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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十三章 イバラ事件
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79 魔族の居酒屋

「おう勇者殿、外観はこんな感じで良いよな?」


「さすが筋肉団だ、これぞ、俺が元居た世界の居酒屋だ!」


「おう、それは良かった、では内装も見てくれ」


屋敷のすぐ傍に居酒屋が完成した。

パッと見、この世界の居酒屋とは少し違った様子だが、俺にとっての居酒屋はコレだ。

ちゃんと暖簾もセットされている。


中はカウンター、テーブル、そして奥の座敷だ。

座敷は当然掘りごたつ、畳的な何かも敷いて貰った。


「ふむ、勇者殿、この草を編んだ敷物の上には靴を脱いで上がるのか?」


「そうだ、ここでは基本的に靴下以外のものは履かない」


「なるほど、では俺は遠慮しておこう、生足でブーツを履いている俺の足スメルは銭湯を壊滅に追いやったことがあるからな、ちなみに脇と頭皮も凄いんだ、嗅ぐか?」


誰が嗅ぐかよ、しかしさすがは危険生物、全身凶器である。



ゴンザレス達が居るとせっかく仕入れたばかりの食材に匂いが移ってしまいそうだ。

お土産のニンジンを渡し、さっさとお引取り願おう。



「さて、今日の夕方から開業できるように準備を進めよう、第一号客は駄王とシルビアさんだ、マリエルとルビアは来るように伝えてきてくれ」



「ちょっと、この帳簿はどうやって使うわけ? 適当で良いかしら?」


「ダメだ精霊様、ちゃんと左に費用、右に収益を分けて書くんだ、当分は現金のみの取引しかするなよ」


「面倒ね、ハイ、これはミラちゃんに任せるわ」


「わかりました、暇なときにつけておきますね」



今は年明け直後だからな、個人事業だし、年末締めということで良いだろう。

最初はニコニコ現金払い、帳簿もすこぶる単純なものだ。

しばらくやって慣れてきたら掛取引もしてやる。


そして勇者パーティー酒場は今後、異世界初の発生主義会計を導入してイケイケになるのだ!


『あ、そういえば以前魔王様が言っていました、魔王軍では実際にお金を受け渡ししていなくても、その期間に発生した取引は集計に入れるのが基本だそうです』


なんと、魔王軍に先を越されていた!

おのれ魔王、そういう知識を異世界に持ち込むんじゃないよ卑怯者め。



ショックを受けてフラフラしていると、足の裏に何やらむにゅっとした感触が……

しかしそこを見ても何も無い、神の見えざるウ○コでも踏んだのか?


しばらくするとまた似たような感触。

おい神っ! 貴様ちょっと野○ソしすぎだぞ!


