77 イバラ事件の黒幕は
「じゃあ序盤の何件かはアイツの仕業ではなかったと?」
「そうなんだ、我々はそれで間違いないと思っている、現場の位置からも、殺し方からもな」
てっきり全てのイバラ事件をあのキモ野朗がやったと思っていた。
だが違う、ということはどこかにまだあのイバラ魔法を使う者が居るということである。
敵の魔族はこれを王都中のキモい輩に伝授するつもりなのかも知れない。
だとしたら拙いな、そこらじゅう暗殺犯だらけになってしまうぞ。
「もしこれからも事件が起こるようなら、その都度俺達にも伝えてくれないか?」
「ああ、構わんよ、こちらとしても協力をお願いしたいからな」
俺達の方からはサワリンが知っていたイバラ魔法をばら撒く魔族の詳細な特徴を伝え、憲兵の詰所を後にした。
ちなみに奴がどのようにしてあの店舗と生活費を得ていたのか、ということについてはあだ調査中とのことである。
広場では、未だにちらほら犯人に対して石を投げる住民が来ているようだ。
どんだけ恨まれてたんだよ、あいつ……
「サワリンは知っていることをしっかり喋って偉かったぞ、帰りは縄を解いてやろう、おいジェシカ、貴様はなぜ普通に椅子に座っている、帰りも三角木馬に決まっておろうが」
「しかし主殿、これ以上やるとクセになってしまいそうだ、この形状の椅子以外受け付けなくなるぞ」
それは椅子ではありません。
屋敷へ戻り、留守番をしていたレーコ達にも話を聞いてみる。
敵である中級魔族の姿に関してはレーコとビーチャもこれで間違いないとしたが、この連中からはそれ以上の情報が得られそうにない。
「仕方が無い、地道に情報を得て徐々に敵を追い詰めていくしかないな」
「この先はイバラの道になりそうね」
「……マリエル、セラの座布団を全部没収してくれ、ついでに拷問セットを」
唐突にスベッたセラは石抱き責めに処された。
その後は全く手掛かりを得られないまま、俺達は闇雲に捜査を続ける。
5日目の夜には処刑していたキモ雑草屋が死亡したとのこと、今はまだ広場で死体を溶かしている最中だそうな。
次の事件が発生したのは、それから2日後のことであった。
前回の発生位置から少し王都の中心側にずれたところで犯行があったそうだ。
使われたのは全く同じイバラ魔法、被害者が歩いているところを突然イバラに巻かれたという点も共通している。
「馬鹿な犯人はすぐ近くに居たため速攻で捕まったそうです、今憲兵が拷問しているとのことでした」
「前回の奴が死んだら速攻で次かよ、でもどうなんだ、手駒を殺されたから弔いのために新たな駒に殺らせたとかか?」
「ご主人様、もしかしてそのイバラのスキルは一度誰かに渡すと、そいつが死ぬまでは他に譲渡できないんじゃないんですの?」
「なるほど、ユリナの意見が正しいと思う者はどのぐらい居る?」
全員が、そうかそうかという感じで手を挙げる、正直俺もこの線が濃いと思う。
ユリナの意見を前提として捜査を続けよう。
国の方には新たに捕らえた犯人を処刑しないように伝えなくてはな……
※※※
「勇者殿、そろそろ限界だぞ、被害者の遺族から処刑はいつなんだと苦情が来ている」
「そうか、それは困ったな……」
二度目のイバラ事件から3日後、犯人が処刑されないことに対する被害者遺族の不満が爆発寸前だという。
基本的に、この世界では関連事件の捜査中だろうがなんだろうが、速攻で犯人を処刑するという習慣がある。
だがユリナの説を確かめるために犯人をキープしている間はその処刑が出来ない、そしてついに先程、遺族が憲兵の詰所に怒鳴り込んで来たらしい。
