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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第三章 交換の後に
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531 わかったかも

「そっち! こんどは向こうですっ!」


「何だよちょこまかと、しかも全然見えねぇし」


「しかし本当にあんなのが居たのね、リアル未知の生物だわ、あ、今ちょっと見えたわ、見た目は普通の老人なのに、とんでもないスピードじゃないの……」


「だから言っただろう精霊様、月から来た謎のバケモノは実在したんだ」



 再び『嫁』を誘拐するために、やって来たミヤツコ、それと俺達、主にその姿を常に目で捉えることが出来ているカレンとマーサが繰り広げる超高速の攻防戦。


 ロリー隊およびその予備役、つまり美少女軍団を守備する俺や、隣に居る比較的素早さの高いミラでさえも、カレンとマーサが指示する方に向き直るだけで精一杯、戦いにはまるで付いて行けず、ただただ『壁』としての役割を果たしているのみ。


 だが武器を構えた俺達の目の前に、時折タッと、地面に何かがぶつかったような衝撃が発生している。

 本当に一瞬だ、暗いこともあって目の前でなければ見逃してしまうほどの現象。


 おそらくはミヤツコのジジィがその場に現れたのであろう、本当に早すぎて見えないのだが、その現象によって徐々に間合を詰められ、守るべき美少女達への接近を許してしまっているということだけは把握出来ている。


 このままでは拙い、カレンにしろマーサにしろ限界があるのだし、何か対策を練らなくては……



「そうだ、リリィちょっと良いか? ユリナもこっちへ来てくれ、俺達の周りを炎で囲んでしまうんだっ!」


「ご主人様、そんなことをしたら森が大火事になりますわよ」


「背に腹は変えられない、それに火事なんぞもう俺達が恐れるようなモノじゃないはずだ、精霊様が消火すれば良いわけだしな、ということで構わずやってくれ」


『はーいっ!』

「わかりましたの、でも後でやりすぎだとか言って怒らないで欲しいですわ」


「それはやり過ぎなきゃ良いだけの話なんだが……」



 リリィのブレスとユリナの火魔法で、俺を含む護衛チームと美少女軍団の周りを囲む。

 美少女達は突然の炎にパニックを起こしかけたものの、それをどうにか押さえて護衛を続ける。


 地面を注意深く見る……うむ、ジジィのステップと思しき現象は少し遠のいたようだ。

 このままの距離をキープ出来れば、そのうちに諦めて帰っていくはず。


 だがもちろんその後も脅威は続く、今回に関してはわざわざ移動したにも拘らず、すぐに俺達の居場所を見つけ出して襲撃を仕掛けてきたのだ。


 これはおそらく砦へ、本来の目的地へ逃げ込んだ後であっても同様。

 ヘタをすると砦の王国兵を皆殺しにされかねない、大変に危険な状況だ。



「それで勇者様、私達はここで守っているだけしか出来ないのっ?」


「今はな、今はまだ夜中だ、さっきの雑魚が言っていたように、もしかすると朝とか昼がチャンスなのかも知れない、だから今は耐えて、日が出るのを待って逆襲を仕掛けようと思う」


「わかったわ、終わりがあると思うとちょっとやる気が出て来た」


「うむ、確証は持てないがやってみる価値はありそうだろ、とにかく朝まで、いやジジィが諦めて帰るまでは我慢だっ!」



 冬の寒い夜に炎はちょうど良い、そしてその明かりに照らされ、カレンとマーサに続いて、精霊様も敵の姿を捉えることが出来るようになったらしい。

 精霊様は飛び道具が使える、連射される水の弾丸を嫌気したのか、ジジィのステップは徐々に遠く離れていく……



『ふんっ、全く厄介な攻撃を仕掛けてくる奴じゃっ! 今夜のところは疲れたし、また明日の夜にここへ来るでの、わしの嫁にしっかり食事をやって待っておるのじゃ、また場所を動いたら承知せんぞっ!』