と思ったら違った、足の下にレーコの姿が現れたのである。


「ちょっと踏まないで下さい、痛いですっ! ハア~ッ、せっかく腕輪を外して貰ったのに、まだ本調子ではないようですね」


レーコは魔力を奪う腕輪を精霊様に外して貰い、姿を消してサボっていたようだ。

俺には幽霊が見えないから怒られる心配は無いと判断したらしい。


だがまだ感覚が戻らず、物理攻撃が無効に出来なかったとのこと。

そんなレーコを、俺は知らない間に踏み付けてきっちり罰を与えていたのである。


「レーコ、お前は後で改めてお仕置きだ、それよりも向こうでミラのお料理講座を受けて来い、1人だけ出遅れても知らんぞ」


「それはヤバいです、すぐに行きますっ!」



魔族共は料理のお勉強、残りのメンバーで食器や酒の準備をしておいた。

カウンターに酒瓶が並ぶと一気に居酒屋っぽくなるな。


「ひとまず準備完了だな、ミラ、お料理教室の方はどうだ?」


「結構良い感じですよ、レーコちゃんだけは○ソの役にも立ちませんが……」


「私は聖女様でしたからね、料理なんて下々の者共にやらせておけば良かったので、全然出来ませんね」


「不出来な分際で偉そうにしやがって、さっきもサボっていたしな、ちょっと来い!」


せっかく畳の座敷があるのだ、俺達が休憩している間、レーコだけはそこで正座させておく。

畳の部屋に幽霊、あとは服装を和風にしてやれば完璧だ、今後はギリシャ神話風をやめて死装束にして貰おう。



しかしこれでようやく開業できるな、あとは第一号客の到着を待つだけだ。



※※※



「ただいまぁ~っ! 勇者様、お母さんを連れて来ましたよ」


「待っておりましたシルビアさん、ささっ、どうぞこちらへ……ところでルビア、どうして先に帰って来なかったんだ?」


「ええ、呼びに行ったらそのまま戻って手伝うべきだとは思ったんですが、面倒なので自分のお部屋でサボっておきました」


「ではレーコの隣に正座しておきなさい」




「ただいま、勇者様、お父様は日暮れ頃に来るそうです、私は今まで王宮でぶっサボっておきました」


「お前もかマリエル、よろしい、ではルビアとレーコの間ぐらいに正座しておきなさい」



「しかしこの草を編んだお部屋は快適ね、酔い潰れて寝転がっても安心だわ」


なるほど、これは畳部屋の最大のメリットとなり得る要素だ。

基本的に土足エリアは椅子だし、潰れたらテーブルに突っ伏して寝るしかないからな。


そのまま寝られる居酒屋(席料:2時間銅貨1枚、掛け布団は別途銅貨1枚で貸出)として売り出すこととしよう。



「さて、まだ駄王が来るまで時間があるな、シルビアさん、あそこで正座しているサボり魔3人の処刑を手伝って頂けますか?」


「ええ構わないわよ、さあルビア、お尻を出しなさい」


「レーコもお尻ペンペンだな、マリエルは精霊様にやって貰え」


「あの勇者さん、私は初めてなのでちょっと軽めに……いたっ! 痛いですってばっ! 謝るから許して下さい」


3人を処刑するものの、反省したのはレーコだけである。

ルビアとマリエルは当然のように喜んでいた。


そんなことをしている間に外は暗くなっていった。




「おぉゆうしゃよ、なかなか風情のある居酒屋ではないか」


「来たか駄王、そっちの座敷に座るんだ、お、性悪総務大臣も来ていたか、騎馬戦優勝おめでとう!」


「ほっほっほ! 奴隷の解放手数料、3人分で金貨300枚も浮いてしまったからな、今日の酒は全部わしの奢りなんじゃよ!」


このババァ、もはや背任レベルの行為をちっとも恥じていないようだ。

国費を使った賞品を自分で決めて、それを自ら掻っ攫っていくのがどういうことかわかっているのか?



「王様、今日は精霊様がホスト側ですから、上座は空けなくても大丈夫ですよ」


「おぉ、そうじゃったシルビア殿、最近はいつも精霊様が一緒じゃからな、うっかりしておったわい」


コイツはもう国王の尊厳とかそういったものはどこかの異世界に転移させてしまったようだ。



「では勇者様、そろそろお父様達にスタッフの紹介をしましょう」


「そうだな、じゃあ4人はここに並ぶんだ」


レーコ、ギロティーヌ、サワリン、ビーチャの順に自己紹介する。

サワリンとビーチャは駄王や総務大臣とは初顔合わせだからな、魔王軍での所属と攻めた場所を伝えさせておいた。


「ほう、この2人がこの間帝国に行ったときの敵かね、なかなか強かったそうじゃないか、あと、Aランク冒険者も操っていたとか?」


「ええ、ただちょっと強くしすぎて制御不能だったわ」


「まぁ、筋肉団は元々人間とは思えない連中ばかりじゃからな……」


おい総務大臣、あれは思えないとかそういう次元ではないぞ、確実に人族ではない。



「まぁそれは良い、総務大臣よ、そろそろ飲み始めようではないか」


「うむ王よ、では酒とつまみを頂こうかの」



宴会のスタートである、今日は総務大臣の奢りだ、俺達も酒が飲めるメンバーは全員席に着いた。

ミラやカレンはカウンターでノンアルコールを嗜んでいる。


闘技場復活祭で不当に利益を得たババァにはここで金を使わせておかないとだ。

じゃんじゃん空けてしまおう。

はいシャンパン入りま~すっ!