「ねぇ勇者様、その魔族は処刑された死体から何か回収しに来るんじゃないかしら? 例えば技の素とか」
そんなうま味調味料みたいに言わないで欲しいのだが、確かにそれもありうる。
犯人の処刑をして貰い、その後、広場で晒される死体を監視することとなった。
「うわぁ~、犯人はこれまたキモい奴だったのね……」
「そのイバラ魔法を与えている魔族はキモいフェチなのかも知れんな」
二度目の事件の犯人、つまり今から処刑される罪人は、どちらかというと人よりネズミに近い容姿であった。
当然、処刑台の上でもやいのやいのと言っている、どうやら詐欺を働いたうえ、それが発覚しそうになって詐欺のターゲットでもあった今回の事件の被害者を殺害したのだという。
せいせいするほどのクズである、早く死になさい。
「しかし今回は凄い人だかりだな、なぁセラ、前もこんなんだっけか?」
「今日は特別なのよ、精霊様が処刑人をやるというお触れが緊急で回っているそうだし、このぐらい集まるのが妥当ね」
この事件の処刑が遅れていたのは完全に勇者パーティー都合である。
そのことを憲兵が遺族に伝えたところ、人気処刑マスターの精霊様が処刑人をするならこれ以上文句は言わないと約束してくれたそうだ。
もちろん精霊様はノリノリで受諾した。
ウチの精霊様は貴族や金持ちからはほとんど相手にされないものの、貧乏平民からの支持はすこぶる厚い。
本来なら国に金貨1枚を納付して依頼するその精霊様の処刑をタダで請け負って貰えるのだ、これで遺族の溜飲は下がるであろう。
「今回はアツアツのお湯で釜茹でにするそうよ、勇者様、どうする?」
「向こうにベビーカステラの屋台が出ている、買ってあげるから一緒に行こう」
原則、そういう気持ち悪いのを拝見したいとは思わない。
セラと一緒に処刑会場から逃げるのが常になってしまっている。
まぁ、重要なのは処刑ではなくこの後である。
俺達は死体を見張れば良いだけだしな。
その辺を適当にぶらぶらして広場へと戻る、既に罪人は茹で上がったようだ。
今は広場中央の処刑台に設置されたポールからぶら下げられている。
さて、一旦食事にして、夕方からこの付近に隠れて見張るとしよう。
※※※
「主殿、その棒が私の胸に当たっているのだが?」
「文句を言うな、狭いんだから我慢しろ!」
俺とジェシカが居るゴミ箱から見て、広場を挟んだ反対側のゴミ箱にはミラとマリエルが入っている。
カレン、マーサ、それから敵の確認役であるサワリンは、罪人の死体を吊るしてあるステージから一番近いベンチの裏に隠れて様子を伺う。
「あ、見るんだ主殿っ!」
「どうした、もう敵が来たのか?」
「違う、後衛組が陣取っているホテルの窓だ、ルビア殿が酒を飲んでいるぞ!」
「あいつっ! 帰りの馬車は代行を頼みやがったな、というか作戦行動中なのに酒を飲むな!」
というかどうして俺達はこんな劣悪な環境なのに、後衛組はホテルの窓から監視なんだ?
精霊様の一存で決定したとはいえ納得がいかない。
「ルビア殿というよりあそこの部屋に居るメンバーは全員酒を飲んでいるようだ、不公平極まりないな……」
「まぁ良いさ、ジェシカのダイナマイトおっぱいが真横にある状況はそこまで悪いものでもないし」
「主殿は相変わらずエッチだな!」
やいのやいのとやっていると、辺りは完全に暗くなり、人通りも徐々に無くなっていく。
さて、問題は魔族の野郎がここに来るかどうかだ。
もしここまで来なくてもスキルを回収できるとしたら?
そもそも与えた奴が死なないと次に渡せないという前提が間違っていたら?