「黙れボケジジィがっ! さっさと往生せいやこのゴミ野朗!」


『何とでも言うが良い、どうせ見えておらんのじゃろうがの、フォッフォッフォッ! では今日のところはサラバじゃっ!』



 そう聞こえると同時にジジィの気配が消えた、どうやら本当に立ち去ったようだ。

 ほぼ火事になりかけた炎の壁をを精霊様が消火し、美少女も、そして仲間も全員揃っていることを確認して小休止とする。



「やっぱりアイツ、明日も『夜』になってから来るみたいなこと言ったわね」


「ああ、聞こえていたぞ、昨夜美少女を誘拐したのも夜、今日も夜、そして明日も夜だ、で、昼間に行ったときには負傷だか何だかで居なかったと」


「その直前に中級魔族如きに負傷させられているっていうなら、その『昼間弱い説』にも信憑性が出てくるわね」


「そういうことだ、とにかく今夜は切り抜けたんだし、朝を待ってもう一度攻め込んでやろうぜっ!」


『うぇ~い!』



 ということでその後も警戒を怠らないよう順番で監視を続けつつ、夜が空けて朝がやってくるのを待った。

 空が白み始めた頃、俺とカレン、マーサ、マリエル、精霊様の5人で出発の準備をする。


 他のメンバーは見張りをしている、ないしルビアのようにグダグダと寝ていて起きてこない、あとはリリィのように寒くて動くことが出来ないなど、作戦に参加出来る状況にはない。


 ということで今回は5人での出立だ、竹林の場所は記憶しているし、地図にもマークしてある。

 あとは弱体化したジジィがそこに居るかどうかだが、出来れば寝ているなどして欲しいところだ……



 ※※※



「よし、竹の掘っ立て小屋が見えたぞ、ここからは音を立てないようゆっくり進むんだ、と、どうしてマーサ、急に止まったりなんかして」


「え、でもちょっと待って、あの死体、昨日の魔族とは違うわよ、ほら、何だか色が……」


「放置されて腐ったんじゃないのか?」


「いえ、玄関の前に死体を放っておくと思う? 私にも違うように見えるし、あの死体はまた別の魔族よ」


「てことはアレか、最初に来た魔族が殺されて、夜にそれを探しに来た2匹を俺達が殺して、その後2匹を探しに来た魔族がそこで死んでいる、そういうことか?」



 玄関の前に落ちている魔族らしき死体、かなり距離もあるせいか俺には良く見えないのだが、マーサと精霊様が口々にその『おかしい点』について主張する。


 なるほど、言われていれば玄関を塞ぐようにして倒れた魔族の死体はかなり大きい。

 もちろん放置された死体にガスが溜まって……いや、この真冬に短時間でそこまでなるとは思えないな。


 そもそも死体があるのは俺達から見て風上、この状況で死体が『腐った死体』であれば、その臭気を浴びてカレン辺りがひっくり返っているはず。


 俺の前に立ち、積まれた竹の影からちょこんと顔を出して竹の掘っ立て小屋を見ているカレンが、ついでに最初に指摘をしたマーサも、2人が特に何も反応していない以上はあの死体は腐っていない、即ち新鮮なものであると考えて良さそうだ。



「とりあえず行ってみませんか? もしかしたらまた魔族と激戦を繰り広げて、負傷した状態で中に居るかも知れませんよ」


「そうだな、それこそ仕留める大チャンスだからな、じゃあチャチャッと行って始末しようか」



 伐採された竹が積みあがっただけの遮蔽物から出て、掘っ立て小屋の方を目指す。

 近付くにつれ、落ちている魔族の死体の異常性が明らかになってきた……1匹ではない、3匹分の死体が、まるで融合したかのように重なって倒れているのだ。


 おそらくは途轍もない圧で縦に並んだ体同士がへばりついてしまったのであろう。

 これをやってのけた攻撃は恐るべきエネルギー量だ、だが最強状態のミヤツコからしたらどうということはない通常攻撃であったに違いない。


 もし仮説が正しければ、この魔族3匹はまだ暗いうち、朝日が昇る前にやって来て、ここで瞬殺されたということになる。

 だがそうでなかったとしたらどうか? もしこの魔族共がつい先程、つまり明るくなってから現れたにも拘らず、その場であっという間に屠られたのだとしたら?


