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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第三章 交換の後に
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533 着いた

「セラ、マリエル、そういえば服はどうするんだ? もう泥だらけもいいとこだぞ」


『あ、そういえば忘れて来た……』


「しょうがないな、じゃあ俺が取りに行って来てやるからそのまま入っておけ、カレンはまだ出ないか?」


「もうちょっと入ってます~」


「そうか、なら俺はそろそろ……っと、そういえばこの泉、というか温泉はどうしよう?」


「う~ん、それは後で考えましょ、今は面倒だわ」


「まぁそうだな、俺もちょっと歩きながら考えとくわ」



 ミヤツコのジジィ(故人)が使っていた『回復の泉』、当初の予定では全員入った後に破壊し、ジジィが二度と回復出来ないようにするつもりでいたのだが、そのジジィを殺害した時点でもうジジィの脅威に起因する破壊の必要はなくなった。


 まぁ、通常であればその時点でもう『温泉』として扱い、有り難きものとして崇め奉ってゴテゴテの飾り付けまで施し、さらに周辺を開拓して南の温泉郷を開設したり何だりと、これから色々と忙しくなるべきところ。


 だが問題はこの温泉の効能である、どんなダメージも治してしまう、もちろん致命傷であれば全回復までにかなりの時間を要するはずで、ルビアの使う回復魔法と比べればカスである、だが細かい傷はあっという間に治癒する……つまり効能がヤバすぎるのだ。


 もしこの泉、いやもう温泉ということで良いであろうが、とにかくこれを汲んで『奇跡の水』や『ミラクルポーション』などとして売り出せばどうなるか?


 現在魔法薬ショップなどで流通している既存の回復役の類はその役目を終え、この温泉の湯がそのポジションに成り代わる。


 もちろんそれを俺達が独占販売すれば大儲けなのだが、きっとそうはいかない、周囲を掘って同じ泉質の湯を出し、類似品、というか全く同じものを販売する業者が出てくるはずだ。


 で、俺達がそうしようが他のパクリ業者がそうしようが、市場は確実に大混乱となり、多くの魔法薬ショップ開業者、また薬師というかそういう類の魔女というかが食い詰める結果となろう、魔法や魔法薬に頼りがちなこの世界においてそのインパクトはかなり大きい。


 ということでこの温泉、世界の経済を大変に危険な存在となり得る可能性を秘めている。

 ましてやここは敵地、卑怯者共が跋扈する旧共和国領の一画なのだ。


 この温泉の存在が世に明かされた場合、確実に反勇者、反王国の馬鹿共によって悪用されるであろう。

 そうなったら大事だ、即ちそうなる前にこの温泉は破壊しておくべき、そう考えるのが妥当……


 そこまで考えたところで野営スポットに到着、セラとマリエルの荷物をカサゴソと漁り、ニヤニヤしながらパンツを取り出して頭に被る。


 ついでに他のプライベートなアイテムも確認しておこう、着替えを取りに来てやっているのだ、このぐらいの行為は女神も許してくれるはず、役得という奴だな。



「あーっ、ちょっとあんた何やってんのよ、それセラちゃんとマリエルちゃんのパンツ!」


「……お、おうマーサか、いやな、2人から忘れた着替えを取ってくるよう申し付けられてしまったんだが、残念ながら荷物が多すぎて持てなくなったんだ、そこでパンツを頭に被ることによって、少ない労力でより多くの運搬量を確保したというわけだ、ほら、良く居るだろ、頭の上に水瓶を乗せて運搬している方々、あの効率性から着想を得たんだ」


「あら、そういうことだったのね、てっきり変態だからそんなことしているんだと思ったわ、ごめんごめん」


「ふんっ、何でもかんでも疑ってかかるのは良くないぞ、ところでマーサ、ちょっと服を持つのを手伝え、そうすればパンツなど被らずともセラとマリエルの所へ行けるんだ」


「わかった、疑ったお詫びとして協力してあげるっ」



 この姿を目撃したのがアホのマーサで助かった、ミラやジェシカなら問答無用、確実に斬り捨てられていたはずだし、ユリナやサリナに見られれば侮蔑の眼差しを、そして精霊様に見られれば生涯に渡ってこのネタで脅迫され、多額の金銭を要求され続けたに違いない。


 すぐには安心出来ないこの状況を脱するため、適当な理由を付けてパンツを頭からOFFする。

 他には誰も見ていない、これでもう大丈夫だ、今後こういうことがあったとしても、パンツは被るのではなく握り締めるだけで満足することに決めた。


 というわけで大半の荷物をマーサに持たせ、俺はセラのパンツを右手に、マリエルのパンツを左手に、再び沸き立つ回復の泉、超効能温泉の原泉掛け流したる野外露天風呂へと戻る……