「おぉゆうしゃよ、そういえばウォール家から報告が上がっておったが、どうやら伝説の魔族が暴れているかも知れんとのことじゃったな」


「ああ、技素貸麻呂わざのもとのかしまろとかいう奴だろ? 何なんだろうな、一体」


「わしらにも何だかわからんのじゃが、とりあえず見つけたらぶっ殺しておくが良いぞ」


「もちろんそのつもりなんだが、どこに居るのか、そもそも実在するのかが問題なんだよ、マトンが調べているから俺達も報告待ちなんだ」


「うむ、あの羊魔族の子は足繁く王宮に通っておるぞ、なかなか古い資料が必要のようでな」



そうだろうな、確か2,000年前の魔貴族とか言っていたもんな……

ところで魔貴族って何だ?


気になったので頭が良いというビーチャに聞いてみる。

魔貴族というのは魔王軍発足前に魔族の間で使われていた身分で、現在は残っていないという。


階級はA納言からF納言までの6段階であったそうだ、いや、何だそれは?



「勇者よ、そういえばあの羊娘もこの間王宮に来てD納言がどうのこうのと言っておったわい、おそらくその麻呂はD納言だったんじゃろう」


A~Fの間でDか……上位なのか下っ端なのか良くわからんポジションだな。



『勇者さん、D納言といえば今で言う魔将様クラスの階級ですよ、でもそういった方が居られるとは聞いていませんから、もしかすると外部の取締役なのかも知れません』


その可能性は高いかも知れない。

魔王軍は異世界魔王のオーツ・カミナ……というかオオツカ・ミナのせいで近代化が著しい。

外部取締役の1人や2人、居てもおかしくはないであろう。


「まぁ、そいつもそのうち出て来るだろうさ、向こうから攻めている以上ずっと隠れたままという訳にはいかないだろうからな」


「そうね、このまま魔将を退治していけばいつかは辿り着くはずだわ、私に任せておきなさい!」


「いや、セラに任せておくと大変なことになりそうなんだが……」


「もうっ、失礼しちゃうわねっ!」



「ルビアもしっかりやりなさいよ、今のところ回復魔法が使えるのはあなただけなんでしょ?」


「ええ、そうよお母さん、私はこう見えて優秀なの」


「どこがよ、全くどうしてこうなってしまったのかしら……」


もしもしシルビアさん、それは俺が聞きたいことなのですが?




その後もじゃんじゃん酒を飲み、駄王がしゃっくりをし始めたところでお開きとなった。

真新しい店で涎を垂らすんじゃないよ、このおじさんはっ!