 その場合は事情が変わる、敵の強弱が時間帯ではなく、また別の要因によって生じているということになるのだ。

 もしそうであれば当然対策は変わるし、この場で戦うのは得策ではない、ここはどうするべきだ、行くか、引き返すか……



「まだ中に居るわね、足音が聞こえるわよ」

「えっと……1人だけです、あのおじいさんの足音ですね」


「そうか、つまり今日は負傷してないってことだな、敵意は感じないからかなりリラックスした状態なんだろうよ」


「それならすぐに行ってみるべきね、万が一弱体化してなかったとしても虚を突けるはずだわ、一気に攻撃するの、でもすぐに離脱出来るよう注意しつつよ」


「おう、じゃあそのノリでいこうか、突撃だっ!」


『うぇ~いっ!』



 一気に駆け出し、俺が魔族の死体を飛び越えるようにして扉を蹴破る。

 中に居たのはやはりミヤツコのジジィ、白と水色のストライプが入ったパジャマに着替え、寝る前のハーブティーを嗜んでいた。


 だが俺達の襲撃には、扉が砕け散る一瞬手前で気付いたのであろう、尖った竹の破片を避け、ついでにマグカップの中に埃や何やらが入らないよう、手でサッと覆って蓋をする余裕ぶり。


 もちろん表情は驚いているのだが、その行動は冷静そのものだ、そして、マグカップを手に持ったままパッと飛び上がり、竹で出来た天井に足を掛けるようにしてぶら下がることによって俺達との距離を取ったのであった……



「貴様等! わしが寝ようとしている最中に何たる無礼……いや、もしかして諦めたのか? わしの嫁を返しに来たのか? して嫁はどこじゃ?」


「早とちりしてんじゃねぇよ、あの子はお前の嫁なんかじゃなくて誘拐事件の被害者だ、お前はアレだ、もうエッチなプリントが入った抱き枕でも抱えて我慢しとけやこのキモジジィが」


「そうですよ、ここはあなたのような気持ち悪い老人の居るべき場所ではありません、早くこの世から退去して死んで下さい」


「ふんっ、わしはプリントなどといった二次元嫁には興味がないのじゃ、欲するはリアル嫁、月に連れ帰って皆に自慢するのじゃっ!」



 せっかく和解出来そうな案を提示してやったというのに、それを突っぱね、あくまでも美少女を誘拐し、月に連れ帰ることを主張するクソジジィ、もう殺すしかない。


 だが現状でこのジジィが本当に弱体化しているのか、それとも今日は強いままなのか、特殊な対象ゆえそれを見た目で判断したり、諸々の能力で看破したりということはまるで出来ない。


 と、そこでカレンが前に出る、昨夜ようやくにしてこのジジィと対峙することが出来、久方ぶりの強敵に興奮していたようだが、ここにきて戦うチャンスに恵まれ、鼻息を荒くしている……



「ご主人様、ここは私に任せて下さい、やっつけてやりますっ!」


「そうか、だがカレン、気を付けて戦うんだぞ、もしかしたら弱体化していないかもだからな」


「わかりました、てぇぇぇぃっ!」


「なんのっ! そんなチビなどってぐはぁぁぁっ!」


「……めっちゃ弱いです、でもその辺の中級魔族さんよりはさすがに強いです」



 カレンがとりあえずで放った軽い攻撃、もちろん回避されることを前提として次を用意していたはずなのだが、それがモロにヒット、ジジィは胸から腹にかけて切り裂かれ、血を流して床に落ちた。