「ちょっと遅かったじゃない……って、どうして勇者様はパンツだけ握り締めているわけ?」


「これは一番重要な品だからな、運んで来る途中でうっかり、荷物の中からハラリと落ちるなんてことがあるかも知れない、いやそうなる可能性が非常に高いだろ? だからそういう悲劇的な結末を未然に防止するため、俺がわざわざ、地肌でその質感を確認しながら、大切に大切にここまで運んで来たのだ、結果としてパンツはここにある、暗い夜の森で失われることはなかったのだ、それに対して感謝すべきだと思わないか?」


「なるほど、それは一理あるわね……有らぬ疑いを掛けてしまって申し訳ないわ」

「私もてっきり勇者様がふざけてパンツを握り締めていたのかと思いました」


「ふんっ、わかればよろしい、以後気を付けるように」


『へへーっ! 畏れ入りましたっ!』



 アホばかりで非常に助かっております、もう1人温泉に浸かっているカレンにも、俺の中にある真の考えが見抜けている様子はない、というかここで納得してしまうのは少し、いやかなりヤバいと思うのだが……



「まぁ良いや、ほら、カレンもゆでだこになる前にサッサと上がって服を着ろ、で、この温泉をどう始末すべきかなんだが……」


「あ、そういえばそうだったわね、破壊しちゃう? それとも上手く隠したりする?」


「う~む、隠してもそのうちに誰かが見つけてしまだろうし、それこそアレだ、その人物が『第一発見者』となって大変なことになるぞ、きっと大儲けされてしまう」


「じゃあ一旦埋めて、砦に着いたらそこでこのことを知らせるとか? 王国軍のちゃんとした管理下に置かれれば『第一発見者』が出てくることもなくなるし、盗んで行って商売しようなんて輩が出てくることも防げるはずよ」


「そうだな、じゃあ今日のところはもう良いにして、カレーを食して酒を飲んで寝よう、明日出発の前にこの温泉の隠蔽工作だ、明るい時間に余裕を持ってキッチリやるぞっ!」


『うぇ~いっ!』



 とりあえずの方針は決まり、セラとマリエルも服を着ることが出来た、しかもパンツが最初から温かくて非常に心地が良いと大層喜んでおられた、次から親方様のパンツを懐で温めよう。


 そのまま温泉を離れ、スパイスの香り漂うカレー会場に戻った俺達は、アッツアツのカレーを息を吹きかけて冷ましながら口へ運んだ。


 体の外から温泉で、中からはカレーのスパイス効果で、ダブルの保温が俺達を包み込み、その夜は馬車の中での雑魚寝だというのに、この上なく快眠することが出来たのであった……



 ※※※



「……やれやれ良く寝たな、うむ、良い朝だ」


「勇者様、もう結構な時間帯よ、まだ布団に居るのは勇者様とルビアちゃん、あとマーサちゃんと精霊様ね」


「そうか、つまりその3人には勝利したということだな、俺は有能だ」


「馬鹿なこと言ってないでせまてマーサちゃんを起こしなさいっ!」



 セラに布団を剥ぎ取られ、仕方なく冷たい空気に身を晒す、横で気持ち良さそうに寝ているルビアは……そもそもどんな作業でも役に立たないゆえ放っておこう。


 使えるのはマーサと精霊様、だが無理矢理起こされた際の精霊様はこの世を消し去るレベルで不機嫌なものだ、ここはセラの指示通りマーサだけ起こすべきだな。


 いや、別に指示されていないことが出来ないのではなく、キッチリ自分で考えた結果としてこの結論に至ったのだ。


 マーサの頭をわしゃわしゃして無理矢理に起こし、俺がセラにされたのと同じように布団を剥ぎ取る。

 どうにかこうにか馬車から引っ張り出し、既に外で待機していた『温泉隠蔽部隊』に加わった。


 行くのは俺とセラ、マーサ、ジェシカと……そのトレンチコートの中に潜り込んでいるリリィだ。

 全部で5人、これだけ居れば小さい露天風呂程度の温泉など簡単に隠してしまうことが出来るはず。


 サッサと済ませて出発しようということで、すぐに歩いて温泉へ移動……と、その温泉の方から獣のような声が聞こえるのは気のせいか?



