.p.)であるが。書くか。
ーーーしかし、ここでは英語で言うところの、大過去、と言うものだ。
ーーー今は、居ない。
ーーー日本語では過去形で言えば、今とは状況が異なる事を指すだろう。
蛇足だろうか。
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ーーー付き合って、3年目。
ーーー彼は、浮気をされていた。
この文は、どうだろうか。淡々とし過ぎている。しかし、どう書けば良いのか。浮気など、そんなものだろう。自身の事でないのに、どうして他人の事が解ろうか。事実を、述べる。
ーーー彼と、彼の恋人は、愛し、愛し合っていた。
ーーーなのに、恋人は、浮気をしていた。
ーーー理由は今でも分からない。
ーーーただ、彼は浮気をされていた。
ーーー彼は、それを知っていた。
ーーー知っていて、放置していた。
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ーーーある時、彼に、悲しい事が起きた。
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ーーーしかし、彼は、笑い、笑わせなければならなかった。
ーーーサーカスの最中、彼は、落ちた。
ーーー空中ブランコから、ワザと。
ーーーこれは、自らをバカにするための、シナリオであった。
ーーー彼は、脚を砕いた。
ーーー想定外の事であった。
筆が進む。調子が良い時は、助かる。考える前に、筆が綴る。良い事だ。
ーーー悲しき道化師は、サーカスを辞めた
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ーーー恋人は、車椅子の彼を世話していた。
ーーー恋人は、浮気相手とはあまり会わなくなった。
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ーーー恋人の浮気のフラストレイションは、限界であった。
ーーー彼を、殺してしまおう、と思った。
ーーー車椅子の、螺子を外し、河辺へ出掛けた。
ウム、飛び過ぎてしまったろうか。しかし、ここはあまり、重要な所ではない。サラリと書こう。
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ーーー彼は、重傷を負った。
ーーー死ななかった。
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ーーー彼は、恋人に、別れよう、と言った。
ーーー彼の恋人の、浮気の為に。
ーーー浮気相手と、シアワセになって欲しかった。
順調順調。
ーーー自らのシアワセより、愛する人のシアワセを望んだ。
ーーー元から、別れるつもりであった。
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ーーー恋人は、その相手と、別れた。
ーーー経緯は、分からない。
ーーーただ、彼は別れた事のみを知った。
ーーー彼は、怒りを覚えた。
ーーー何の為に、私を除けようとしたのだ。
ーーー何の為に、私はアイツを許し、私と別れたのだ。
自分で書いているが、「彼」とは分かり得ないだろう。別れを切り出したくせにそれを恨むのは、間違いだろう。
ーーー彼は、元恋人の家を突き止めた。
ーーーその元浮気相手の家も、探し出した。
ーーー彼は、ナイフを握りしめる。
ーーーこのナイフは、元々、サーカスの道化時代に、投げナイフとして使っていたものだ。
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ーーー彼の、元恋人は…
はて、困った。「彼」は、「元恋人」を殺す。どう表現したものか。「赤い染になった」にしようか。そうだ、「彼」の、昔の姿を彷彿とさせよう。
ーーー彼の、元恋人は、赤黒いダンダラ模様になった。
ーーー彼は、涙を流した。
ーーー6歳の頃に、泣いたきりであった。
今日は、このくらいで、キリをつけよう。眠たい。眠たい時に書いても、崩壊するだけだ。それでは、おやすみ。
如何でしたでしょうか。
ダラダラと長いですね。
小説を書く小説家の小説でした
さて、彼はこの後どのように物語を書き綴るのでしょうか。
お読み頂きありがとうございました。
(タグとか分からん)