「ぐぅぅぅっ、クソがっ! どうしてこの地上の人間というのは昼になるとこんなに強化されるのだ、あの羽の生えた馬鹿共然り、夜になればあんなにも弱いというのに……」


「いや、たぶんそうじゃないと思うんだが……とにかく今がチャンスだっ! 一斉攻撃で畳んじまえっ!」


『うぉぉぉっ!』


「ぎゃぁぁぁっ! こ、ここはひとまず撤退じゃっ!」



 ジジィがそう叫んだ瞬間、無数の尖った竹、つまり竹槍が床を突き破って生えてきた。

 それに俺達が怯んだと同時に、ジャンプしたジジィは破壊され尽くした出入り口へ、そのまま扉があった枠を潜る……消えやがったではないか……



「おいおい、どこ行きやがったんだ?」


「音も聞こえないわ、てか何かが居るのはわかるんだけど、竹が風で擦れる音に紛れちゃって……」


「完全に竹林と同化しているわね、これじゃどれだけ弱くても見つけようがないわ」



 以上に弱体化していたジジィであったが、『竹を操る能力』というのは低下していなかった様子。

 竹林の中に逃げ込まれては捜しようがない、極端に低下していた素早さからしてまだ近くに居るはずだが、それでも発見は困難なはずだ。


 ここで捜索を続けるのは無駄か、となれば一旦帰還し、また油断した頃を見計らって、今度はあの狭い掘っ立て小屋から逃げ出されぬよう慎重に、しかもごく短時間で殺害する方法を取るしかない。



「あ~、逃げられちゃった、ごめんなさいです」


「良いよ、カレンのせいじゃないからな、そもそも注意深く戦うように忠告したのはこっちだから」


「わう~っ、でも倒したかった……まぁ、また戦って、そのときに倒せば良いか」


「うむ、ということで一旦帰ろう……とその前にお土産を持って行かないとだ、あのジジィだって少しぐらい金を持っていたに違いない、家捜しして頂いてしまおうぜ」



 もう一度掘っ立て小屋の中へと戻り、竹で出来たクローゼット、竹で出来た戸棚、竹で出来たベッドの下には……エッチな本が大量に詰まっていた、もちろん竹のブックカバーが掛けてある。