帰っていくゲスト3人を見送り、俺達は隣の屋敷へ戻る。

明日からは通常営業だ……



※※※



「今日は疲れたわね、やはり初日と言うのは慣れない分辛いものなのかしら」


「精霊様は偉そうにしていただけだろ、しかもカウンターの中で酒飲んでただろ」


「あら、それは店長様の権利よ」


「・・・・・・・・・・」


コイツに経営は無理かも知れない。

よく考えたら元々クソニート精霊だもんな、頭の中は既に無職に染まっているのであろう。


ミラに頼んでこっそりサポートをして貰おう、というか既に記帳を押し付けていたな。



「で、レーコ達はどうだった? 上手くやれそうか?」


レーコだけはどうしても料理が出来ないようだが、接客なら出来そうだとのことである。

料理はギロティーヌが一番筋が良いとのことだ。


混合酒の作成はバーでのバイト経験があるサワリンとビーチャに任せておけば良いな。


そうなると精霊様はただ座っているだけである、早速だが罷免してやりたい。




翌日、通常営業として開店してすぐに客が来たようだ。

近所のじいさん連中である、毎朝散歩だのジョギングだのしているからな、店の存在はすぐに認識できたのであろう。

平民だけあって高級シャンパンは入りませんでした。



当然だが、厄介な客も現れたらしい。

精霊様によると、事情を知らされていない下級貴族のブタ野郎が偉そうに乗り込んで来たという。


きっと新規開店の弱っちい店だと思っていたのであろう。

散々飲み食いした挙句、タダにしろと要求したそうだ。


それを拒否すると怒り出し、最終的には店の権利書を寄越せなどと言い出したそうな。

その貴族は精霊様によってボコボコにされ、翌日には首だけになって広場の晒し台に飾られた。



「このまま行くとスタッフの数が足りなくなるわね……」


「そうだな、パーティーメンバーの方からもたまにヘルプに入らないと拙そうだな」



2日目、3日目と客は増えていった。

何といってもホールスタッフにはおさわりOKだからな。

そういうのを規制する法律は無いようだからやりたい放題である。


今日も勇者パーティー酒場はエロジジイ達で一杯だ。

ミラと精霊様がその目を金貨よりも輝かせ、銭勘定をしている。



「勇者様、今のペースで儲かれば来年には屋敷をもう1つ所有できますよ!」


「ミラ、屋敷なんかより店舗を拡大してさらに儲ける方が良いんじゃないのか?」


「グヘヘヘッ! そうかも知れませんね、このままお店を拡張して、ついでに二号店も……」



欲深い俺達は更なる儲けを画策した。

もう魔王とかどうでも良いわ! 俺はこの異世界で大商人になるんだ!



