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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十九章 最後の1人
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491 大臣級

「じゃあ今回はこの人とこの人、あとそっちの3人で」


「よし、指名された奴は前に出ろ、次の屋敷を攻略する際のお供にしてやる」


『ひぃぃぃっ! まだ死にたくないっ!』


「黙れ、お前等は単なる駒で、俺達の盾に過ぎないんだ、そんな奴等がこの『リリィ様』の人選に不満があるというのであれば、俺がこの場で直ちに殺す、さて、どちらを選ぶ?」


『同行させて頂きますっ!』


「よろしい、では遺書でも認めて準備をしておくように」


『うぃ~っ……』



 イマイチやる気の感じられない、というか俺達の四天王城攻略に参加したくない様子のヴァンパイア共。

 無理矢理連れて行くのだが、士気が低いのはあまり良いことではないと言って良い。


 もちろん現場で賊……ではなく賊なのは俺達か、とにかく敵に遭遇したら即戦って貰う必要があるというのに、このやる気のなさではまるで使い物にならないのは明白。


 むしろカーミラとの本戦において、『無能な味方』として俺達の足を引っ張らないか心配だ、そうならないためにも、荒廃した村から連れて来たこのお供ヴァンパイア共には全員名誉の戦死を遂げて頂く必要がありそうだな。


 まぁ、どうせ敵の城には奴の部下がかなりの数居るのだ、その連中と戦わせておけば、良い勝負を演じた後に全員死ぬのであろう、それこそが名誉の戦死、本懐を遂げたということで有り難く成仏してくれると非常に助かる。


 と、そんなことも、そしてこのお供ヴァンパイア連中の、非常に価値の低い命のことなどはどうでも良いとして、そろそろ『次の敵』のことも考えなくてはならない。


 ここまでは適当にやってきても問題なく進んでくることが出来たのだが、ここから先、あと2つの屋敷に巣食う四天王軍大幹部級のヴァンパイアに関してはそうもいかない可能性があるのだ。


 きっと強く、賢さも高いはずだ、これまでのように便所の虫を潰すノリで戦っていたら、もしかすると指を切ったり打撲したり、そういった代償を払うことになる可能性がないとはいえない。


 ルビアの回復魔法があるとはいえ、出来ることなら怪我なく、安全に日々を過ごしたいものだ。

 よってそのリスク要因となる強敵との戦闘においては、細心の注意を払って諸々の痛みを回避する必要がある。


 とりあえず今回のお供ヴァンパイアから、次に向かうべき屋敷の主に関して情報を得よう……



「おいお前等、死にたくなかったら地図上のここ、この屋敷に済んでいるヴァンパイアの特徴を教えろ、3秒以内にな」


「えっと、その、え~っと」


「遅いわボケェェェッ!」


「ぎょえぇぇぇっ!」



 昼なので窓を開け、換気をしておいて正解であった、ぶん殴った1匹のヴァンパイアはその開いた窓へ吸い込まれるようにして飛んで行く、もし締め切っていたらガラスが割れ、今夜はそこにダンボールを貼って寒さを凌ぐことになっていたであろう。


 で、敵に関する情報だが、顔を青くしながら残りの4匹が語った内容によると、どうやら次、そしてその次の奴も、北の四天王軍の参謀、というか大臣級の強キャラなのだそうな。


 もちろん城の近くに住んでいる、次の次に戦うべきヴァンパイアの方が遥かに強いのだが、次の奴もヴァンパイアの中ではかなり恐れられている、凶暴にして残忍、命を命とも思っていないようなクズ野郎らしい、本当に最低な奴である。


 ……俺? 俺は勇者様だから良いのだ、勇者は何をしても許されるべきであり、現状では違うが、どんなことをしても世界中全てのモブ共から褒め称えられるべき存在なのだ。


 それはさておき、次の敵は純粋に戦闘力が高いのか、これまでの上級ヴァンパイア(笑)のようなアレな奴ではなく、本当に強い、そういうことに違いない。


 となると一応の対策を……と、精霊様が何か考えを持っていそうな顔をしているではないか……



「精霊様、何か意見があるなら言ってみろ」


「あら、バレちゃったわね、で、これはあまりにもつまらない作戦なんだけど、夜中に急襲して、寝首を掻くのが一番手っ取り早いと思うのよ、もちろん少人数で行ってね」


「そうか、それもアリといえばアリだな、全員で真正面から立ち向かうよりも効率的だ」


「まぁ、もちろん屋敷を警備している雑魚の数も多いでしょうし、それなりには頑張らないとだと思うけどね」


「いや、雑魚には雑魚で対抗すれば良いんだよ、こっちの手駒はわりと多いんだしな、このアホ共が敵の雑魚を食い止めている間に、俺達はメインターゲットを捜し出してブチ殺すんだ」