「ねぇ、誰か居るんだけど、昨日の温泉があった辺りよ……」


「魔物か野獣か、はたまた誰も見たことのない未知の生物がそこにっ!」


「じゃなくて人間だと思う、何か叫んでるのか喋ってるのかわかんないけど、とにかく『声』みたいなのを出しているわ……あ、喜んでるみたい」


「まさかの人間かよ……」



 獣だと思いきや人間、騒ぎ振りから考えて獣程度の知能しか有さない馬鹿なのではあろうが、とにかくこの流れは、昨夜のうちにその獣以下の馬鹿によって温泉が発見されてしまったということだ。


 近付いてみると踊り狂う5匹のモヒカン原住民……いや、盗賊や山賊の類なのであろう。

 薄汚い腰みのとひん曲がった棒の先端に打製石器が装着されただけの槍を装備し、温泉発見についての喜びを全身で表現している……



「ヒャッハーッ! これでお頭も大喜びだぜっ!」

「どうする? 入る? 入っちゃう?」

「いや待て待て、俺達みてぇな臭っせぇのが先に入っちゃ、お頭が入るときには湯も臭っせぇになっちまう」

「そうだそうだっ! え~っと、何の話だったか……」

「あ、そういえば俺達温泉を見つけたんだったっ!」


『ヒャッハーッ! 最高だぜっ!』



 遠くの茂みに隠れ、しばらくモヒカン山賊共の様子を眺める……どうやら頭が悪すぎて、『温泉を発見したという事実』に関する記憶が全員の頭から即座に消去され、また温泉そのものを見てそれを思い出すということを繰り返しているようだ、無限ループというやつか……



「どうする主殿、アレなら放っておいても害はなさそうだが」


「というか無事に家だかアジトだかまで帰り着くとは思えない馬鹿さ加減だな、どうやってここまで来たんだろう?」


「……確かに、まぁ放浪していたらたまたまここへ辿り着いたということなのであろう、夜までああやって馬鹿騒ぎをして、そのうちに魔物や野獣に発見されて餌食になるはずだ」


「しかし奴等を退かさないと温泉の隠蔽が出来ないぞ、それにあの騒ぎに気付いて近くを通った木こりなんかが来てしまうかもだ、ここはやっぱり始末しておこう」


「わかった、では誰が殺るかじゃんけんで、負けたら1人で全てを片付ける、それで良いな?」



 ジェシカの案は採用され、ほぼ同時にじゃんけんを実施、そして一瞬の後、チョキを出した俺だけが敗北していることが発覚したのであった。


 まぁ負けてしまったものは仕方がない、俺は1人で茂みから出て、大騒ぎを繰り返すモヒカン山賊共の所へ歩み寄る……というか、もう10m手前まで来ているのに気が付かないとは、とりあえず声を掛けてみよう……



「おいお前等! そこのお前等だよこのモヒカンウ○コ野郎共! ようやく気付いたかっ! じゃあ殺してやるから1列に並べっ!」


「ん? あ? 何だお前は?」

「いつの間に……どこから……あっ、こんな所に温泉があるぞっ!」

「本当だっ! これでお頭も大喜びだぜっ!」

「いや~、俺達はツイて……ん? 誰だお前はっ!?」

「てかお頭ってどういうのだっけ?」


「どれほどまでに知能が低いというのだ……とりあえず死ねっ!」


『ぎょべぇぇぇっ! しっ、死んだっ……』


「やべ、薄汚い亡骸が温泉に……」



 超低スペックモヒカン軍団を聖棒で薙ぎ払うと、5匹がまとめて引き千切れ、グッチャグチャの肉片となって宙を舞い……そのまま温泉にドボンしてしまったではないか。


 原泉掛け流しとはいえ異物は良くない、これは隠蔽工作の前に俺が1人で掃除をさせられるパターンだ。

 そう思って絶望した矢先、さらに絶望的な事象が俺の視界一杯に広がった。


 温泉に落ちたモヒカン共の肉片がウネウネと動き、さらに合体を始めたのである。

 肉塊は互いにぶつかり合って融合し、湯に溶けた血を吸い上げ、次第にひとつになっていく。


 茂みで待機していた仲間達も黙って見てはいられずに飛び出してきた。

 異常事態、モヒカン5匹の肉片は、まるで水を吸ってブヨブヨになった死体のような質感を持つ人のような姿に変わり、その巨大な体で起き上がる。


 ちなみに、そのような姿になってもモヒカンだけは健在のようだ、5匹分のモヒカンを全て集めたモヒカンは、まさにモヒカンの中のモヒカン、その長さは誰よりも、そしてモヒカンとしての形状維持力はそのモヒカンよりもモヒカン然とした究極のモヒカン、いわばモヒカンキングだ。


 ……と、モヒカンについての解説はどうでも良いとして、問題はどうしてこのような事態に、このキモい、そして巨大なモヒカンのバケモノと対峙することになってしまったのかということである。