 結局出て来たのは銅貨と鉄貨が数枚程度、それからよくわからない言語で記された小さな紙切れが1枚、あとは竹林の周辺マップらしきものがあったのでゲットしておく。


 落ちていた魔族の死体からも財布は発見されなかったし、たいした利益にはならなかったのであった……もう帰ろう……



 ※※※



「……じゃあ弱くなっていたのは事実ってことなのね?」


「ああ、だがあのジジィは何を勘違いしたか知らんが、自分が弱くなったんじゃなくて俺達、というかこの地上の人族や魔族が強くなっていると思っていたようだがな」


「でもご主人様、やっぱりあのスピードだと中級魔族さんに苦戦したなんてことはないと思うんですけど……」


「む、実際に拳を交えたカレンがそう言うならそうかもだな、もしかするともっと日が高くならないと際弱化しないのかも」


「まぁ、詳細は良くわかんないけど昼間になると弱い説は真であることが確定ね、今日中にもう一度襲撃を仕掛けて、そこでブチ殺してあげましょ」


「うむ、もとよりそのつもりだが、まずはあのジジィがどこへ逃げたのかだ……」



 ということでゲットした周辺マップを広げてみる、と同時に隙間から、同じくゲットしてあった謎の紙切れがハラリと落ちる、それを拾ったサリナの目玉が飛び出した……



「ご主人様! これ魔王軍の小切手ですよっ! しかも金貨100枚の……」


「金貨100枚だとっ!? てことはあのクソジジィ、そんな高額報酬を得て魔王城の保守管理なんて仕事を請けやがったんだな」


「あ、でも先日付になってますね、え~っと、だいたい3ヵ月後です」


「3ヵ月後? つまり奴はそれを銀行? ってあるのか知らんが、とにかく金融機関に持ち込むつもりがないってことだよな?」


「ええ、この金貨100枚を捨ててでもあの子を月に連れて帰るつもりだったと」


「とんでもなくガチだな、少なくともふざけてやるような行為じゃないし、こりゃあの美少女が俺達の手元にある限り、或いは奴の息の根を止めない限り、しつこく付き纏って攻撃してくるぞ」



 発覚したミヤツコのジジィのガチさ加減、3ヵ月後に金貨100枚を受け取ることが出来るのであれば、それはもうそこまで待つのが通常である。


 だがそれをせず、ただどういうわけかすぐにではなく1ヵ月後に月へ帰るということは、それだけ急いで帰りたい、金貨100枚の収入などどうでも良いということ。


 しかしなぜ1ヵ月後なのだ……と、広げた周辺マップの裏に何か書き込みがあるではないか……



「何だこれ? 月の……満ち欠けをしめしているのか?」


「そうみたいね、そういえば3日前ぐらいが満月だったから……あ、つまりコレよっ!」


「うむ、あの老人は満月の夜にしか月へ帰れない、だから1ヶ月待つ必要があるということになるな」



 精霊様とジェシカが相次いで気付く、なるほどといった感じだ、ミヤツコのジジィ曰く、一昨日の段階ですぐに帰るのはもう無理、そして1ヵ月後だとのことであった。


 となると狙うのは当然満月の夜、そのタイミングでないと何らかの理由で月へ繋がる道が開かない、そう考えて良いはず、つまり『帰ることが出来る何らかのタイミング』とは転移装置の魔力充填がどうのこうのではなく満月のこと、そうに違いない。


 しかしそうなるとギリギリのタイミングであった、もし俺達が一昨日の野営スポットへ辿り着くのが1日早かったらどうか? ジジィは美少女を連れてすぐに月へ戻ろうとしたはずだ。


 トンビーオ村への滞在を1日伸ばしておいて良かった、やはりバーベキューは正義だな……と、俺がそんなことを考えている間に、賢いジェシカがハッとした表情を見せる、何かに気付いたということだな……



「なぁマーサ殿、昨夜あの老人が攻めて来た際、一昨日遭遇したときと比べてスピードが落ちていた、そう言っていたな?」


「うん、間違いなく遅くなってたわよ、一昨日戦ったときには目が追いつかなかったもの」


「となると同じ夜でも1日でそれだけの変化、もちろん場所が竹林ではないということも考慮しなくてはならないが……これはもしかするともしかするかもだぞ」


「ええ、そうですわね、私もジェシカの意見に賛成ですの」


「お~い、狼とかドラゴンとか、あと異世界チンパンジーとかにもわかるように説明してくれ~っ」



 知能の高いジェシカの提案に、ユリナやサリナ、精霊様はそれを肯定、あとミラや後ろで半分寝ていたアイリスも何となくわかったような顔をしていた。


 そこからはそれ以外、頭の回転が低速であるメンバー向けの説明がなされる。

 ジェシカ曰く、ミヤツコのジジィは夜というだけでなく、月の満ち欠けによっても強さが変化する可能性があるのだという。


 満月では最も強く、新月では弱い、その予想を確かめるのには最低でもあと2週間近く必要なのだが、本当かどうか判断するのは簡単だ。


 今夜、今から捜索するのではなく夜まで待って、そしてこちらから攻めるのではなく、美少女を攫いに来るのを待ち受けて、その際の強さで説の真否を見極めようということに決まった。


 ということで夜を待つ、次こそミヤツコを滅ぼすために、そして今後またあるかも知れない『月キャラ』との戦いに備えるべく、その強弱の秘密を探るために……

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