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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十九章 島国
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864 進水と浸水

「何だかガリガリ鳴り始めましたけど、大丈夫なんですかアレ?」


「大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば大丈夫じゃない、最初からだが、そして今は更に危機的状況だ、『潤滑油』が切れかけているわけだからな」


「潤滑油って、磨り潰された人間のことよね、超キモいんですけど……てかこの赤い汁も……ひぃぃぃっ、キモいキモいっ」



 巨大戦艦が地を這った後に残るのはその軌跡、並ばされ、磨り潰されて『潤滑油』となったチンピラ犯罪者共の残りカスが、まるでレッドカーペットのように続いているのだ。


 それを見てキモいだの何だのと騒ぐマーサ、おそらくこれまで自分がブッ飛ばしてきた敵の、そのブッ飛ばされた先での状態の方が遥かにキモいことになっていたのではないか、そう思うのだが指摘はしない。


 で、最初にカレンが指摘したように、巨大戦艦はその潤滑油を失いつつあり、船底が地面に擦れてガリガリと、もういつどうなってもおかしくないような音を立てて移動を続けている。


 もちろん後ろから押している魔族連中は、その程度のことで傷になったり、使用不能になったりするような脆い戦艦を想定していないのだから、おかしな音など気にせずに、当たり前のように前へ進む。


 そしてその後ろ、VIPとしてイベントに招待されていた魔王軍事務方幹部連中の中には……今のところキモいキモいに気を取られているマーサが、見たことがあると言っていたおっさんの姿もあった。


 俺も少し気になってはいるため、少し目を凝らして様子を見てみると……どうやら乗っている馬車の格は上から3番目程度のようだ、上位ふたつは完全に壁で囲まれた金色の超高級タイプ、奴が乗っているのはオープンタイプだが、それに次ぐ装飾が施されている。


 何だか知らないが偉い奴のようだな、そして種族は……何だかわからないが、近付いてみればわかるはず。

 紳士風の帽子を被っているところを見るに、目立つ角などをそれで隠しているのかも知れないな。



「なぁマーサ、アイツ、ほらさっき気にしていた奴だよ、見えるだろう? どんな種類の魔族なんだ?」


「キモいキモいキモ……え? あ、ホントだ見えてるっ、え~っと……それも忘れちゃった」


「顔以外何も覚えてないんだなお前は……」


「わうっ、それならちょっと捕まえて来ましょうか?」


「こらカレン、余計なことはしないでくれよ、今は隠密行動中なんだ、目立つのは良くない、作戦がまた別のものとなってしまうおそれがあるからな」


「うぅ~っ、結構強そうな魔族なのに、戦うの楽しみなのにっ」


「まぁ、確かに強くはあるがな……たぶんカレンなら一撃で終わりだぞマジで」



 カレンが求めているのは『強敵との戦い』、それと『脂の乗ったジューシーな肉』であり、このスタンスは出会ったばかりの頃から一切変わっていない。


 だが変化したのはその強さ、戦闘力の高さである、今となってはもう、カレンにとっての強敵となど、滅多なことでは遭遇しない、というよりもほぼ存在していないのである。


 それによって戦いたいという欲求を満たすことが出来なくなりつつあるカレンは、後に本格的にぶつかることとなるであろう副魔王や、魔王そのものとの対決において何をやらかすかわかったものではない。


 それまでに数回程度、いや欲を言えば週に1回程度は、比較的強い敵の首を獲らせてやりたいのだが……今回の中では奴と、それから中の見えない馬車の片方に入っている奴がそれに該当するかしないか程度。


 もちろんどちらもカレンと打ち合い、二手三手と攻防を交すようなことが出来る次元には達していないため、『強敵』とは名ばかりの雑魚なのだが、それで我慢して貰えるのであればそうして頂きたい。


 などと考えている間に視界が開ける、その先は海だ、巨大戦艦の底はきっと大変なことになってしまっているはずだが、どうやら崩壊することなく『着水』だけは出来そうな感じである……



「スンスン……ご主人様、海の臭いがしますっ、牡蠣が取れそうですっ」


「ダメだぞカレン、こういう人の多い都市があって、その先の海ってのは結構きついんだ、特にこの世界じゃ汚水処理なんぞしてないだろうからな、この先の海には呪いのウイルスってのがわんさか居るからな」


「のっ、呪いの……何ですか?」


「呪いのウイルスだ、凄く小さくてな、牡蠣の中に入り込んで、それを食べた人間の体に入って大暴れするんだ、嘔吐、下痢、その他諸々、2日か3日ぐらいは苦しめられ続けることになるうえ、周りに居ただけの別の人間も呪われるという恐怖の敵だ」


