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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十六章 汚いし姑息、あと臭い、そしてそれだけじゃない
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90 王都陥落

『勇者は異世界に帰れぇ~っ!』



『勇者は帰れ! 勇者は帰れ!』



またしてもデモ隊様のご登場である。

魔王がこの仕組みを異世界にもたらしたのであろうが、完全に悪の側がやって良いことではないと思うぞ……




「うるさいのが来ているな、王都はあいつらにやられたのか?」


「左様、総数はあんなもんではないがな、きっと他はまだ王都で略奪でもしているんじゃろう」



確かに、兵のいる貴族の屋敷もやられ、応急の主要人物もここに来るべきとする理由がある。

デモ隊の最前列は幼い子ども、中列が何らかの手段で脅されたと思しき王都民なのである。


これでは攻撃など出来ようはずもない、ここからでも前方に居る連中の暴動参加意思がそこに存在しないことが窺えるからな。



そして、実際に後ろで声を張り上げているのは安定の帝国人、またお前らか……

ついでに下級魔族や中級魔族も混じっているようだな。

その少し手前は流布された噂話を信じ込んでいると見える馬鹿な王都民だ。



で、さらにその後ろ、最後尾に控えているのがニヤニヤ顔のおばさんである。

明らかにアイツが魔将補佐だろうな、帝国人や魔族を引き連れ、馬鹿な王都民を洗脳、善良な王都民を脅迫し、内部から一気に攻め落としたというのであろう。


しまったな、魔将やもう一体の補佐に気を取られている間にこんなことをされているとは。



「困ったな、これじゃあ俺達だって攻撃出来かねるぞ」


「ユリナちゃんの魔法で後ろだけ攻撃したらどうかしら?」


「ダメですわ、衝撃で前に居る子どもが汚泥の沼に落ちてしまいますの」


「それはさすがに拙いわね……」



敵がいる位置、つまり汚泥の沼の対岸とこちら側は木の板で出来た急ごしらえの橋で繋がっている。

だが、向こうから渡って攻めてこようという気配は一切感じられない。


おそらくあそこで声を張り上げ続け、俺達を疲弊させてしまおうという魂胆なのであろう。



「おぉ、ゆうしゃよ、これではわしらも帰ることが出来んぞ」


「まぁ良いさ、しばらく篭城しようぜ、他の都市に救援要請に行った貴族達も居るんだろ?」


「もちろんじゃ、インテリノを中心にいくつかの部隊が動いておるのじゃよ」


「じゃあ一旦はそれ待ちということで、中に入ってしまおう、奴らの声は聞こえなくなるはずだ」



ついでに関係の無い客達を帰そうと思ったのだが、部屋を取っている連中はそんな状態の王都には帰りたくないようだ。

続けてご宿泊とのことですか、誠にありがとうございます。


ホールで屯していた連中はもちろん追い出しました。

早速魔将補佐おばさんの話術にやられたのか、デモ隊に参加したようである。



「マリエル、食糧はどのぐらいある?」


「ここに居る全員で1週間は大丈夫な量がストックされています、無くなる頃には救援が来ると思いますよ」


俺達はカジノを取り囲んだ不法デモ隊をガン無視し、篭城作戦へと突入した。



※※※



「あぁ、屋敷がやられたということは私のコレクションや蔵書もやられてしまったのですね、しかもお母さんの店まで……」


「ルビア、細かいものはまた買えば良いんだ、それよりも屋敷だよ、屋敷」


「おぉ、ゆうしゃよ、王都を奪還しさえすればまた新しいのを作れるぞよ、この間森で手に入れた良質な木材もあるではないか」


そうだった、木魔将を倒したときに大量の木材をゲットしていたんだ。

それを使えば新しい屋敷も建てられる、それから温泉も掘りなおせば良いしな。



「でもご主人様、屋敷に誰も居ないときの防御力が無いとまた同じようなことになるのでは? 罠とかも仕掛けておいた方が良さそうですよ」


「そうだな、罠でも良いが、出来れば屋敷自体が変形合体して戦うとかの方がロマンがあるんじゃないか?」


「そんな未来の最強システムを誰が開発するというんですか?」


「知らん、そうだな、じゃあルビアがやれ」


「では巨大お仕置きロボを開発します、そのコックピットに皆で住みましょう!」



本当に完成させてしまうそうで怖い、そもそも何だその用途が定かでないロボは?




