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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十九章 島国
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788 中ボス的な

「ギャァァァッ! いでぇよぉぉぉっ!」


「うっせぇぞボケ、動くと俺がウ〇コエリアに足を付くことになってしまうだろう」


「だ、だってよ、何でわざわざスパイクシューズに履き替えて……ギョェェェェッ!」


「やかましい奴だ、すまないが精霊様、全員通った後にコイツを処刑しておいてくれ」


「わかったわ、ちょっと狙い辛いから、周りの数匹も巻き添えに殺しちゃうけど、まぁ連帯責任よね」


『そんなぁぁぁっ!』



 もうすぐ舗装された綺麗なエリア、もちろんそこから先はこの橋、ウ〇コを踏むよりは幾分かマシだが、薄汚くはある犬畜生の橋など必要なく、そのまま自分で歩くことが可能だ。


 そしてその舗装エリアが続く先には、城の建物の正面玄関と思しき両開きの扉があるのが確認出来た。

 城門ほどではないがこれもかなり巨大だな、この犬畜生共程度の力では、開閉するのに10匹以上を要しそうなぐらいのサイズである。


 ピョンピョンッと危なっかしい橋を渡り、一番乗りでその舗装エリアに到着したのはリリィ……そのまま立っている、罠などは設置されていないようだ……



「イェ~イッ! 一番乗りっ! ここは私の領土ですっ!」


「二番! でももう全部取られちゃったのね……」


「仕方ない、マーサちゃんには世界の半分をくれてやろう」


「嬉しいっ、部下になっちゃうっ」


「ほらほら、橋の出口で遊ぶんじゃない2人共、後がつっかえているのだぞ」


『あ、は~い』



 ということで俺達も犬畜生の橋を抜け、ついでに目に付いたゴミを2匹から20匹程度、無差別に殺害しておく。

 これで奴等の俺達に対する恐怖心は完全に根付いたはず、二度と逆らうこともないし、帰りも頼めば橋となってくれるはず。


 で、そこから先、第二弾となる巨大な扉なのだが……サイズこそ城門のものより小さいが、見て明らかにわかる丈夫さ、こちらの方が攻略難易度が高い、おそらく前回のものの倍は難しいであろう。


 だが、そんな難しさなど俺達にとっては特に変化のない何かであり、こちらも赤子の手を捻るようにして……と、マーサが動かないではないか、何か問題でもあるというのか……



「どうしたマーサ、もう開けて良いぞ、マーサ?」


「……何かちょっと汚くない? あまり触りたくない感じなんだけど」


「汚い? そんなはずは……本当だ、良く見ると薄汚れているな、黄色というか茶色の被膜みたいなのが……何だろう?」


『ハーッハッハッハッ! 侵入者共めっ! そこから入ることが出来ないのであろう、その扉は特別製、これまで追い出してきた無数のシャブ中共が、汗と涎と涙と、その他体液と呼べるもの全てを垂れ流し、縋り付いても開かなかった最強の扉なのだっ!』


「汚ったねぇっ! じゃあアレか? これ被膜とかメッキとか、そういうのじゃなくて……」


「汚物よっ! 汚物でコーティングされているんだわ、皆離れてっ、触ったら直ちに呪われる程度には不潔よっ!」



 とっさに身を退くその場の全員、汗と涎と何であったか、とにかくそういったものを垂れ流しながら縋り付いたかつてのシャブ中犬畜生共。


 今はこの綺麗な舗装面の下に埋められ、そのシャブでボロボロになった骨を良い感じの基礎にしているのであろうその連中が、もう一度中へ入れてくれと喚き、叫んだ際の残滓が、この黄色とも茶色とも取れない被膜となってこの世界に残っているのだ。


 血天井のシミとは少し異なるものの、歴史を感じてやりたいところではある……それはこの被膜が清潔、ないしそこまで不潔とは言えないものであった場合に限りという限定された状況だが。