「ひぃぃぃっ、のっ、呪いの……何とか?」


「うむ、覚えられないなら無理しなくて良い、とにかくその辺の岸壁に付いてる牡蠣とか変な貝とか、発見しても絶対に食べるなよっ」


「はっ! わかりましたっ、ビシッ!」



 ビシッと敬礼して見せたカレンではあるが、どう考えてもわかっているようには見えない。

 これは行動を注視しておかなくてはならないな、クソッ、やることが増えたではないか。


 で、見えてきた海の前にて、移動を続けていた巨大戦艦は一旦停止するらしい……後ろから付いて来させられていた一般民衆が追い付くのを待つのか、改めて進水式をする感じだな。


 俺達は群衆に紛れ、目立ってしまうマーサには耳を折り頭にはフードでも被っておくよう告げ、少しずつ前へ前へと移動して行く。


 徐々に船の周りへと集まり出す一般人と、前に出て何かを喋る様子の魔王軍来賓、そして船の上には、必死になって邪悪な神か何かに祈りを捧げる政治屋連中やそのた西方新大陸系馬鹿共。


 これから大海に漕ぎ出で、直後には大変なことになってしまうことが確実な巨大戦艦、というよりも単なるアヒルさんボートと手漕ぎボートを足して2で割らずに5,000を掛けたような見た目なのだが、とにかくそれが本領を発揮する瞬間が訪れるのだ……



『え~っ、ノロマな人族共! とっとと整列せんかこの愚図がっ! で、我等魔王軍の、しかもわざわざ来てやった幹部クラスであるこちらの面々を愚弄した、甲板上の愚かな人族共、それがどうなるのか、この先の海で何が起こるのか、しかと見届けよっ!』


『う、ウォォォッ!』


『なお、もしこのゴミが本当はゴミではなく、真っ当な戦艦であったのだとしたら、それはそれで良しとするっ!』


『ウォォォッ!』


『だが、この見た目はないっ! 馬鹿なのかマジで? こんなもの、どれだけ強かろうが我等の王、魔王様を小馬鹿にしているとしか思えぬっ! よって船上のゴミ人族共につき、もし万が一生存した場合にも死刑に処すことをここに宣言するっ!』


『ウォォォッ!』



 集まった、いや集まらされた民衆による最後の『ウォォォッ!』は本当に嬉しそうな、心の底から出た『ウォォォッ!』であったに違いない。


 誰も口に出すことが出来なかったが、それぞれこの大都市国家の政府、というか政治屋連中と新たな支配者として登場した島国の人間でさえない連中、それに対する不満は爆発寸前であったのだから。


 それが、その自分達を苦しめていた元凶が、もしこの船から生きて降りたとしても処刑される、即ち再び行政府や立法府を担うことがないと知った人々の喜びは、それはもう凄まじいものであったはずだ。


 しかしこの状況、あまり良いとは言えないな、彼等を圧政から救ったのは俺達勇者パーティーでも、またこの島国の英雄である紋々太郎でも、またPOLICEなどでもなく、本来は人族と敵対しているはずの魔王軍、そういうこととなってしまうのである。


 名前も台詞も与えられていないモブな人々にとって、『誰に助けられたか』ということが重要なのは明らかであり、その『助けた者』に対して忠誠を誓うという可能性は十分にある、どころか高い。


 そうなってしまえばもう、ここに集まっている民衆は全て敵として滅ぼさなくてはならない、そして滅ぼしてしまえば、この連中は勇者様たるこの俺様に対する称賛の声を発することも出来なくなってしまう、じつにかわいそうなことだ。


 そういう結果に陥らないためには、少なくとも救国の英雄が誰なのか、もちろんそれは魔王軍の何某ではなく、本当に島国の英雄と認められた『人族の英雄』であるということ、そしてそれと共に勇者パーティーが動いており、その代表者である異世界勇者様がとんでもなく偉大な者であることを知らしめてやる必要がある。


 と、またやるべきことが増えてしまったではないか、もう面倒だから船上のカス共を救出するのはナシにしてしまおうか? どうせより残虐な方法で処刑するために救助するのだし、後回しでもスルーでも、特に問題は生じないのだ。


 まぁ、上空で待機している精霊様がそれを優先する可能性もあり、その場合にはもう任せてしまえば良いのだが……と、ここで遂に船が海面を目指すようだ、横向きにされ、スロープのような場所から押し出される勢いである……



『それでは船を海に浮かべよう、押せっ!』


『ヒィィィッ! 待ってくれぇぇぇっ!』

『こんな船では沈んでしまうっ!』

『造り直すからっ、絶対に造り直すからっ!』

『誰か救命胴衣をっ!』


『黙れこの落ちこぼれ種族共がっ! 海の藻屑と消えよっ!』


『ギャァァァッ……っと、浮いているのか?』



 横から押され、ザザーッと水面へ移動した巨大戦艦、そのアヒルさんの首を左右に揺らしながら、そして巨大なタングステン製オールは凄まじい音を立てながら、辛うじて海面に留まっている。