「ちょっと勇者様、屋敷を再建するのは良いんだけど、とりあえずはここからの脱出と敵の殲滅を考えるべきじゃないかしら?」


「慌てるなセラ、奴らだってそう長くは続かないさ、あんなところに居たら夜はまだ寒いだろうしな」


「だと良いんだけど……正直ちょっと不安だわ」


「大丈夫だ、今居る連中が飽きて下がって行ったら行動を起こそう、後方の帝国人組を皆殺しにして王都に突撃するんだ」



本来の王都民はおばさんの術で操られているか、子ども達のように無理矢理やらされているだけだ。

つまり攻撃すべき敵は魔将補佐おばさんとその取り巻きの魔族、それから大量に沸いて来た帝国人である。


というかどうしてあんなに帝国人が集まってきたのであろうか?

元々王都に居たのはもうほとんど殲滅したはずだし、それ以外の地域でも討伐が進んでいるはずなのにな……




「サワリン、ちょっと聞きたいのだが、帝国人はまだまだ数が多いのか?」


「帝国人? ああ、ゴブリンモドキのことね、あいつらは数が減ってくると単為生殖するわよ、1体居れば無限に増えるの」


もはや『人』という文字を取り除いた方が良いのではないだろうか?

それか俺達もゴブリンモドキと呼ぶかだな……




「おぉ、ゆうしゃよ、もう何かどうでも良くなってきたから酒でも酌み交わさんか?」


「お前は本当にろくでもない王だな、仕方が無い、このろくでもない勇者が付き合ってやろうではないか」



「おう勇者殿、俺達も飲むぜ、救援要請には筋肉団も一部が参加しているからな、何の心配も要らんのだよ」

「勇者様、今日は私も飲むことにするわ、お店の損害は燃やした連中に賠償させれば良いわけだし、商品の消し炭も全部定価で買い取って貰おうかしら」


ヤケ酒である、よく考えたら俺達は全てを失ったに等しい状況なんだよ。

ということであればまだ日が出ているうちから酒を飲んでいても罰は当たらないはずだ。


先に風呂に入りその後は倉庫から適当に酒を持って来てじゃんじゃん空ける。

つまみはミラを筆頭とする料理得意部隊に任せた、レーコも少しは役に立つようになってきたようだな。



そのまま夜まで飲み続け、今日はそろそろお開きにしようということで解散した。

VIPルームは駄王や貴族に解放、俺達は一般客と変わらないレベルの大部屋に泊まることとしよう、シルビアさんも一緒だ。


ちなみに筋肉団は夜通し汚泥の沼を泳ぐとのことだ、良いトレーニングになるなどとわけのわからない主張をしていたようだが、そんなの知ったことか。



「あ~っ、高級感の無い部屋だなチクショウめ、ルビアが帰りたそうにしていたときに無理矢理帰っておけばこんなことにはならなかったんだろうな」


「そうですよご主人様、今後は常に私の意見に耳を傾けてですね……」


「ルビア、あなたまたわがままを言って勇者様に迷惑を掛けていたのね!」


「ほら、お母さんにバレちゃったじゃないですか、ご主人様が余計なことを言うからですよ」



「……シルビアさん、最近ルビアが妙に生意気なんですが」


「きっと叱られたいだけよ、放っておくと良いわ」


「じゃあそうします」



「あうぅぅ……ごめんなさい、謝りますからせめて鞭で打って下さい……」


もう忘れているようであるが、ルビアの鞭コレクションも全焼してしまったのである。

