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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十章 終局的解決
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609 斬るしかない

「よしっ、じゃあセラとユリナは魔法でコパーに対して攻撃を、動きを止めて拘束するチャンスを作り出すんだ、あ、もし耐性が低そうだったら直ちに攻撃中止な、大怪我というか損傷させたくはない」


「わかったわ、じゃあ私は足元狙いで」

「私はボディーを狙っていきますの」


「それからリリィと精霊様もブレスと水の弾丸で攻撃出来るよう準備しておいてくれ、2人で不足ならそっちに参加するんだ」


『はーいっ!』

「ええ、でもそれまでは防御に徹しておくわ、あの後ろのΩ連中が攻撃してこないとも限らないし、そもそも上から大軍団が降りて来ている頃だと思うし、あ、リリィちゃんもね」


「うむ、じゃあリリィと精霊様はひとまずそっちの対応もしてくれ、で、俺と、あと前衛の4人でどうにかコパーを押さえ付ける、こちらも極力怪我をさせないようにな」


『うぇ~いっ!』



 残った3人のうちルビアは負傷者が出ることに備えて待機、マリエルは持ち前の観察眼をもってコパーの動きの中から隙を探る、そしてサリナはその後ろに控えるブルー本体に幻術が効いたりしないか、それで良い感じに処理出来ないかの実験をダメ元でやってみることに。


 もちろん本命はセラとユリナの魔法による撹乱、そして隙を見てコパーを押さえ付け、規定の方法でシャットダウン、つまり気絶させてしまうことを狙った作戦である。


 本人も了承済みだし、他の敵は余裕の面持ちで俺達とコパーの戦闘を眺める構えだ。

 ここで俺達が作戦に成功すれば、予定が狂った敵は多少なりとも、いやブルーの奴はコパーを失えば相当に焦るはず。


 と、ここでセラが最初の一撃、足元へ打ち込んだ最小威力の風魔法、空気の刃は床を抉り、コパーもそれに反応してヒョイッと回避する。


 だが上へ跳んだためその状態から次の攻撃を避けるのは難しい、それがユリナの使うレーザー火魔法であれば……体を捩って避けやがった。


 さすがにこれを回避することはないと思ったのだが、良く考えればこの少し前、あのΩ化して蘇生した豚野郎が同じものを使い、コパーもそれを見ていたのであった。


 この戦闘は本人の意思とは全く関係ないものの、本人が見て知って、そのメモリか何かにインプットされているものは、全てが活用されているものと見て間違いない。


 となると俺達との旅で経験したこと、コパーが見て聞いて感じたことが、楽しい思い出としてではなく最悪のかたちで表に出てきてしまっているのだ。


 これは許せない、いくら人ではなく魔導兵器とはいえ、可愛い女の子タイプであるコパーにこのような辛い思いをさせるとは。


 ブルーの奴は殺害してどうにか蘇生、また殺害して、というのを2億回ぐらい繰り返し、二度と転生したいと思わない程度にまで痛め付けて、蔑んで、絶望を味わわせてブチ殺してやりたいところである……



「セラ、ユリナ、もう一度だ! どういうわけか受けずに回避行動に出ているからな、引き続き威力は最小限に絞るんだぞ」


「主殿、次は物理攻撃もぶつけてみよう、もう少し動きを引き出せるかも知れない、コパー殿には申し訳ないが……」


「ああ、だが怪我人を助けるためには傷口に酒をぶっ掛けることもあるだろう、そのノリでやっていけば、てかそう思わないとキツいからな、とにかくやるぞっ!」


「お……お手柔らかに~、ひゃぁぁぁっ!? ひぇぇぇっ! も、もう眩暈が……」



 再びコパーに襲い掛かるセラとユリナの魔法、そして今度はミラとジェシカの斬撃と俺の突き。

 さらにはすぐ近くでは、最後の取り押さえ班としてカレンとマーサが待機している、もちろんこの2人も撹乱のためにちょっかいを出す。


 そうした攻撃に対し、体が勝手に動いて綺麗に対応するコパーであるが、最初の泣きべそからは徐々に表情が変化し、今はヨレヨレでヘロヘロ、完全に目を回している状態だ。


 それでも正確に魔法攻撃を回避し、物理攻撃は剣や盾に変化させた両腕でバッチリ捉えているのだから凄まじい……いや、酔ってグルグルになった目でどうやって周囲を見ているというのだ……



「クッ、全て受けられてしまいますね、かなり素早い動きですっ!」

「こっちもだ、私はカレン殿かマーサ殿と交代した方が良いかも知れない」


「そうだな、じゃあジェシカはマーサと、それから俺はカレンと場所を代わろう、カレン、ちょっと遠いがここから軽い物理攻撃を入れてやってくれ、ごく軽くだぞ、本当になっ!」