 このブツの正体を知っている以上は、そのような感情を抱くべきでもなく、むしろ100%の嫌悪感をもってこの扉に臨みたいところである……



「それでどうする、被膜を燃やして消毒するか?」


「危ないですわよ、そんなことしたら未知の有毒ガスが発生しますの、ここは地道に削っていくしかありませんわね、はいご主人様、カンナをどうぞですわ」


「……こんなのでチマチマ削るのかよ……しかも作業員が俺1人じゃねぇかっ!」


「そういう類の工具はひとつしかありませんの、我慢して、サッサと作業に取り掛かって欲しいですわね」


「このっ、ユリナめっ、調子に乗りやがって、このっ!」


「いやぁっ! 角をカンナで削ろうとしないで欲しいですのっ、ごめんなさいふざけましたごめんなさいっ……ですの」


「……ユリナお前、その語尾は意外と頑張っていたんだな」


「アイデンティティーは大事ですのよ、で、ふざけている暇ではなかったですわ、どうしますのこの状況?」


「どうしようもないよな……しょうがない、どうせ壊すんだし、セラ、魔法でブッ飛ばしてやってくれ」


「わかったわ、ミラ、精霊様、この扉、もう売り物にならなくなるけど良いわね?」


「お姉ちゃん、こんなに大きな扉は持って帰れないわよ」

「それに装飾がそのまま取り外せる感じで残っていたとしても、この汚さじゃねぇ……」


「じゃあいくわ、皆下がっていてっ!」



 手に持った杖を斜めに、下から上へ向けて強く振るセラ、いつもはノーモーションで風の刃を出したり、杖を高く掲げて竜巻を召喚したりするのだが、今回はダイレクトだ。


 目の前の巨大な扉がズバンッと、セラが杖を振ったのと全く同じ角度で切断される。

 次いで放たれた空気の塊、切断面より上の部分が、こちらに倒れて来ることを防止する効果があるようだな。


 で、ドーンッともゴーンッともつかない音と、若干名の断末魔を伴って建物の内側へ倒れた巨大扉の半身。

 両開きであったため、残りの部分を失った左半分もそのまま倒れ、実質片面は完全に開いた感じだ。


 なお、左半分の扉のうち僅かな残りの部分、といってもこれだけで高さ5m、幅3m、そして厚さも1m近くあったものだが、その倒れた際にもブチっと、何か『人間らしきもの』を踏みつぶしていたような感があった。


 おそらくは扉の向こうに待機していた精鋭部隊のごく一部なのであろう、万が一、本当に万が一だが、俺達が汚いのを我慢し、ついでに圧倒的な力を発揮して扉を開いた……もちろん通常通り、手順通りに『開いた』際に備えていたのであろう。


 だがその予想の外となる展開、巨大扉は人知を超えた力によってズバッといかれ、本来は開くことさえしないはずの扉が、分厚い金属の板となって自分達の上に圧し掛かったのだ。


 これまでの紋々太郎による英雄パーティーとしてのチャレンジでは、ここはおろか城門の扉さえ開くことが出来なかったのである。


 それが突如として連れて来た、ほぼ女の子ばかりの仲間によって、ここまで圧倒的な力が見せつけられるなどとは夢にも思わなかったはずだ。


 その証拠に、運がいいのか悪いのか、扉の下敷きとなることなく生き残ったノンシャブエリート犬畜生共は、驚き呆れたという表情で、その扉がなくなった場所を通過していく俺達を見ている。



「さてと……ここの連中はどう処理すべきなんだ? さっきは勢いで数匹、いや数十匹か、殺してしまったが、アレはシャブ中だからアレだとして、ここの連中はあのキング犬畜生に扱き使われているかわいそうな忠犬共だぞ」


「確かにね、殺しても良いって言ったけど、結局生命保険の受取人がアイツになっているのよね、それを私に変更するまではさすがに殺せないわ」


「いや精霊様、それ保険金殺人……まぁ良いや、お前等! 死にたくなかったら動くんじゃねぇぞ、あとあのキング犬畜生の言いなりになるのも今日までにしやがれ、妹を慕うんだ妹の方をっ」


「なっ……貴様! ト=サイヌ様を愚弄する気かっ?」


「当たり前だろうあんな奴、むしろどうして尊敬しているんだよ? 絶対に妹の方がまともな奴だろう、可愛いのかは知らないけどさ」


「何を言うかっ! 姫の魅力値が2億とすれば、ト=サイヌ様の魅力値はおよそ90億、ちなみに通常の人間の魅力値はマイナス5から10程度だ」


「何でそんなにインフレしてんだよ……」



 完全にキング犬畜生の、こいつらの言うト=サイヌ様の虜となってしまっている様子のエリート犬畜生。

 もはやボスの、群れのリーダーの指令は絶対である感じのわんわん、そんな雰囲気を醸し出している。


 しかしどうしてこうなったのだ? 妹の方も魅力値が2億とのことだが、それをさらに上回る圧倒的な魅力、それがあの馬鹿そうな声の野郎のどこに秘められているというのだ。


 まぁ、キング犬畜生の圧倒的な力、犬畜生共の中では他の追随を許さない、強大なパワーがその一因なのであろうが、だからといって指導者に向いているとは思えない奴である。


 きっとこれだけの信仰を集めるのには何か秘密があるに違いない、でなければ、それよりももっともっと最強キャラであるこの俺様が、活動拠点の王都においてさえ、未だに『その辺の人』扱いなのが納得いかないのだ。


 ということで奴の秘密を探る……のは俺の力では無理か、もう少し本体に近付かないと、可能であれば目視して、互いに会話が可能な範囲内に居ないとならない。


 ならば信頼のおける仲間を頼ろう、こういう人を惑わす系の何かについては基本的に悪魔、そしてその悪魔の中でも、さらに人を惑わすことに特化した能力を持つサリナ大先生の出番である……