 その後、協議の結果として精霊様の作戦は採択されたのであった。

 ここからの問題は誰が実行部隊として派遣されるかだが、別に全員で行っても構わないし、2人3人でコソッと忍び込む方法でも良い。


 もし人数を絞るとしたら、まずは対雑魚用のお供ヴァンパイア5匹……いや、先程1匹ぶっ飛ばしてしまったから4匹か、こいつらは戦死するかもだが、それで10分程度敵の雑魚を止められれば十分だ。


 次にメインターゲットを殺害するための、パーティーメンバーからの選出だが、もし外すとしたら寒さでまともに動くことが出来ない可能性のあるリリィ、そして電撃戦では特に必要ないと思われる回復のルビア、その辺りか。


 そしてもちろん、特大の魔法で広範囲を灰燼に帰すことなど必要ないゆえ、セラとユリナもお留守番。

 逆に敵の目を欺くことが可能になる幻術を使えるサリナは組み入れ確定である。


 あとは近接戦に強くて素早さの高いカレンとマーサ、次点で小回りが利くミラ、それと発案者で普通に人殺しがしたい精霊様か。


 俺が行かないというのは拙そうだが、獲物が長すぎて室内では動き辛いのも確か、よって同じ状況にあるマリエル、それからデカい剣を振り回すジェシカもお留守番だな。


 これで襲撃部隊に入るのが6人、お留守番が6人でちょうど良い振り分けとなった。

 このチーム設定を提案したところ、夜中に弱いミラとカレンがそれぞれ難色を示す。


 確かに、夜の作戦では頻繁に半分寝ているような状態になる2人を連れて行くのはリスクが高い。

 別に危険な目に遭うとかではないが、そのまま敵の屋敷で寝入ってしまい、帰るときに忘れていきそうなのだ。


 当然翌朝救出すれば良いのだが、敵の屋敷とはいえ勝手に宿泊するのは芳しくない。

 ということでその2人も外し、俺とマーサ、サリナ、精霊様の4人で作戦を決行することに決まった。



「ふふんっ、じゃあ今回一番活躍するのは私ね、ウサちゃんパワーでヴァンパイアなんか一撃よ、ちなみにあんた、足引っ張るんじゃないわよ」


「何だとコラ、生意気なウサギにはカンチョーの刑だっ!」


「はうっ! も……もう1回お願いします……はうあぁぁぁっ!」



 調子に乗ったマーサにお仕置きしていると、精霊様が実行部隊だけで先に風呂へ入り、今のうちに寝ておこうと提案してきた。


 間違いなくその方が良い、夕飯のタイミングも後ろにずらして作戦中に腹を空かさないようにしておくのも重要だな。

 というわけで風呂に……いや、風呂は汲んであるのか?



