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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第二章 資金源
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515 まさかの遭遇

「わうぅぅぅっ! 肉汁迸る超ジューシーお肉ぅぅぅっ!」


「いでぇぇぇっ! おいカレン! カレン起きろっ! 寝惚けて人の腕を喰うんじゃないよっ!」


「……ハッ、やけに変な食感だと思ったら硬くて不味いお肉でした」


「いや、一体お前は人様の腕を何だと認識しているんだ……とにかくそこに正座!」


「わうっ! ごめんなさいでしたっ!」



 カレンに噛まれ、俺の二の腕は大変な事態に陥ってしまった、この世界に来る前であれば即119番、直ちにオペを開始しないと命に関わるとかそういう次元の重傷である。


 だが今は隣のベッドで寝ているルビアを叩き起こせばどうにかなる世界。

 肉汁、ではなく鮮血が迸る腕を押さえつつ、布団と毛布を剥がして全裸の変態女を発掘した。



「オラッ、起きろルビア! 朝だし、誰かのせいで俺の腕が大変なことになっているんだぞっ!」


「あう~、もうちょっと、あと1週間だけ……」


「どれだけ寝るつもりだっ! 1週間も寝続けたらもう人じゃねぇだろ、起きろっ!」



 しばらくの間ビシバシと叩き続け、ようやく目を覚ましたルビアに腕の治療をさせる。

 カレンには朝食が運ばれて来るまでそのまま正座を続けるよう命じ、ルビアと2人で部屋備え付けの風呂へ向かう。


 やはり寒い冬の朝は風呂に限る、怪我も魔法で治ったし、あっという間に湯を沸かし直すご都合超便利アイテム(魔導)も備品として部屋にあるし、全くこの世界には科学というものが必要ないな。


 ゆっくり風呂に浸かっていると扉の開く音、誰かが部屋に来たようだ、朝食ルームサービスにしては早いような気もするが……あの足音はセラか……



『おはよ~っ、あれ? お風呂かしら……で、どうしてカレンちゃんだけ正座しているわけ?』


『理不尽に叱られました、何も悪いことしてないのに』


『あらかわいそうね、それで勇者様はお風呂? そろそろ朝食の時間なんだけど』


『お腹空きました~』



 どうやらカレンの話を鵜呑みにしている様子のセラ、だが今回に関しては間違いなくカレンが悪い、それを説明したところでわかって頂けるかどうかは不明であるが。


 しかし朝食の時間なら自分の部屋に居た方が良いのではないか? ルームサービスの係員が来たときにミラだけだと、間違えて1人分の食事しかおいていかないかも知れないのに。


 と、セラはこちらに来るようだ、朝っぱらから風呂を覗きに参上とはたいした変態女だ……



「お~い勇者様~っ、あ、おはよ、そろそろ朝食サービスが始まるわよ」


「うむおはよう、で、朝食サービスなら部屋に来るだろ?」


「あのね、ここはそんなに高級でもないし、王宮の威光もイマイチ届かない地域だから私達に対する特別扱いもないの、だから普通に下の食堂に行かなきゃならないのよ」


「ヤダよ、ぜってぇ寒いだろうが1階とかさ」


「文句言わないの、ほら、早く上がって行くわよ、夜のうちにマリエルちゃんの所に何か報告が来ていたみたいだし、それの話もあると思うわ」


「へいへい、しょうがねぇな、おいルビア、そういうことだから仕方なく行ってやるとしようぜ」


「え~っ、寒いのは本当に嫌いです、せっかくお風呂で温まったのに……」



 諦め悪くブツブツと文句を言い続けるルビアに服を着せ、カレンは先程セラに誤情報を流した分も合わせて両方の尻を思い切り抓って許してやり、先に行ってしまったセラを追うようにして3人で部屋を出て1階へと向かう。


 下の食堂はもうキンキンに冷え切った状態、自分で呼びに来ておいて一番帰りたいオーラを出すセラに、念のため部屋から持って来たブランケットを掛けてやる。


 皆続々と降りて来て、最後に眠そうな顔のマーサが腕をジェシカに、足をマリエルに持たれて運ばれて来たところで、ベストタイミングを見計らったが如く、宿のスタッフによって朝食も用意された。


 とりあえず朝食然としたパン系の朝食を頂きつつ、昨夜遅くに味方からの報告があったというマリエルが話し始めるのを待つ……



「マリエル殿、そろそろ例の件を話してはどうか?」


「そうですね、お腹も一杯になってきたことですし、深夜に報告を受けた件について話しておきましょう」


「マリエル、もちろんその報告は今回の件に関連して、かつ重要な話なんだよな?」


「ええ、一部どうでも良いものが含まれていますが、まず敵の動向です、どうやらロリ・コーン師の一派が動き始めたようでして、南の大陸の玄関口となる港、つまり旧共和国領の例の町の入口ですね、そこを目指している可能性が高いとのことです」