 だがそれも時間の問題のようだ、あまりに重いオールの片方が脱落して海へ、そしてもう片方の接続は比較的強固であったらしく、そのまま船べりに留まっているのだ。


 そのせいで大きく傾き、そのまま転覆する勢いの巨大戦艦、アヒルさんの首は時計で例えると2時の方向を指し、このままあと数十秒あれば3時に、つまり横倒しとなってそこから海水が供給され始めることであろう。


 で、気が付いた犯罪組織構成員の幹部クラス1匹が、半ば滑るようにしてその残った片方のオールを……打ち込まれた接続部分を1ヵ所、どうにか外し……



『よしっ、外れたっ、がへっ!』


『あぁぁぁっ! オールを外しに行った犯罪組織の奴がっ!』

『ダメだ、奴は顎に一撃喰らってもう終わりだっ! 次の奴行けよっ』

『馬鹿なっ、安全じゃないことが証明されたんだぞっ、誰が行くかっ!』

『おいっ、ここは肌の白くない劣等人種が行くべきだっ!』

『そうだそうだっ! お前等は肌の白い俺達のために死ぬのだっ!』



 最初に突っ走った犯罪組織の中の、比較的大きな団体の組長と思しきマッチョのハゲは、外れた金具が衝撃で飛び上がったことより、それを顎に喰らって頭が弾け飛んでしまったようだ。


 巨大なだけあって凄まじい威力、留めている巨大オールの質量が凄い分、留め金を外した際の反動もそこそこに大きいということか。


 で、人種差別主義者があまりにも多かったことにより、次に行かされたのは島国の、この大都市国家に元々居た政治屋のうち数匹……と、パワーがなさ過ぎて留め具を外すことが出来ない。


 見かねた犯罪組織の馬鹿が接近し、その連中を足蹴にすると、1匹が頭をぶつけた衝撃で留め具の一部が破損。

 脆くなっていたか造りが甘かったのかは知らないが、そこから連鎖的な破壊が起こり、ネジだの何だのが弾丸のように飛散する……



『ギャァァァッ!』

『ギョェェェェッ!』

『以下略』


『フハハハハッ! 10匹以上死んでしまったようだな、単にあのオールのようなものを投棄するだけで、なんと情けない種族だ』



 なお、海中に沈んで行ったオールについては、半魚人タイプの気持ち悪い中級魔族が海から回収し、今は司会進行役の上級魔族が、指先に乗せてバランスを取りつつ遊んでいる。


 ……というか、これで失敗したら群衆の方に倒れそうだな、巨大なタングステン製のオールだし、もしそうなった場合には下敷きとなり、100名以上が死亡する大惨事となりそうだな。


 まぁ、そうなったらそうなったで仕方ないこととして、2本のオールを共に投棄した巨大戦艦は復元し、アヒルの首は12時の辺りで揺れている状態、だが……高さの方が先程より少しアレだな、徐々に浸水しているということか。


 そしてそのことには陸から見ている魔王軍の幹部も気付いているようで、早く次の行動を取るように促している。


 俺としても、可能であれば主砲発射ぐらいまでは到達して欲しい、もちろん主砲から出るのは魔法ではなく、1発目では発射するための小部屋が丸ごと射出される仕組みなのだが……



『オラオラオラァッ! ちょっとは前に進めやボケェェェッ! お前等アレか? そんな所に留まって沈むつもりか? そんなんで情けなくないのかっ?』


『ヒィィィッ! 沈む、そのうちに沈んでしまうよこの船はっ!』

『デブ責任者め、やっぱりダメじゃないかっ、おいっ! お前だよお前!』

『そそそそっ、そんなはずは……あっ、あそこに足漕ぎのペダルがっ!』

『急げっ、進めば排水されるかも知れないぞっ!』



 俺が好意で設置してやった足漕ぎペダルをようやく見つけ出したらしい『乗組員』、だがそのペダルは役に立たないであろう、なぜなら凄まじく重いのだ……



『ぐぬぬぬぬっ、これは足ムッキムキじゃねぇとダメだぞ……』

『貸せっ、わしのハイパー贅肉パワーでっ』

『触んな劣等人種がっ!』

『ぶぴょっ……し……死んだっ……』

『あっ、よくも党首代行をっ、貴様も死ねぇぇぇっ!』

『ふざけんじゃねぇぞゴラァァァ!』



 漕ぐことが出来ない足漕ぎペダルの前で始まった大喧嘩、殴り合い、たまに凶器を取り出して殺し合い、あまりパワーはないようだが、それでもバールのようなモノで殴られた数匹が倒れ、痙攣している。