※※※



順調に居酒屋経営を続け、2週間が経過した。

その日、営業時間中に店舗で働いているはずのレーコが屋敷に飛び込んで来た。


「勇者さん、大変っ! 大変なんですよっ!」


「どうした? まさか開業記念くじ引きの1等賞がもう出てしまったのか? あれほど最終日まで当たりは入れるなと言っておいたのに……」


「違います、そのレベルではありません! 麻呂が……麻呂が店に来ているんですっ!」



俺達が知っている麻呂は1人しか居ない、敵に技を貸し与えた、魔貴族の麻呂である。

近接戦に強いカレンと、遠距離攻撃が出来るユリナを連れて店舗へと向かう。


居た……紛うことなき麻呂である、何か顔も白いし眉毛とか超麻呂麻呂している。



「お客様、ちょっと事務所までよろしいですか?」


「ん? 何でおじゃるか突然」


「良いからこちらへ!」


他のお客様方にご迷惑をお掛けする訳にはいかない。

努めて穏便に、麻呂を事務所まで誘導する。


「お客様、技素貸麻呂わざのもとのかしまろ様でいらっしゃいますね? D納言の魔貴族でもあるとか」


「そうでおじゃるが、よく知っているでおじゃるな?」


「ああ、ちょっと調べていてな、とりあえず貴様をぶっ殺す!」


「何をっ!? ぐげっ、おじゃる、待つでおじゃるっ! ほんげぇ~っ!」


その場に居た全員で袋叩きにしてやった。


「お……おじゃるっ……」


「さて、ここからは質問タイムだ、貴様、魔王軍とはどんな関係があるんだ?」


「……ただのアドバイザーでおじゃるよ、長らく封印されていて、解けた後金が無かったので引き受けたでおじゃる」


「で、バラの魔族や変なババァにスキルを貸与したと」


「バラには確かにスキル貸与のスキルを貸与したでおじゃるよ、ババァとやらは知らんでおじゃる」


「じゃあ貸与したのはバラだけなのか?」


「いや、その後木魔将とかいうのに貸与したままでおじゃるよ、バラ魔族の話を聞いて興味を持ったそうで、貸与してやったのでおじゃる」


なるほど、聖国のおばさんにスキルを貸与したのは木魔将なのか。

ということはそいつは一度王都に侵入しているはずだ、聖国の洗脳されていた連中は事件後にずっと捕らえたままだったからな。


「じゃあもう1つ聞こう、貴様が死ぬとその貸与のスキルはどうなるんだ?」


「麻呂は不死だから死なないでおじゃる、封印されたらスキルは一旦麻呂の元に戻るでおじゃるよ」


「良し、精霊様、このおじゃる野郎をそこのゴミ箱に封印してくれ!」


「わかったわ、ゴミ箱を破壊しない限り出られない程度にしておくわね」


「ちょっとまっ……おぉじゃるぅーっ!」


ゴミ箱に吸い込まれて行くおじゃる魔族、臭い麻呂には蓋をしておこう。


しばらくするとどこからともなく白い粉が飛んで来て、麻呂入りのゴミ箱の中に吸収されていく。

これで技の素の回収は完了、もうこれ以上わけのわからない輩にスキルが貸与されることは無くなる。



「おい麻呂、どうだ気分の方は?」


『臭いでおじゃる、せめて中の生ゴミを取り除いてから封印して欲しかったでおじゃるよ!』


「黙れ、そのままそこで発酵しておくが良い」


『おじゃる……』



これでスキル貸与事件は完全解決である。

後はこの事に関係していたらしい木魔将がどう動くかだな。



「勇者様、その麻呂……というかゴミ箱はどうするつもりですか?」


「ここに置いておくとやかましいからな、王宮の宝物庫に入れてしまおう」


「あの……宝物庫にゴミ箱はちょっと」


「じゃあ金鍍金して金のゴミ箱として王家の家宝にするんだ、伝説の麻呂も入っていることだしな」


「……ではそうしましょう、何か凄くイヤではありますが」



カレンが出て行き、近くをパトロールしていた憲兵を捕まえて事情を話す。

すぐに王宮から人が寄越され、麻呂入りゴミ箱を回収して帰って行った。



「てかあの魔族、魔将クラスなんだよな、何か弱くなかったか?」


「ご主人様、魔族だって進歩しているんですわよ、2,000年も前の同ランクなんて今の足元にも及びませんわ」


「そうなのか、じゃああれが特別弱かったんじゃなくて、昔だったら魔将とかもあのレベルだったんだな」


魔族の成長というのはどの程度なのか?

非常に長生きであるため、あまり世代交代はしないはずである。

きっと2,000年前と比べても2、3世代であろう。


人間で言えば、一昔前の世界記録が今は高校記録以下、みたいな感じなのであろうか?



それはともかく、イバラ事件から始まった今回の騒動、俺達は遂に元凶を捕らえたのである。

これはささやかな祝勝会をしておこう。




店の営業が終わるのを待ち、深夜から屋敷の方で酒盛りを始めた。


「いやぁ~、麻呂を見付けたときのレーコちゃんの慌てっぷりときたら、今思い出しても笑い転げそうだわ」


「だって、明らかな麻呂が入ってきてカウンター席に座ったんですよ、まさかの事態です」


「ということは今回はレーコが功労者だな、運が良かったとはいえ麻呂を発見したんだ、褒美にこの装束をやろう」


いかにも幽霊らしくするため、レーコ用の死装束を用意してやった。

ちゃんと頭に付ける三角のアレもセットになっている。

うむ、これでどこに出しても恥ずかしくない、完全な和風幽霊だ。


明日からも魔族主体で居酒屋を頑張って回すようにと伝え、その日は朝まで飲んだ。


さて、次は木魔将とやらを討伐しなくてはならないのか、果たしてどんな奴なのであろうか……

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