「ということだサリナ、奴等がちょっと馬鹿にされただけでキレているト=サイヌ様、何かやべぇことやってない?」


「う~ん、幻術を使っている様子はないですし、この犬獣人の人達の目はシャブ漬けのそれではないですし……本当に魅力的なボスなんじゃないですか?」


「まさかそんな、きっと何かやっているはずだ、ちょっとしばらくの間注意して探りを入れてくれ」


「わかりました、一応やってみますね」


「おい貴様等! 何をゴチャゴチャと仲間内でっ! ト=サイヌ様をディスッた報いを受けよ、ハァァァッ! ワンチャン噛み付き拳!」


「おいっ、剣持ってんのに噛み付き攻撃かよっ!」



 ワンチャン噛み付き拳とは、ワンちゃんがする噛み付き攻撃を犬獣人用にカスタマイズしたものであり、ワンチャンで即死の効果が付与される究極の犬系攻撃である。


 もちろん手に持った剣も使うことがあるが、ここの連中は全て犬獣人ゆえ、習性によってそちらの攻撃、鋭い歯を用いた攻撃を繰り出す確率が高くなっているのだ。


 で、大口を開けて飛び掛かって来たは良いものの、あまりのスローさゆえに回避は楽勝。

 スッと避けてやると、犬畜生はそのまま俺の横を通過、かなりの勢いで床に顔面を打ち付けたのであった。


 その場でピクピクと痙攣する犬畜生の頭に足を乗せ、死なない程度にグリグリと押さえ付け、どちらの方が強く、立場が上なのかについて教育してやる……



「グギャァァァッ! ふげっ、ほげぇぇぇっ!」


「おうおう、わかったかこの犬畜生め、俺様に逆らうとこうなる、そしてお前等の信じるゴミ野郎よりも、俺様の方が数十億倍は魅力的だ、そうだな?」


「そっ、そんなはすが、ト=サイヌ様よりも魅力的な犬獣人など……ってお前犬獣人ですらない分際でこの……はげげげげっ」


「犬獣人じゃなくて悪かったな、だが狼獣人ならそこに居るぞ、ほら、ちょっと小さくてアレだがな」


「フンッ、狼獣人など所詮は雑魚、我等犬獣人の下位互換でげぐろばっ」


「だってよカレン、どうするよコイツ?」


「う~ん……えいっ!」


「ブチュゥゥゥッ!」


『ひぃぃぃっ! こっ、殺しやがったっ!』



 こんなボスに従うこと以外何も出来ない犬畜生共に、下位互換などと言われて傷付いてしまったカレン、本当にかわいそうである。


 よって勢いで俺の足元の雑魚を一撃で殺してしまったこと、キング犬畜生の保険金の受け取りを手助けしてしまったことについては不問に処す。


 で、そのカレンの小さい体から発せられた凄まじい力によって、最初に攻撃を加えるべく飛び掛かった犬畜生が、まるで車に踏まれたカエルのような状態になって死亡したことは、後ろで出番を待っていたモブ犬畜生共にも衝撃を与えたはずだ。


 最初の扉の件、そしてこの血の気の多い、いや多かったのだが、今はその血が留めておくための入れ物を潰され、地面に広がっている犬畜生の件。


 そのふたつの事象によって、キング犬畜生のボスとしての魅力の前に盲目となっていたここの連中にも、やはり俺達がただ者ではないこと、そしてこれまで紋々太郎が英雄パーティーとしてここへ来ていたときとは状況が異なるということを理解させることに成功したようである……



「ということだお前等、死にたくなかったら親玉の、そのト=サイヌ様とやらの所へ案内しろ、わかったなそこのお前?」


「そ、そんなこと仰いましても……我等は直接ト=サイヌ様とお話しすることが出来ない立場ですし……」


「そうなのか? お前等ひょっとして雑魚なのか?」


「いえ、ト=サイヌ様は姫、妹君としか会わないんですよ、暗殺防止のためなんでしょうか、とにかく上から見下ろしているのを眺めるだけで、面と向かってっていうのはちょっと今のところ……」


「どうしてそんな奴を信奉しようと思うんだか……いや、でも居る場所ぐらいはだいたいわかるだろう?」


「へ、へぇ、それはもちろん」


「じゃあそこへ連れて行け……と、何だよお前等この畜生共、不満でもあるのか?」


「え~っと、ご案内したいのはやまやまなんですが……ちょっとですね、3階に危険な野郎が居りまして……目が合った瞬間に殺されますぜ」


「構わん、逆にそいつをあの世へ送ってやる、案内しろ、もちろん安全のためにお前とお前、それからそこの不細工なお前、前に立って壁になれ、そしてその危険な野郎とやらに喰われて死ね、それが戦闘開始のゴングの代わりとなるからな」