本人には伝え辛い事実だ、そのうち思い出して発狂してしまうかも知れないな。



少しは反省したように見えなくもないルビアを撫でてやり、その日は床に就いた。



※※※



「おはようございます勇者様、朝ごはんの準備が出来ましたよ」


「おはようミラ、で、敵の様子はどうだ?」



「相変わらず何やら叫んでいますが、後方では少し動きがあるようです、今は皆でテラスに出て見ていますよ、勇者様も来ますか?」



カジノホールの入り口上、2階部分にあるテラスに出て朝食を取る。

眼下には一面に広がるデモ隊、こちらに向かって抗議活動をしているようだ。


何だか圧倒的上位者になった気分だ。

雑魚共の罵詈雑言が逆に心地よい、貴様等の主張など通るわけがなかろう、このクズめが。



「あ、おはよう勇者様、見て、敵の後ろの方、何か報告があったみたいでざわざわしているわよ」


「おはようセラ、本当だな、どうやら伝令っぽいのを出しているようだぞ」



一番後ろ、どこから持って来たのかは知らないが、超高級な玉座に控える魔将補佐のおばさん。

その周囲を部下と思しき魔族達が忙しく走り回っている。




「迎えが来た、どこかへ行くようだな……おいっ! あれは俺達の馬車、馬もウチの奴だぞ!」


馬の毛色、それからルビアとジェシカが散々物損事故を起こしたことによる傷の入り具合で明らかである。

馬と馬車を盗んで行ったのはデモに乗じた窃盗犯などではない、デモ隊そのものだったのだ。




「どうも王都の方へ向かっていくようね、こっちを見てニヤニヤしているわ、気持ち悪い奴ね……」



馬車を奪ってやった、というだけではないのであろう、さらに大きな勝利を得た、つまり俺達が大々的な敗北を喫したことをアピールしたいようだ。


数体の部下を引き連れて俺達から盗んだ馬車に乗り、おばさんは王都の城門をくぐって行く。

そのまま王宮へ向かうようだ……



「ねぇ、城門を見てよ、旗が差し替えられているわよ、ちょっとひとっ飛び王宮の方も見てくるわね!」


「頼むぞ精霊様、おそらく人質が居るだろうから攻撃だけはするなよ」


「わかったわ、じゃあ行ってくる」



猛スピードで飛んで行った精霊様、しばらくすると敵が城門に掲げているのと同じ旗を持って戻って来る。



「ハイ、王宮にこれが掲げられていたから、とりあえずひとつ拝借しておいたわよ」


「ありがとう、で、王都の様子はどうだった?」


精霊様の報告によると、広場にはかなりの数の人質、見張っているのは噂を信じて自主的に魔将補佐のおばさんに協力している元々の王都民らしい。


で、王宮内部に居るのは魔族と帝国人のみ。

帝国人はどうということ無いが魔族は一般人には勝てない。


王宮の前庭にはその魔族に殺されたと思しき守備隊や、それを指揮していた貴族の死体が晒し者にされていたという。



「あのご主人様、この旗は不快魔将軍のものとは少し違うようですの」


「よくわからんがどこが違うんだ? というか普通に魔将補佐の旗じゃないのか?」


「いえ、旗を掲げられるのは魔将以上だけですわ、この旗、不快魔将の肖像画が入っていたところがお花畑の絵に変えられていますの」



何だろう、大変お見苦しい映像を、みたいな感じのつもりであろうか?