こんな汚いゴミ箱に隠れた分、単なる大損である。
敵はなかなか来ない、ホテルに居る後衛組が俺達が入っているゴミ箱を指差して笑い合っているのが見え
る。
奴等め、後で絶対に痛い目に遭わせてやるぞ!
「主殿、向こうのゴミ箱からミラ殿が顔を出しているぞ!」
「何っ! 敵が見えたのかも知れんな……」
ゴミ箱から顔を出したミラは、あらかじめ決めてあった信号で俺にメッセージを送ってくる。
『マリエル・ヘ・コイタ・クサイ』
せっかくの信号をどうでも良いことに使わないで欲しい。
「ダメだ、馬鹿ばっかりですよ、もう疲れたよバカラッシュ、おやすみ」
ジェシカに膝枕して貰い、目を閉じる。
よく考えたら俺の索敵に反応しそうだ、わざわざ目で見張っている必要は無いであろう。
30分、いや1時間ぐらい経過したであろうか、ようやく広場の中央に敵の反応が出る。
突然現れたようだが、一体どこから来たというのだ?
「おいジェシカ、敵が来たようだぞ、ちょっと見てみよう」
「本当か? 先程からずっと監視しているが、何も居るようには見えないぞ」
確かに、広場の中央には罪人の死体がぶら下がっているのみである。
それ以外に人影のようなものは見当たらない。
でも索敵には反応があるわけだしな、それに一番近くで監視しているカレンの尻尾の毛が逆立っている。
牙を剥いて広場中央を睨み付けているようだし、何か居るのは間違いないであろう。
「あ、出て来るぞ……そうか、地面の下に居たんだな」
「本当だ、何やらモコモコしているな、あそこから這い出して来るのか」
しばらく様子を見る、飛び出して行きそうなカレンはマーサがしっかり押さえているようだから安心である。
地面から現れたのは、蔦を手足の代わりにしたバラっぽい植物。
頭の部分はまだ開花しておらず、つぼみの状態だ。
自分が出てきた地面の穴を懸命に埋め、剥がれてしまったタイルを正確に嵌め直している。
敵はかなりマメったい奴のようだな。
そして何やらブツブツと独り言を呟いているようだが、俺の耳では何を言っているのか聞き取れない。
きっとカレンやマーサには聞こえているのであろう、気になるから後で確認しよう。
敵のバラはそのまま罪人の死体へと近付いていく。
「見ろ、死体から白い粉が散っているぞ……あれが技の素か」
白い粉は徐々にバラ魔族のつぼみに吸収されてゆく。
死体から出てきた分全てを吸い取ったところで、魔族のつぼみは花となる。
「よっしゃ! 出て戦うぞ!」
「待て、待つんだ主殿っ!」
「どうしたっ、トラブルか!?」
「尻が引っ掛かった……抜けない」
ジェシカの座っていた所はちょっとした窪みになっており、そこに尻が嵌ったようだ。
もうそのままにしていると良い、そのうち清掃業者の方に見付けて貰えるであろうよ。
「主殿、置いて行かないでくれ!」
「わかったよ、ちょっと痛いかもだけど我慢しろよ!」
聖棒を隙間にねじ込み、梃子を使って救出してやった。
俺達がそんなことをしている間に、他のメンバーはバラ魔族を取り囲んでいる。
『貴様等、何奴であるか? 単なるバラであるわしに何か用か?』
「お前がこのキモい連中にイバラ魔法を貸与していたんだろう? だから殺す」
『フハハッ! バレておったのか、だが技の素を回収したこのわしに勝てるかな?』
調子良くイバラ魔法を放ってくるバラの中級魔族。
正直言って大したことない、こんなに広い所じゃ誰にも当たりませんよ、そんな攻撃。
寄って集ってボコボコにしてやった、聖棒と、それからカレンが使っている伝説の爪は効果抜群である。
蔦も、それから本体も切り刻み、花部分はマーサの拳骨で粉々になった。
「ご主人様、コイツ再生しますよ、切っても切っても無駄みたいです」
「本当だ、じわじわ元に戻っているじゃないか、これは焼くしかなさそうだな」
ホテルで酒盛りしている連中は……おっ、セラが気付いたようだ。
手を振ってこちらに来るよう要請する。
6人で窓の近くに寄って来て爆笑してやがる、こちらは今敵と戦っているんだが?