『そ、そんなぁ~っ』



 適当に選別した犬畜生、もちろん顔がムカつく感じの、見ているだけでイライラしてくるタイプの奴を中心に、前に立たせて『敵発見用餌』の代わりとする。


 まぁ、こいつらが全て喰われる前には敵の姿を捉えることが出来るはずだ、本当にヤバそうな奴なら直ちに殺し、話が分かりそうな奴であれば適当に痛め付け、服従させて情報を引き出そう……



 ※※※



「ここです、この先の階段を登ると3階の大広間で、奴はそこに待ち構えているんですよ」


「そうか、じゃあ早く行け」


「いえ、その……開けた瞬間に襲い掛かって来るんで……その……死にたくないんで……」


「うるせぇボケが、何か? お前は俺やその仲間が敵の奇襲によってビックリしてしまう、少しだけ不快な気持ちになる、それを回避するために行動を取るよりも、もしかしてだが自分の命の方が大切などと思って……はさすがにいないよな、自分が底辺で生きる価値のない、使い捨てのゴミ、いやそれ以下の塵芥にも等しい存在であると自認しているはずだからな、ほら早く行けっ!」


「ひぃぃぃっ、死にたくねぇ……あげっ」



 適当に選んだ奴のうち、何となくだが『最もムカつく顔』をしているMVPゴミ犬畜生をさらに選び出し、背中を蹴飛ばして階段を登らせる。


 ビクビクと、祈りを捧げながら先へ進むその犬畜生が、凄まじくガタガタと震える手でその階段の先にあった扉に手を掛けると……



「し、失礼しま……ひょげろばっ!」


「おい何だよ? 半分しか開けてないのに引き込まれてしまったじゃないか」


「本当に使えない奴ね、さすがあんな醜悪な顔面をしていただけあるわ、ほら次、早く行きなさい、あの何かに喰われる前に扉を全部開けるのよ」


「へ、へい……終わりだ……」


「てかさ、今まで聞いてこなかったけどあの、今の何だろう、アレはどういった生物なのだ?」


「あれは……俺達と同じ犬獣人です、改造されて人喰いのバケモノにはなってますけど……」


「あっそう……と、2号も殺られやがったか、おい今答えてくれたそこのお前、褒美に3号としてその命を使ってやる、あり難く死地へ赴け」


「ひぃぃぃっ! そんな馬鹿なぁぁぁっ、どうして俺がそんな……」



 変に目立ってしまったことにより、次に死ぬ役目となることが確定してしまった目立ちたがり犬畜生。

 この場で確実に殺されるか、バケモノに襲われつつギリギリで生き延びるかを選択させたところ、泣きながら階段を上がって行った。


 そして半開きの扉に手を掛け、中から飛び出した真っ黒い手、ここにきて初めてその姿を目視することに成功した太く、毛の生えた腕に連れ去られそうになりながら、必死で扉を掴んで耐える。


 これはチャンスだ、バケモノの腕があのかわいそうな犬畜生に掛かりっ切りになっている隙に、どうにかして扉を開け、この先にあるというホールの中が丸見えとなる状態に持っていくのだ。



「オラ行けお前等! 命を惜しむんじゃないっ! ガンガン攻めて扉を開ければこっちのものだ、それで生き残ったらラッキーだと考えて突撃しないかっ!」


『うっ……ウォォォッ!』



 へっぴり腰ではあるが、この場で俺に殺されるよりはマシだと判断し、階段を駆け上がっていく犬畜生共。

 最初の『犠牲者3号』は既に中でバリバリと頭を喰われ、扉に掛けた手も直後にスッと離れた。


 だが飛び掛かった無数の犬畜生によって、ようやくその扉が、少なくない数の犠牲者を出しつつ開いたのである。

 そしてその奥、明るい階段からの光が差した先に居たのは……何だか少しデカいが、普通の犬獣人ではないか。


 身長は3m前後、人間としては有り得ないが、バケモノと呼ぶほどでもない、特筆すべきはそう、耳と尻尾だけでなく、腕や足にもイヌらしい毛が生えている、つまり犬獣人よりも少しワンコに近いということ、そのぐらいであろう。


 しかもこちらを見ても襲い掛かって来る気配はない、黙って扉から少し離れた場所に立ち、まるで俺達がそこへ来るのを待っているかのような雰囲気だ。


 手には引き千切れた犬畜生の首を、血が滴る状態で掴んだまま、相当に凶暴な雰囲気。

 それで『待て』が出来るのは偉いが、こちらが動き、ホール内へ入ることが『よし』の合図となるのは確実。


 だがここを通過せねば上へは行けないようだ、天井をブチ抜くのもアレだし、誘いに乗ってやることとしよう……

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