とにかく補佐おばさんは魔王軍の規定にも違反し、自分がこの王都を治める何かになるつもりであるということだけはわかった。



「おぉ、ゆうしゃよ、残念ながら王都は完全に敵の手に落ちてしもうたわ、これからどうしたもんかの?」


「こういうときはまず王であるお前が腹を切って自決するんだ、話はそれからだぞ」



「うむ、じゃが今日は影武者がおらんからの、本当に死ぬのはイヤなので今度にしようぞ」


なんと情けない王であるか、影武者に切腹させて自分はのうのうと生き延びようというのだ。

というか影武者もかわいそうだな、パンツ一丁の国王役をやらされた挙句、そいつのために腹まで切らねばならんとは。



「勇者様、このままだと人質にされた王都の人達がどうなるかわからないわ、こちらから打って出るべきよ!」


「しかしここから出るにもどうすれば良いか、強行突破したら前に居る子どもや普通の王都民に犠牲者が出るぞ」


「そうね……ねぇ、精霊様の水の壁とか私の風防、それから防御魔法の使い手なんてのも居たわね、それで前列の子が汚泥の沼に落ちないようにしましょう!」


「残念だがそれも危険だ、そのまま後ろを攻撃して、そこがパニックになって動き出したとする、そうすると前の方には凄い圧力が掛かるからな、最悪圧死だ」



「困ったわねぇ……」



『あの勇者さん、ちょっとよろしいですか?』


「どうしたビーチャ、おう、マトンも居たのか」


『ええ、今2人で話したんですが、サリナちゃんの魔法で敵にこちらの動きを悟られないようにして脱出してはいかがでしょう?』


ビーチャとマトンの作戦はこうだ……


まずはサリナの幻術を使い、あたかもここに居る俺達が一切動いていないように装う。

その間に実際はリリィが全員を順番に輸送し、デモ隊から見えない位置で降ろす。

あとはそのメンバーで王都へ突撃しようというものだ。


言われてみれば簡単な話だが、俺達勇者パーティーは基本的に低脳なのだ。

全く思い付かなかったのである。


「じゃあその案でいこう、万が一に備えて決行は今日の夜中にしようか!」


直ちに作戦が伝達される。

念のため、駄王一行だけはこのカジノに残しておこう。

どうせ戦えないし、敵が踏み込んで来たときには『騙されたな馬鹿共め』などとカッコイイことを言って殺される役目も必要だからな。



「おぉ、ゆうしゃよ、せめて筋肉団だけでも残してくれんか、本当に攻められたらわしらじゃどうにもならんわい」


「わかったよ、ゴンザレスは強いからさすがに連れて行くが、他の団員だけでもある程度は何とかなるだろう、もし負けたら見事な最後を遂げるんだぞ」


「・・・・・・・・・・」


渋る駄王を説得、というかゴリ押しで黙らせ、夜を迎えた。


あ、そういえば貴族家供出の奴隷達もここに居るんだ。

その子達に何かあるといけない、念のためシールドとマトン、それからシルビアさんにも残ってもらうこととなった。


駄王ごときよりもよっぽど重い命だからな。



……さて、作戦決行である。



「サリナ、一応聞いておくが、幻術はすぐに解けたり敵にバレたりはしないんだろうな?」


「ええ、何かされない限り絶対に解けないようにしておきますし、それを出来るのは一部の上級魔族だけです、あそこに居るゴミクズさん達ならどうと言うことはないですよ」



サリナは自信満々である、この慢心が後で……いや、考えるのはよそう。



「リリィ、まずは1人でも戦えるカレンやマーサから送るぞ、俺は最初もイヤだし最後も怖いから真ん中あたりにしてくれ」


「おぉ、ゆうしゃよ、おぬし散々人のことを言っておきながら自分が一番ヘタレではないか」


「黙れ、貴様と違って戦いに行くだけマシだ」


「……いつも後ろで偉そうにしているだけだと思うのじゃがな」


「あぁんっ! 何だってぇ?」


「いやはや、さすがは異世界勇者じゃ、勇猛果敢である、と言っておったのじゃよ!」


「そうか、その勇猛果敢な勇者様はちょっと敵を屠ってくる、報酬を用意して待っておけ」




1人か2人ずつ順番に、デモ隊からも城門からも離れた地点へ輸送される。

リリィはかなり疲れてしまったようだが、後で肉でも食わせておけば回復するであろう。


「ちゃんと全員居るか? バレるといけないから明かりを点けずに進むぞ、ちなみに俺は何も見えない」


「そんなに暗くはないはずよ、目が悪いんじゃないのかしら? 頭だけでなく目までトリだったのね……」


どういうことだ? 俺だけ鳥目だっていうのかよ、ビタミンなんちゃらが不足しているのか?