「勇者様、お姉ちゃん達はもうダメです、ちょっと憲兵さんを呼んで来ますね、火魔法が使える人が居ると思いますので」
「頼んだぞミラ、こっちは再生する前にもう一度粉々にしてしまおう、すり潰して生薬にしてやれ」
何度も粉々と再生を繰り返すバラ魔族。
最初こそ何とか逃げようとしていたようだが、そのうちに諦めたらしい、攻撃すらしなくなった。
「おい、お前を殺す前にいくつか聞きたいことがある」
『勇者のダンナァッ! 何でも答えますから勘弁してくだせえ!』
「よし、では全部答えたらすり潰すのはナシにしてやる」
バラ魔族を脅した結果得られた情報は……
・木魔将の命令で動いている訳ではない
・イバラ事件の黒幕は当然自分である
・スキルは1人にしか貸与出来ない
・性格が悪い奴を選んでイバラ魔法を貸し与えていた
・魔族神というのはかつて見た夢に出て来ただけ
そんなところであった、とりあえずこいつを殺せばイバラ事件は解決しそうだ。
ミラが火魔法を使える憲兵を連れて戻って来た、では処刑しよう。
『ちょっと待ってくれっ! 質問に答えたのにどうして殺すんだ!?』
「確かにすり潰さないとは言ったが、みじん切りにして焼かないとは言っていないからな、では死ね」
火が通り易いように細かく切り、憲兵が火魔法で焼却する。
索敵からバラ魔族の反応が消えた、完全に息の根を止めたようだな。
「これでイバラ事件は完全解決だな、寒いからさっさと帰ろう!」
「馬鹿なお姉ちゃん達にお仕置きしないといけませんしね!」
俺やミラなんかはルンルンで帰宅しようとするが、どうもマーサとサワリンだけが納得のいかない表情である。
「人にスキルを貸し与える術なんて今まで見たことがないわ、ねぇ、マーサはどう?」
「私も知らない、少なくとも魔将クラスまでには居なかったわ、そんな奴……」
もしかしてあのバラ魔族が親玉ではなく、もっと禍々しい何かが後ろに隠れているのやも知れんな。
だが今はそんなの関係ない、早く帰りたいぞ。
ホテルの一室で盛り上がっていた場か6人を回収し、代行運転の馬車で屋敷へと戻る。
部屋代、飲み代、それから代行運賃はこいつらの個人資産から徴収しよう。
一切戦っていないどころか、リアル高みの見物をしていた奴等に国費でそんなもの払わせることは出来ないからな。
「あの……私はここの料金を割り勘で払えるほどお金を持っていないんですが……ご主人様、どうか立て替えて下さい!」
金遣いの荒いルビアは常に金欠である、こうしてまた借金漬けの奴隷に成り下がったのであった。
※※※
「とりあえず風呂に入ろう、誰かさん達と違ってゴミ箱に隠れていたわけだからな、臭くてしょうがない」
「お姉ちゃん、今日という今日は許しませんよ、あんなところでお酒を飲んで遊んでいるなんて、色々と自覚が足りないわ」
「今日は精霊様もお仕置きですからね、私とマーサちゃんから、いつものお返しですよ!」
風呂では精霊様が逃げ出さないように全員で監視した。
いつもピンチになると水で偽物を作ってどこかに行ってしまうからな、常に誰かが体に触れていることでそれを防止する。
「ちょっとっ! 逃げないから変なところを触るのはやめてよね!」
「黙れ、自分が悪いんだろう! どうせ酒盛りを始めたのも精霊様の提案なんだろ?」
「残念ながら今回は違うわ、主犯は手を挙げるべきね!」
ルビアとリリィが俯きがちに手を挙げた。