「ほう、どこへ行くつもりなのかな?」


「おそらくはまた別の場所に資金を移すつもりかと、馬車に大量の金銀財宝を積み込んだのが確認されたそうで、護衛の数もそれはもう、現地の駐留軍が全力で戦っても手も足も出ないのではないかと思われる程の兵力だそうで……」



 ちなみに護衛は傭兵のような連中だけでなく、どこかで拾って来た荒くれ者や犯罪者、それにある程度戦闘のこなせる中級、下級魔族も含まれているとのことだ。


 きっと金を湯水の如くジャブジャブと使って集めたに違いない、特に魔族は中級や下級でも王国軍の一般兵士よりも遥かに強い、それが大量に居るとなると、戦ったところでまず勝ち目はないはずである。


 しかしなぜ魔族があんなキモ野郎の言うことを聞いているのだ? 魔王軍から有償で派遣された借り物の護衛か? それとも奴を殺して見えている範囲の財貨を奪い去るのが馬鹿馬鹿しくなる程の報酬を約束されているのか?


 どちらかといえば可能性が高いのは前者だな、いくら高額な報酬を約束したところで魔族は魔族、報酬を受け取った後に他の護衛を全滅させ、あるものを全て奪って立ち去ることぐらい容易なはず。


 そういう結末を迎えるリスクを成金のゴミ野朗が負うとは思えない、きっと絶対に裏切らないという確証を持って魔族を仲間に加えているのだ。


 となるとその連中が滅多なことをしないよう監視している元締めが存在する、もちろんその元締めたりえるは魔王軍、その関与によって安全と、そして強力な護衛が約束されているに違いない。


 しかしそれだと中級や下級魔族ばかりというのが納得出来ない、もしかすると見えない位置に上級魔族が隠れているかも知れないな。


 もしそうなら何があっても、どれだけ数で上回る状況になったとしても、また地の利がモリモリな、圧倒的に有利なポジションに着くことが出来たとしても、絶対に王国軍の方から手を出すべきではない。


 直ちに敗北、敗走、しかし追跡されて皆殺しだ、まず間違いなく1人も生き残ることは出来ないであろう。



「じゃあマリエル、王国軍の連中には絶対に手を出さないよう言っておいてくれ、ヤバい敵だけをこっちで潰して、残りの手柄は全部くれてやるからともな」


「わかりました、まぁどこに強敵が潜んでいるかわかりませんからね、どんなに強いキャラであっても、お金で動くような心の貧しい性格の者が居ないとは限りませんし」


「おいコラ、それは俺達勇者パーティーを愚弄するに等しい発言だぞ、金は正義、たとえ金で動いたとしてもそれは心が貧しいのではない、心をより豊かにするための手段のひとつなのだ」


「凄い屁理屈ですが……とにかく軍の方々には大きく動かず、地味に監視だけ続けるよう要請しておきますね」


「うむ、では俺達もサッサと出発しようか、今日中にトンビーオ村に到着して、明日の朝には出航出来るように努めるぞっ!」


『うぇ~いっ!』



 朝食を終え、準備を済ませて宿をチェックアウトする、本日も目指すは南、トンビーオ村だ。

 このまま行けば夕方前には到着するはず、そして夕飯には海の幸を堪能することが出来るはず。


 急いでいるのは確かだが、それでも休むべきものは休み、鋭気を養うべく美味いものを食さねばならない。


 特に、栄養価が高い冬の獲れたて魚介類は格別で、もし10秒以内に行動を起こさない都人類が滅亡するという状況に追い込まれても、そのうち9秒を費やしてでも食べておく必要がある、そのぐらい重要な食品なのである……



