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崩壊世界散歩  作者: 鶴野オト
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柴犬、日本原産の日本犬の一種で遺伝的には古くからの血を受け継ぐ現存古代犬種の一つである

俺は足を止めて地面にこびりついた犬の写真を剥がした

黄色いボールを咥えて満足げに笑っている

いや、こいつからしたら不満なのかも知れないが

人が動物に抱く感情ほど勝手なものはない

俺は写真を折って小さな紙飛行機をこしらえた

何の気もなく投げたら風に乗ってかなり飛んだ

崩壊前はよく彼女とこんなことして遊んだっけかな

俺は紙飛行機の描いた軌道の先に遺骨を見つけた

まあ崩壊後の世界では日常茶飯事だが、この骨は少し特殊だった

縦に長い頭蓋骨に小さく鋭い歯、細い四肢に真っ直ぐ伸びた尾骶骨

簡単に分かる、これは犬の骨だ

もしかしたらさっきの写真の犬かも知れない

俺はその頭蓋骨が何かを咥えていることに気がついた

頭蓋骨の先を掘ってみると小さな人の遺骨が出てきた

きっと瓦礫に挟まれたんだろう、脚の骨が逆に曲がっている

この犬はこの人を助けようとしたんじゃないのか

そしてこの人が犬の写真を撮った人なんじゃないのだろうか

真相はもう分からない

人が動物に抱く感情ほど勝手なものはないのだから

でも、だったらいいなと思う光景だった

俺は落ちた紙飛行機を綺麗に開いて切れないように気をつけながら平らにするとそれを大事にポケットへしまった

そうして俺は再び歩き出した

俺以外の誰かに出会うために

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