どうしようもない奴等だな……
「主殿、この6人にはどんな罰を与えようか?」
「そうだな、今から干してしまおう、部屋干しだ、ジェシカは後で布団叩きを持って来てくれ」
「わかった、屋敷にあるものを可能な限り集めて来ようではないか」
「ねぇ勇者様、せっかく事件が解決したんだから早く済ませて宴会にしない?」
「それをあそこで笑って見ていただけのセラが言うのか?」
「うぐぅ……」
結局、馬鹿6人は反省するまで部屋でで干し、その間俺達は宴会をするということに決まった。
風呂から上がってすぐに刑を執行する。
「いでっ! 耐え難い屈辱だわ……あいだっ!」
「マーサ、マリエル、精霊様は反省していないようだぞ、もっと叩いてやれ!」
「後で仕返しされてしまいそうですね……」
俺はセラとルビアを叩き、ミラがリリィの頬っぺたを抓っている。
ユリナとサリナはもう顔中落書きだらけ、だがこれでは足りないな、尻尾の先にクリップを挟んでおこう。
「勇者さん、お酒とおつまみの準備が出来ましたよ」
「そうか、では俺達は祝勝会を始めようぜ、レーコ達もこっちで飲め!」
「わかりました、というか凄まじい光景ですね」
「だろう、このパーティーでは悪い事をするとこういう目に遭うんだ、サワリン達も良く見ておけよ!」
「そう言われても思わず目を背けてしまうわね」
『これはちょっとやりすぎでは? 魔王様のお仕置きでもここまで酷くありませんよ』
「でも魔王軍には戦闘中に酒飲みながら爆笑している奴は居ないだろ?」
『確かに……信じられない行為ですね、この刑罰は妥当なのかも知れません』
「わかったか? わかったならあっちで一緒に飲もうぜ」
「あら、おつまみ野菜スティックもあるじゃない、気が利くわねレーコ」
「良かったなマーサ、さて、今日はスキル貸与とかの謎は忘れてパァーっといこうぜ……しかしこのままだとあまり目の保養にならないな」
「勇者様、罪人は全員お尻丸出しにしてしまいましょう!」
「それが良いな、ではマリエル、やってしまいなさい!」
無様な6人を眺めながら飲む酒は最高である、いやぁ、今日は頑張ったな!
キャンプ場の事件を解決して戻った途端に対応を余儀なくされた今回のイバラ事件。
結局様々な謎が残ってしまったが、実行犯側はそのうち国の方で調査が進み、犯人達の詳細が明らかになってくるであろう。
しかしそんなことはどうでも良い、おそらくこの後、どこかのタイミングであのバラ魔族が使っていたスキル貸与の力が何かの事件に絡んでくるのは間違いないであろうな……
「ご主人様、そろそろ降ろして下さい、私もお酒飲みたいです!」
「リリィが何か言っているぞ、どうする皆?」
「そうですね、そろそろ降ろしてあげても良いかと思います、ただし、朝まではお尻丸出しですね」
台から降ろしてやると、ルビア、リリィ、精霊様の3人は大急ぎで酒に飛びついた。
どんだけ飲みたいんだよお前らは……おそらく死後はそういう類の地獄に落ちるんだろうな、この3人は。
「勇者様、ちょっと寒いわ、抱っこしてもらって良いかしら?」
「構わんけどセラ、お前お尻丸出しだぞ」
「その恥ずかしさよりも寒さの方が上回っているわ……よっこいしょっ」
「おいセラ、まだ座って良いなんて言ってないぞ!」
「許可など要らないはずよ」
生意気なセラを抱えたまま夜通し飲み明かす。
酒がなくなった頃、ちょうど空が白み始めた……