 そこでさらに飛んだ魔王軍幹部からの激、ここで魔導砲への言及があったため、その存在に気付いた乗組員の馬鹿共は、一斉にそれがあるはずの船体中央へと向かって走り出す。


 最初に到達したのはなんと、大喧嘩勃発の際にビビッて後ろに隠れていた政治屋連中の一部であった。

 徐々に後退していたのが功を奏したか、それとも生え際が後退している分、走る際の空気抵抗が少なく、それで速かったのか。


 とにかくそのうちの1匹がハンドルを回すと、俺が設計してやった超巨大砲が、床からせり出すようにして姿を現した……



『ギャハハハッ! これで貴様等は全員お終いだっ! 犯罪組織のブタ共、主砲を受けて死に晒せっ、発射! はっ? ギャァァァッ!』


『馬鹿、甲板に向けてそんなモノ……のわぁぁぁっ! プレハブ小屋みてぇなのが丸ごと飛んで来たぞぉぉぉっ!』

『避けろっ、すぐに着弾……爆発したぁぁぁっ!』



 甲板に居る喧嘩の相手、というかモロに甲板に向けて主砲を発射した馬鹿政治屋、もちろんその発射のための操作をした部屋はガコンッと横へスライド、火魔法の力によって砲身から射出され、着弾と同時に仕込んであった魔法で大爆発を起こす。


 中の政治屋は木っ端微塵となり、既に他界したことであろう、着弾地点から逃げ遅れた数匹の犯罪者もそうだが……かなりの割合で生存しているし、政治屋連中は既に真冬の冷たい海へ落下、息が出来ずにもがき苦しんでいる。


 と、精霊様がその連中の救助を開始したようだな、バレないようにコッソリ動いているが、さすがに数が減ったら察知されてしまいそうだが、まぁ、死んで沈んで行ったことかと思ってくれそうだな。


 で、船上の方はどうなったのかというと、誰も消火活動などしないため、甲板の火災はどんどん広がっているようだ。

 逃げ出そうにも自ら飛び込む度胸がない者が多く、船べりには人だかりが出来ている。


 ぽつぽつと海へ飛び込む決断をしている者が居るが……どうやら人種差別主義者ほど臆病で、こういう状況では固まってしまうらしいな、まぁ卑怯で卑劣な思想を持って生きているような馬鹿だ、その思想を引き剥がせば、中身のハートはノミのものよりも小さく弱いのであろう。


 で、火災で燃えた甲板の板が燃え落ち、それが船内の火災を誘発して……ここで遂に竜骨が折れたようだ。

 ど真ん中でポキッと、当然それによって巨大戦艦そのものがふたつに折れる……まるで古のデバイス、折り畳み携帯のようだな。



『ギャァァァッ! 助けてくれぇぇぇっ!』

『死にたくないっ! 死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないぃぃぃぃっ!』



 折れ始める船体、それがまるでハエトリグサかのようにパクッと、しかも燃えながら人間を挟み込んでいくのだからたまらない。


 結局政治屋連中は全員真冬の海へと飛び込み、西方新大陸系犯罪者の大半もそうすることに成功した。

 1匹飛び込めばその隣も、さらにその隣も意を決してという感じで、まるでネズミの集団自殺のような光景である。


 この際、当然寒さや落下の衝撃で死んでしまった者も多かろうが、精霊様によるピックアップ救助でかなりの人命が救われている様子、まぁ、もちろん後で拷問し、処刑してしまうのだが……


 で、残ったのは……本当に人種差別主義者ばかりのようだな、ただでさえ白い顔面をより蒼白にしながら、真っ赤に燃える炎と、押し迫る船体の餌食となっていったのである、ざまぁ見やがれ。



「あ~っ、沈んで行っちゃいましたね」


「おう、あのアヒルさんの部分が海面からひょっこり顔を出している辺り、結構シュールだろう?」


「それよりもさ、次の動きに移らなくて良いわけ? ほら、他の人が盛り上がっている隙に」


「おっとそうだったそうだった、おもちゃの船が浮かぶのを見ることも出来たし、次は……救助の方は精霊様に任せて、俺とカレンで魔王軍の連中の始末、で、マーサは奴だ、あの会ったことがあると言っていたアイツ、今裏に行ったみたいだから、コッソリ接近してコンタクトを取ってみて良いぞ」


「あら、じゃあちょっと様子を見に行こうかしら、いってきま~っす」


「おう、じゃあカレン、俺達も行こうか、とりあえず目立たない場所に居る魔族に、周りで騒ぎが起こらないように気を付けながら勝負を仕掛けるんだぞ」


「わうっ、わかりましたっ!」



 こうして計画は次の段階へ、ここからは魔王軍によってイベントの来賓として派遣された、事務系の幹部を地道に始末していく時間だ……

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