「わかりました、シュバッて感じじゃなくてシュッて感じでいきます」


「おう、イマイチ良くわからんが頑張れ、マーサもジェシカが退いたらすぐに……危ないっ! ジェシカ避けろっ!」


「へっ? きゃんっ」


「大丈夫かっ!?」


「てててっ……大丈夫、少し掠っただけのようだ、一旦治療のために離脱する」



 大丈夫というわりには右の肘付近からかなりの出血があるジェシカ、マーサの方を見た一瞬の隙を突かれたのだが、もしもうワンテンポ遅れていたら腕ごと持っていかれていたかも知れない。


 大怪我ではあるが、まだ繋がっているだけマシだと考えた方が良さそうだな。

 今回はラッキーであった、だが次はない、僅かでも油断すれば確実にやられてしまう。


 俺とマリエルの間を通ってルビアのところへと向かうジェシカ……ルビアは少し動け。

 で、そのすれ違いの少し後、マリエルが横から俺の袖を掴んで引き寄せた、何に気がついたパターンだな……



「勇者様、ちょっと今ので、あ、ジェシカちゃんが受けた攻撃ですが……」


「おう、アレはマジでヤバかったな、久しぶりに肝が冷えたぞ」


「ええ、そうなんですが、アレはラッキーであの程度に終わったんじゃなくて、どうもコパーちゃんが精神的な抵抗をした結果みたいなんです」


「というと?」


「攻撃がヒットする直前、そのままいけば本当に大ダメージというところでしたが、そこで少し、ほんの少しだけ躊躇するような動きがあったんです」


「……なるほど、今の操られたコパーにそうさせることが出来るのは、そりゃもうコパーの中身以外にないってことだな」


「やはりそうなりますよね、ですがこのことは本人に聞かれないようにしましょう気付いて妙に意識してしまうと、逆にその効果が薄れる危険がありますから」


「確かにそうだな、よし、コパーには悪いが本人バレしないよう、こっそりこの情報を共有しよう、前衛後衛と、それから精霊様とリリィにもだ」



 こちらにとって致命的な攻撃が出る瞬間、コパーの中にあるどうにか抵抗しよう、そのようなことはさせまいという意識が邪魔をしているらしいということ。


 今のところ突破口はここにしかなさそうだ、それが通れるような広さのものなのか、それとも残念賞なのかはわからないが、可能性がある以上はこれを試してみる他ない。


 後方、出入り口付近でデュラハン達と一緒になって雑魚Ω軍団を食い止めているリリィと精霊様にはサリナが使者として向かい、他のメンバーには俺止マリエルがコソコソと伝えに行った。


 情報を共有してから最初の接触、最初の魔法攻撃の後、ルビアの回復魔法で傷を癒したばかりのジェシカが剣を横薙ぎにすると見せかけて退き、その後ろから俺が鋭い突きを……と、これもフェイクだ。


 素早さの関係で俺とジェシカはあまり近付かない方が良いとの判断は間違っていないはずであるため、後衛の魔法と同様陽動に撤することにしたのである。


 メインの攻撃は素早さの高いミラ、カレン、マーサの3人、ただそのうち最も射程が短い、拳で戦うマーサは危険につきそこまで食い込まないよう気を付ける、食い込むのはパンツだけで十分なのだ。



「えいやっ! とぉっ!」


「よいしょっ……あ、本当だ、攻撃するときのこの動きは……」


「カレンちゃん、それは言っちゃだめって」


「あ、そうでした、じゃあ今のナシで」


「おいカレン、次に余計なことを口走ったら猿轡を噛ませるぞ」


「ひぃぃぃっ! それだけは勘弁して下さいぃぃぃっ!」



 ミラにもカレンにも、コパーが攻撃を繰り出す際の躊躇、というか本人の意思が干渉して必死にそれを止めようとするのが感じられたようだ。


 コパーの攻撃が専ら腕を武器に変化させたものであることを考えると、その意識的な攻撃の忌避と、それから変化する腕の全パターンをキッチリ把握してしまえば、どうにかこちらの有利に戦闘を勧めることが出来るのではないか。


 いや、それは拙いかも知れないな、現状ではこたらが圧倒的に不利、コパーを破壊してしまうような攻撃を繰り出すことも出来ず、かといって回避していても先へ進めない、捕まえて停止させるなど夢のまた夢といった状況なのである。


 しかしそれが覆ったとき、即ちこちらがコパーを停止させて勝利するという結果が現実的な未来として想定されるような状況となったときにはどうなるか。


 今は黙って、それこそニヤニヤしながら戦闘の経過を眺めているブルーも、そしてその配下であり、今のコパーが自分の意思とは関係なく俺達と敵対していることの元凶でもある後ろの変なΩ連中も、間違いなく動き出してこちらの邪魔をするはずだ。