 ※※※



「やれやれ、ようやく到着したぞ、こらそこの主殿、寝ていないで降りる準備をするんだ」

「疲れました~、早くお風呂~、あとお酒もあると最高ですから~」


「ん? あぁすまんすまん、じゃあ荷物を持ってコテージに、あとすまないがアイリスはメイとドレドを手伝ってやってくれ、2人共中に居るはずだからな」


「あ、は~い、わかりました~……どうも~、こんにちわ~」



 トンビーオ村、というか拠点としているコテージへの到着と同時に、アイリスを中へ派遣して俺達が来たことを管理している2人、メイとドレドに伝える。


 すぐに出て来た2人は大変に元気な様子、特にメイはこれから買い出しに行こうと思っていたところらしく、セラとミラが代わりに行くと申し出たところ大変喜んでいた。


 ドレドも船の手入れはバッチリとのことで、今すぐにでも出港することが可能だと言っている。

 だが今日はここに泊まると伝え、良く朝早くの出発で調整していくことに決めたのであった。



「さてと、セラとミラが帰る前にバーベキューの準備をしておくか、ユリナ、火を貸してくれ」


「はいですの、ついでに室内を暖めておきますわね」


「うむ、よろしく頼んだ……っと、着火完了だ、あとはカレン、リリィ、火の番を頼むぞ」


『は~い!』


「それと他のメンバーは荷物の運搬だ、明日船に積み込むものとそうでないものをキッチリ分けておくんだぞ」


『うぇ~い!』


「じゃあ俺はもう少し寝るから、バーベキューの準備が完了したら起こしてくれたまえ」


『おいコラッ!』



 やるべきことを全て人任せにし、コテージの中に引き篭もって横になる。

 既に疲れ切ったルビアとジェシカ、そして他の馬車をここまで運んで下さった有志のおっさん方がその辺に転がっていた。


 おっさん達は少し仮眠した後、荷馬車だけ持って帰るとのことだ。

 牢付き馬車はサキュバスごと置いて行き、帰りは交代で寝ながら走り、一直線に拠点村を目指すらしい。


 いずれここも転移装置で繋がなくては、俺達の馬車の中で居眠りをしたまま、1人で放置されているかわいそうなエリナを眺めつつ、そんなことを考える……と、メイが何か用がある様子でこちらに来た。



「あの、外の檻に入れられたサキュバスの方々はどうするんですか? 何だか南の四天王様に似ている……というかどう考えても本人が含まれているんですが……」


「ん? あぁそれは気のせいだよ、蜃気楼みたいなものさ」


『なわけないでしょっ! 出してっ、ここから出しなさいっ!』


「凄いだろう、最近の蜃気楼は喋るんだぜ」


「えぇ……」



 他のサキュバスと同じ扱いをしているアンジュ、ペロちゃんとナナシー同じだが、ここ数日まともに食事すら与えず、ギューギューパンパンの牢屋の中で寒さと空腹にあえいであるのだ。


 だがどれだけ偉かろうが、どれだけ強かろうが、そしてどれだけ今回の作戦での重要性が高かろうが、同じサキュバスである以上差別は良くない。


 アンジュには『船に積み込んだら全員少しだけ外に出してやる』と約束を交わし、ついでにコテージにあった余りものの野菜や干し肉を与えて黙らせる。


 しかしこのまま見える状態で放置するのは良くないな、他の魔族達が身分の高いアンジュに気を遣ってしまってバーベキューを楽しめないではないか。


 仕方ないから布でも掛けて隠しておこう、牢の上からバサッと巨大な布を被せられ、視界を奪われる瞬間のアンジュの物憂げな表情が可愛らしかった、残念だが明日までは我慢して欲しい……


 で、しばらくして買出しから戻ったセラとミラ、買って来た食材の量が凄まじい……どうやらアンジュ達にもお裾分けしてやろうというつもりでいたようだ。


 本人達にはしばらくそのことを黙っておこう、バーベキューの最中に突然焼き上がった肉や野菜を与えた方が、俺達の慈悲深さを知らしめるのに有効であることは間違いない。



「見てよ勇者様、今日は貝類が豊富だったのよ」


「ほぉ~、そろそろ冬も終わりだし、今シーズンはこれでラストになるかもな、ありがたく頂いておこう、で、マーサ用のは?」


「そうよそうよっ、私の食べる分も何か買って来たんでしょうね?」


「ジャーンッ! 白菜丸ごと、それから出汁昆布! これで野菜のスープが作れるわよ、この私に感謝しなさい、ねぇミラ?」


「作るのはほとんど私とアイリスちゃんだけどね……」



 買って来たというだけで調子に乗るセラは馬鹿だが、同じ馬鹿でもそんなセラに対して素直に感謝してしまうマーサは可愛らしい。


 2人が獲得した食材を切り分け、まずは肉とキャベツから焼いていく、香ばしい匂いが付近に漂い、アンジュ達を閉じ込めてある牢から獣のような鳴き声が響いてくる。


 そろそろかわいそうになってきたので食べ物をやろう、黒い布を取り払い、紙皿に載せた肉と野菜を配布すると、片寄りすぎて牢自体がひっくり返るのではないかと思うほどに殺到するサキュバス。


 体の小さいペロちゃんが潰されていないか心配だ、おそらくはナナシーが守っているはずだが。

 しかし数日まともに食わせないだけで、かなり知的な魔族でもこうなってしまうのか、いやはや兵糧攻めというのはかなり効果がある作戦なのだな……


 結局サキュバス達には満足いくまで食べさせ、その代わりに俺達の作戦、即ちゴミ共の人生を破滅に追い込むべく、まずは資産を全て吸い上げるためのボッタクリ計画に、それはもう必死で協力するようにと命じておく。


 わかったのかわかっていないのか、とにかく壮絶な空腹から逃れることが出来たサキュバス達はすぐに静かになり、ある者は涎を垂らして、ある者は転がりながら寝息を立てている。