あ~、何も見えない、どこに誰が居るというのだ?


「あら、ご主人様ったらエッチね」

「ちょっと、どこを触っているの?」


仕方が無いので手探りで仲間の体に触れる、うん、左手にあるこの肉厚で弾力のある尻はルビアだ、右手に掴んだ薄っぺたいのはセラに違いない。


セラとルビアのの尻を鷲掴みにしたまま暗闇を進んで行く。

俺は2人が両サイドに避けた街路樹に激突した。


「どう勇者様? こんなときにエッチなことばっかり考えているからこういう目に遭うのよ」


「てめぇっ、やりやがったな! 後で仕返しするからな、覚悟しておけよ!」



「ちょっと勇者様、お姉ちゃん、こんな所で騒がないで欲しいわ、敵に見つかるわよ!」


「申し訳ございませんでした……×2」


ミラに叱られてしまったのでその後は静かに進む。

もちろん2人の尻を掴むのは止めない、今ここで戦死しても離さない心構えである。



「そうだ、俺達の屋敷……というか屋敷跡はどうなっているんだろうな?」


「それならさっき私が見ておいたわよ、悲惨なことになっていたから触れないでおいたけど、どうしてもと言うのなら伝えるわ」


「いや、やはり今屋敷の件について触れるのはやめておこう、怒りで前が見えなくなりそうだ」


「勇者様は既に暗闇で前が見えていないじゃないの、人のお尻を使ってかろうじて生き長らえている状態なのよ」



生意気なセラの尻を思い切り抓っておく。


でも精霊様のあの反応は異常だ、普段だったら怒ってやいのやいのうるさいはずのところである。

おそらく屋敷の状態は、怒りを通り越して何か別の不思議な感情が芽生えるようなものなのだな。



「じゃあこのまま王宮の方へ向かおう、精霊様、人質が確認できたのは王宮前の広場なんだよな?」


「ええ、見えたのはそこだけよ、もしかしたら王宮の中にも居るかも知れないけれど、そっちは一般じゃない重要な人質のはずよ、そう簡単には殺さないと思うわ」



精霊様の分析を考慮し、俺達は広場のみを迂回して王宮へ向かう。

いつもはリリィに乗ってひとっ飛び、それか馬車での快適な旅である。


徒歩で行くとかなり遠いんだな……



「主殿、ここからであれば敵に見付かることなく広場を覗くことが出来るぞ」


「どれどれ、では先にジェシカのスカートの中を覗いておこう」


「……ふざけるのは後にしてくれないか?」


なんと、ジェシカにまで怒られてしまったではないか。

場を和ませようとした俺の努力、その報酬で買えたのは顰蹙だけであった。



「で、かなりの数の人質だな、嫌々デモ隊に参加していた連中のご家族ご親類は大半がここだろうな」


広場には無数の人質、その周りを囲むのは大半が帝国人、もといゴブリンモドキである。


奴らはかなり弱く、普通の人でも倒すことが容易でものの、見張りの中には何体かの中級魔族が混じっている。

束になって襲い掛かったとしてもあれには勝てないだろうな……



「どうする主殿、先にここの人質を救出するか?」


「いや、騒ぎを起こすと親玉に感付かれる、王の間に居るみたいだからまっすぐそこへ向かおう」



最優先事項は主敵の首である。

俺達は哀れな人質をスルーし、王宮内部へと向かった……

ようやく90話まで来ました。

いつも読んで下さっている方、ありがとうございます。

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