 そうなるとまた勝ちの目が一気に遠のいてしまう、ここは慎重に、敵がアッとおもうような一瞬のタイミングでこの対決を決着させなくてはならない……



「きゃっ、危なかったです、まさか左腕の剣が短くなって突いてくるなんて」


「大丈夫かミラ、切っ先には触れていないか?」


「ええ大丈夫です、でも間合いの中で変化されたらひとたまりもありませんね、斬り合っている最中に短剣を抜かれたみたいな感じです、盾でも防げないし、そもそも最初から懐の中です」


「だってさ、カレンもマーサも気を付けろよ、怪我したら遠慮せずに申告するんだぞ」


「ちょっとあんた、何だか凄く人事ね、一度こっち来て攻撃されてみなさいよっ、ほらっ」


「馬鹿かマーサ! こらっ、引っ張るんじゃないっ! 俺なんかまるで回避とか出来ないんだからっ! やめてっ、一撃で急所突かれちゃうっ! 新たな異世界に転生しちゃうっ!」


「ちょっと2人共、戦闘中にふざけないで下さい」


『すみませんでした……』



 とにかく、コパーの腕の武器は変幻自在、本人の意思による攻撃忌避がなければ迂闊に接近することさえ叶わない次元の引き出しの多さだ。


 これでは全ての形態を把握するのは困難、いや大さじや小さじ、温度計にさえ変化してしまうような腕なわけだし、もしかしたら定型というものがないのかも知れないな。


 だとしたら非常に厄介なわけだが……と、今度はジェシカから意見の具申だ、何なりと申し付けるが良い。



「主殿、ちょっと気になったんだが、コパー殿の攻撃、最初から一貫して腕の武器のみ、防御もそうだ」


「……確かにな、てかこれまで腕以外が何かに変化したのを見たことがないぞ、目からビームとか出ないし、口から火を吹いたりもしないしな」


「そうなんだ、もしかしたら戦闘用に変化するのは腕のみなのではないかと思ってな、それさえ排除してしまえばコパー殿は戦えない、単なるΩ指揮官に戻るのでは?」


「どうかはわからんが……もし腕を排除するとしたら……」


「それはもう『斬る』しかないな、非常に、本当に申し訳ないことだが、このまま不毛な戦闘を続けてお互いに傷付くよりも、そうしてやった方がコパー殿にとっても良い結果になるのではないかと、私はそう考えるのだが、主殿はどうだ?」


「そんなこと言われてもな……」



 究極の決断である、きっと事故等によって負傷した腕や脚を切断するか否かを決める際には、やはり切断する側にはこれと同じ葛藤があるのか、それともどちらの方が特かで判断し、切断すると決めたらもうそれで割り切ってしまうのか。


 とにかくこんな重要なことは俺1人には決断出来ない、頼みの精霊様は未だ後方から押し寄せる敵性Ω軍団を食い止めることに躍起になっているし、サリナももうそちらに参加、ユリナは魔法、そして前衛でミラが戦っている。


 もうまともな判断能力を持っていて、かつ暇人なのはジェシカしかいないということか、マリエルに聞いてみるのもアリかもだが、これからすることとそれによって生じる結果を天秤にかけることが出来るとは思えないよな……


 よし、ここはジェシカと相談して決めよう、しかも急いで決断しよう、セラもユリナも魔力を消費しているし、ミラ、カレン、マーサも体力を削られている。


 モタモタしていたら作戦の決行自体が不可能になってしまいかねないからな、もし話し合うとしても時間は3分程度に留めておこう……



「ジェシカ、ちょっと相談がある」


「どうした主殿?」


「コパーの腕を切断するべきか否かなんだが……ちょっと決めかねるからどうにかしてくれ」


「……本当にしょうがないな主殿は」


「ジェシカ、キレるとかじゃなくてボソッと呆れるのはやめてくれ、そんなことされたら余計に傷付くではないか」


「いやすまない……すまなくはないが、とにかく私は切断してやるべきだと思う、もしそれで、それだけのことでコパー殿を止めることが出来るのならな」


「……ちなみにあの腕って一点モノなのかな? 作り直したりとかって可能なのかな? 王都でどうにか同じものを製造出来るかな?」


「わからないが、少なくともあそこまでの機能を持ったモノを再現するのは難しいだろう、だが普通に動く程度の『換装パーツ』程度であれば人族の技術でもどうにかなるはず、もちろんその場合には……」