 俺達も早めに寝よう、朝起きたらすぐに出発、可能であれば村の漁師の邪魔をしないよう、夜中の真っ暗なうちに出航しておきたいところだ……



 ※※※



「はいっ、それじゃ出航しますよ~っ!」


『おねがいしま~っす!』



 朝、ドレドの船に乗り込んだ俺達はさらに南を、別の大陸にある旧共和国領を目指す。


 既にマリエルが文書を送り、以前立ち寄った砦に滞在する場所を設けて貰えるよう取り計らってあるため、どうにかして敵だらけの町を抜けた後は、まっすぐにそこを目指して馬車を走らせる予定だ。


 食糧もコテージに置いて来た分を除いても十分にあるし、昨夜まともな食べ物を与え、さらに今は船に備え付けの風呂を順番で使わせてやっているサキュバス達も大人しくしてくれそうだし、敵の存在以外には特にこれといった問題はない。


 まぁ、もちろんここから何かトラブルが生じ、思い通りに事が運ばないのはお約束、というかここでそんなことを考えてしまったこと自体がフラグとなり、なにか不要なモノが呼び出された可能性は非常に高いのである。



『勇者様~っ! そろそろ甲板の見張りを交代する時間よ~っ!』


「お~う、だがちょっと待ってくれ~っ、今はサキュバスが風呂に入っているのを監視……おいセラ、いつの間に背後に立ったのだ……」


「つい今、この瞬間よ、ふんっ!」


「ほげぽっ!」



 甲板で見張りをしていたはずのセラ、同じく風呂の窓の横に立って見張りをしていた俺の背後に移動していたようなのだが、その音、気配、殺気、全てを感じ取ることが出来ないまま間合に入られ、俺は簡単に討伐されてしまった。


 仕方なく甲板に向かうと、くじ引きで俺と一緒に当番をする予定のマーサが既に待機している。

 海上ゆえ風が強く、非常に寒いのだが、マーサを抱えていれば少しは暖を取ることが出来るであろう。



「それじゃ、私は中で暖まってくるから、それとお昼になったら呼びに来るわ」


「げぇ~っ、昼間で見張りとかそりゃキツすぎだぜ、なぁマーサ?」


「う~ん、見てるだけなら別に余裕じゃないかしら」


「とか言っておきながら確実に寝るだろお前はっ!」


「いでででっ、寝ないっ、寝ないから耳を引っ張らないでっ!」



 バカンスチェアまで持ち出し、お昼寝モードに突入する気満々のマーサに攻撃しつつ、その寝そべっている、既に十分温まった椅子に相乗りする。


 セラが置いて行った毛布も使えば完璧だ、これでゆっくりと昼寝……ではなく見張りをすることが出来そうだ。



「ねぇ~っ、狭いじゃないのっ、あんたももうひとつ椅子を持って来たら良いと思うのよね」


「馬鹿言うんじゃねぇ、俺1人で寝転がったって確実に寒いんだよ、マーサ、お前はHOT抱き枕として本当に優秀だ、褒めて遣わす」


「やった、何だか知らないけど褒められちゃったわ」



 適当に煽てて上機嫌にさせたマーサを抱え、頭まで毛布に包まって目を閉じる。

 実にHOTだ、そして柔らかい、このまま昼食の時間まで寝ていることが出来……マーサめ、急に激しく動きやがって……



「ちょっとアレ見てよ、ほらっ!」


「何だよ全く、シーサーペントでも居たか? そんなのイマドキ珍しいものじゃないだろうに……」


「違うわっ、船よ船! 一昨日見た絵に描いてあったのと同じ感じの船がこっちに来ているのよっ!」


「……いかん、これは面倒なことになるパターンだ、見なかったことにしようぜ」


「ダメに決まってるじゃないのっ! すぐ皆に報告するわよっ!」


「あ~、もう面倒臭いことこの上ない展開だな……」



 マーサの指差した方向に見えるのは間違いなく船、それもロリ・コーン師の所有する船だ。

 そして明らかにデカい、こちらが一般的なフェリー程度だとすれば、向こうは超巨大タンカーぐらいの規模を持っているに違いない。


 近付くにつれてその巨大さが明らかになってくる敵船、しかもこのコースだと直撃、正面衝突確定である。

 もしぶつかったら? おそらく『ぶつかる』というよりも『踏み潰される』というのが正解だ。


 報せを受けて甲板に出て来たドレドが軽く面舵を切って衝突を回避しようと試みる。

 向こうは避ける様子がない、巨大ゆえ小回りが利かないのか、それとも単に傲慢なだけなのか。


 とにかくこのまますれ違うコースで航行しつつ、あの船がロリコン野朗のものであることが確認出来次第、直ちに攻撃を仕掛けることが出来るよう、今のうちに準備をしておこう……

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