 5匹の馬鹿は確かに殺した、そしてその肉片が偶然にして温泉の中に……それが原因に違いない……



「何よこれ気持ち悪いっ! 『復活の泉』って言っていたのはこういうことだったのね」


「ああ、傷を癒す効果だと思い込んでいたが、まさか死にたてホヤホヤの肉片をこんなバケモノに仕立て上げるモノだったなんてな」


「主殿、とにかく今はこのバケモノを始末しよう、今度は湯の中に落とさないようにな」


「おう、ちなみにこの温泉、相当危険だからより厳重に封印しておいた方が良いぞ、単なる隠蔽じゃなくて……」



 ラッキーなことにバケモノは見掛け倒し、まぁベースとなったのが極めてスペックの低いモヒカンであったのが不幸中の幸いであったということだ。


 すぐに切り刻んで始末し、リリィとマーサに深い穴を掘らせてその中へ埋めてしまう。

 これで復活してくることはないはずだ、そもそもが死体なのだから、それが復活して動いていた時点で問題ではあるが……



「よし、とにかく木だの岩だの、あと土だので埋めてしまおう、セラ、この場所はキッチリ地図にマークしてあるよな?」


「ええ、砦に行ったら何よりもまずこのことを伝えなくちゃ」


「だな、ミヤツコのジジィがいつこの温泉を開設したのかはわからんが、放っておいて誰かが見つける前に処理出来て良かったぜ」



 見た目的には美しい、そして森の中で良い雰囲気を醸し出す温泉であり、少しもったいないような気がしなくもないが、危険であることには変わりない。


 温泉は土や砂利、石などで完全に埋めてしまい、その上から木の枝などを掛けてしっかり隠蔽しておく。

 これで発見はされ辛くなるはずだ、あのモヒカン共のような連中が来ないとも限らないが、そのときはスルーし手くれることを祈ろう。


 作業を終えて馬車のところへ戻ると、既に出発の準備は整い、あとは俺達が乗り込むのみであった。

 とりあえず砦へ向けて出発だ、少し遅くなってしまったものの、夕方より前には到着するはず。


 遅めの昼食はカレーを出して貰えると大変にあり難いのだが……



 ※※※



「到着しましたよ~っ、かいも~んっ……あれ?」


「はっはっは、ルビア如きが言っても開けて貰えないようだな、どれ、ここは俺様が……」


『誰だ貴様はっ! おいっ、馬車の中に乗っている連中も全員降りて来いっ!』


「……どうやら勇者パーティー様だと認識されていないらしいな」



 砦に到着し、門の前で馬車を一時停止、なぜか見張りが居ないのだが、大声で騒いでいるとどこからとも鳴く謎の声。

 門番は近くの茂みで立ちションっをしていたらしい、しかも3人で連れション、1人ぐらいは残しておくべきだと思うのだが?


 で、近付いてきた門番の3人、ヨレヨレのシャツに汚い鎧、髪も髭もボッサボサの、とても栄誉ある王国兵とは思えないスタイル、しかも臭くて態度がデカいときた。


 それが異世界勇者たるこの俺様や、仮にも王国の第一王女様であらせられるマリエルに対して『馬車から降りて来い』だと?

 これは冗談では済まない、この3人、いや3匹のモブ兵士は今日中にその臭い体とフケだらけの汚い頭が分離することであろう。



「おい貴様等、ここをどこだと思っているんだ? なんと世界最強と謳われる王国の兵士が詰めている砦だ、貴様等のようなショボい旅人が来て良い場所じゃねぇんだよっ!」

「ヒャッハーッ! でも隊長、この馬車女ばっかりですぜっ! 『検問手数料』として2人か3人置いて行くように命じましょうやっ!」

「本当だ、後ろに連れている女共もガキばっかりだがなかなかじゃねぇか」

「そうっすね、俺、こっちのスタイル抜群な……って王女殿下じゃないっすかぁぁぁっ!」


「……そこの者、あなたはうるさいので少し黙りなさい、あと全員死刑に処します」


『どっ、どうかお許しをぉぉぉっ!』


「ダメです、死にたくなかったらここの指揮官……は薄汚いブタでしたね、事務官の女性を呼んで来なさい、もちろんそれでもあなた方には死んで頂きますが」


『ひぃぃぃっ! そこを何とかっ!』


「おいマリエル、もう面倒だから放っておいて先へ行こうぜ、今カレンが中へ入って……ほら、門が開いたぞ」


「最初からこうしていれば良かったですね、まぁこんなことが出来る時点でセキュリティ的にアレですが……」



 前回来たときにも似たような感じではなかったか? そう重いつつ、塀を飛び越えて内側から閂を抜き去ったカレンによってオープンされた門を潜る。


 3匹のゴミ兵士の顔は完全に覚えた、特徴はどれも薄汚く、知性が微塵も感じられないという点だ。

 しかしこの砦は本当に士気が低くて困るな、どうせ前回同様……いや、これはもっと酷い状態ではないか。


 明らかに補給が行き届いていない、その辺の雑草をせっせと摘んで篭に入れる兵士。

 砦の中は異常に汚く、ゴミが散乱している状況、もはや士気どころか秩序すら失われている。


 これはどうしてこうなったのだ? まぁ、とりあえずこの間の女性事務官に会って話を聞こう……

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