「コパーは最強のΩじゃなくなるんだよな、指揮能力は維持することが可能なんだろうが、自分では戦えないと、まぁそういうことになるな」



 ジェシカは完全に切断推しだ、他の者の意見は聞いていないし、肝心のコパー本人はもう話しが出来るような状態ではないため意思の確認が不可能。


 となると最終判断は……やはり俺がするしかないということになってくるのか。

 かなり重い、修正可能な軽い損傷を負わせるのをはわけが違う行為。


 だが時間がないのも事実、ここで決めてしまわなくては……ダメだ、他の考えなど浮かぼうはずもない、やはり斬るしかないようだな……



「ジェシカ、次の打ち合いでチャンスを見つけてどちらかの腕を斬り落としてやってくれ」


「わかった、だが主殿、私に出来るのは片方だけだぞ、打ち合い直後の一瞬の間ではそれが限界だ」


「おう、もう片方は俺がやる、おそらく腕を落とされた直後なら俺でももう片方をいけるだけの隙が出るだろうからな」


「ああ、では覚悟を決めていくぞ、何か合った際の責任は私達が半々で取ろう」


「……7-3ぐらいにしないか? もちろん俺が3の方だが」


「しない、それチャンスだ、行くぞっ!」



 始まってしまった、魔法攻撃の後、ミラとカレンがコパーの懐に食い込む。

 それを長めの剣で受け切り、後ろから抱え込もうとするマーサもサラッと回避したコパー。


 直後、離脱が遅れたミラに斬り掛かろうと、バランスを崩したまま右腕を振り上げる……そしてほんの一瞬だけ、本人の意思の力でピタッと、まるで何かのエラーでカクつく機械のように動きが遅れる。


 その瞬間に離脱することに成功したミラ、そしてその隙はミラにとっては逃げるための隙であったが、俺とジェシカにとってはまた違った意味での隙となった。


 先にジェシカが、僅かに遅れて俺が飛び出す、ジェシカが狙ったのは振り上げられた右腕、俺はもう片方、バランスを取り戻すために大きく横に突き出された左腕を狙う。



「申し訳ないっ! その腕落とさせて頂くぞっ!」


「ぎゃんっ!」


「悪いなコパー! ちょっとだけ我慢してくれ!」


「ひぎぃぃぃっ!」



 まずはジェシカが一撃で右腕の肘から上を、次いで俺が左腕の関節を聖棒で思い切り突く。

 吹っ飛び、宙に舞った2本の腕、剣の形を取っていたため、凄まじい勢いで回転したまま飛んで行った先で壁に突き刺さる。


 その一連の流れはあっという間であったはず、誰も動かず、何が起こったのかさえわからない者も多かったはず。

 この作戦は誰にも告げず、味方すら知らない状態で決行したのだから当然である。


 だが、次の瞬間に目に入ったブルーの顔、まさか俺達がコパーを傷付ける、どころかここまでするはずはないという想定が崩れ去ったことを知った瞬間のその顔。


 きっとどこかで監視して知っていたのであろう、俺達が女の子にだけは、たとえそれが魔導兵器相手であっても実に優しいということを、そして腕を斬り落とすなどということをするはずがないと考えていたに違いない。


 だが、場合によってはそれもあり得ないわけではなかったのだ、今回は攻撃ではなく『処置』としての両腕切断である、悪意をもってそれをなしたわけではないことが通常とは異なったのであった。



「ひぃぃぃっ! 痛いっ、痛いですっ!」


「ごめんっ、もうちょっと我慢してくれるか? すぐにどうにかしてやるから」


「わ……わかりました、早く私を私が制御出来るようにして下さいっ、このままじゃ痛みのコントロールすら自分で出来ないんですっ!」


「おうっ、ちなみにもう戦えたり、ほかの武器が出てきたりはしないよな?」


「ええっ、もうないと思います、斬られた後で何やらスキャンされた感じがしましたが、それで今攻撃していないということは大丈夫ってことだと思います」



 先程まではフラフラと、半ば失神したような状態戦っていたコパーであったが、腕を斬り落とされたことによって感じた痛みで正気を取り戻したようだ。


 だがその痛みを制御することが叶わず、ひたすらに苦痛を訴えることしか出来ない様子。

 早くどうにかしてやらねば、そのためにはブルーと、それから後ろのΩ連中を倒してコントロール権を返還させる必要がある……



『き……君達……やってくれたようだなぁっ! 我の大切な魔導兵器を、その強さの証たる変幻自在の武器をっ!』


「そうか、コパーはお前の大切な魔導兵器だったのか、いやそうかそうか、それは悪かった」


「でもあんたね、コパーちゃんはもう私達の大切な仲間なの、こっちにとって、もうその子は兵器とかそういう扱いじゃないのよっ!」



 単なる魔導兵器としてのコパーを無力化され、怒りに震えた様子で悔しがるブルー。

 コイツが冷静さを失うところは初めて見るな、覚えていないが、きっと前の戦いでもそうであったに違いない。


 そしてもちろん、平穏から怒りに変化したその表情は、またこの後すぐに変化して『死に顔』を表現することになるのだ……

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