「おいヴァンパイア共、もしかして俺達が入るための風呂をまだ準備していない、なんてことはないよな?」


「い、いや、まだ昼なのだぞ、確かに我らはサポート役として、高貴な身分であるにも拘らず貴様等のために雑用を……」


「グダグダうっせぇよ、汲んであるのかないのか、どっちなんだ?」


「く……汲んでいないのだが……」


「そうか、じゃあ死ねっ!」


「ぎょべぇぇぇっ!」



 再び窓枠の中にナイスシュートされたヴァンパイア、そのまま空を飛び、キランと光って見えなくなる。

 お供ヴァンパイアが3匹まで減ってしまったな、作戦までに補充しておく必要がありそうだ。


 外で待機していたカス共の中から適当に2匹を選抜、ちょうど良かったのでその2匹に風呂焚きもさせ、待っている間は4人でゴロゴロしながら作戦を立てる。


 やはり要となるのは素早くパワーも有しているマーサであるが、サポート役のサリナ、空を飛ぶことが可能な精霊様も重要だな。


 というか要らない子なのは俺だけだ、別に行きたくないわけではないが、とりあえず皆の邪魔をしないよう、後ろに引っ込んでいることとしよう。


 風呂も沸き、4人で入った後は屋敷にあった小さめの寝室へ。

 寒いのでマーサを抱えて寝よう、精霊様は天井にへばりついているし、サリナはユリナが居ないと眠れないため、サッサと出て行ってしまったからな。



「おぉっ、マーサは本当にホッカホカだな、マリエルめ、いつもこんなあったか抱き枕を独占しやがって」


「あら、カレンちゃんだってあったかいじゃないの、それに尻尾だって私よりもモフモフよ」


「確かにそうだが、あいつは小さいからな」


「小さいって、おっぱいとか?」


「お前噛まれても知らんぞ……」



 抱えながら頭を撫でていたマーサが寝息を立て始めたため、俺も目を閉じて眠りに就く。

 どの程度寝ておくのか取り決めをしていなかったのだが、そのうち誰かが起こしに来てくれるであろう……



 ※※※



「ご主人様、起きて下さいご主人様、そろそろ真夜中と言って良い時間になりますよ」


「う~ん……あと24時間……」


「どれだけ寝るつもりなんですか? 早く起きないと朝になってしまいますよっ!」


「ひゃっ、さ……寒い……」



 暗闇の中で掛け布団を剥がされ、隣のマーサに必死でしがみ付く。

 冬の真夜中の寒さは異常だ、そして今夜の作戦が完結する頃には、これ遥かに下回る気温となっているに違いない。


 とりあえずマーサを起こし、寝室を出て暖炉のある部屋へと集合する。

 精霊様はもう暖炉の前に居り、クルクルと回って前と後ろを交互に暖めていた。


 テーブルの上にはアイリスの字で『食べて下さい』と書かれたメモと夜食、俺の分は何者かによって肉だけ抜き取られていたが、実に美味なパンであった。



「はい3人共おはよう、これで全員揃ったわね、それ食べたら早速転移しましょ」


「まぁ待て、まだお供ヴァンパイア共の準備が出来ていないようだ、全くあいつらモタモタしやがって、生きて帰って来たら皆殺しだな」


「その前に戦死すると思うわよ、まぁどちでも一緒ね」



 もちろんヴァンパイア共には作戦の決行時間や詳細など伝えていない、そのぐらい察しろということだ。


 で、突然出発を告げられ、慌てて準備をしているのだがどうやら死ぬことへの恐怖でまともに寝ていなかったらしい、そんなので本当に戦えるのか、実に不安である。



「あ、俺達もちょっと出発、というか作戦決行に向けた準備をしておこうぜ、闇に紛れるため顔に墨を塗っておくんだ」


「絶対にイヤよそんなの、臭くなっちゃうじゃないの」

「そうですよ、それはご主人様だけがやって下さい」

「敵のヴァンパイアよりもまずあんたを殺す必要がありそうね」


「全否定だし殺害予告まで混じるのか……わかった、じゃあ墨は諦めて別のカムフラージュをしよう」


『お断りよっ!』



 3人の顔に落書きしようと取り出したマジックを叩き落とされ、意気消沈する。

 まぁ冗談はさておき、ヴァンパイア共の準備が終わるのを待って……と、ちょうどやって来たようだ。


 最初にリリィが選んだ5匹のうち、俺に殺されずに済んだ3匹、それに加えて補充として適当に選んだ2匹。

 合計5匹のヴァンパイアが、必死で書いたのであろう遺書を精霊様に手渡している。


 だが渡す相手が悪い、5通の便箋はそのまま暖炉の火の中に投げ込まれてしまった、全く紙の無駄だ。


 そもそもこんな連中に遺書など書かせること自体が無駄であった、高貴だの何だのと言いながら、結局相続財産など何も持ち合わせていない、単なる極貧パイアなのだから……



「さてと、準備が整ったら出発するぞ、目標は次の屋敷の主、出来れば静かに暗殺、無理だったら普通に戦って惨殺だ」


『うぇ~い!』



 転移装置が設置されている執務室に移動する際、廊下で待っていたセラとユリナが見送ってくれる。

 セラは何となく、ユリナは決戦の地へ向かう妹が心配で、夜中にも拘らず起きて待っていたのだ。


 2人にはすぐに帰ると伝え、転移装置の前へ集合する。

 もちろん『クリスマスまでには帰る』でない限りはフラグにはならないはず、なったとしてもパイア共を生贄にして俺達は悲劇的結末を回避すれば良い。


 ということでまずは俺から、次いで仲間3人、その後からどうでも良い5匹が続く。

 転移した先はまたしても物置小屋の中、全員揃ったのを確認し、その扉を開ける、そして巡回と思しき中級魔族とコンニチワする……



 ※※※



『しっ、侵入者だげっ……』


「やべぇ、もう見つかったじぇねぇか」


「不用意に開けるからよ、リリィちゃんじゃないんだからもう少し我慢しなさいよね」


「超すみませんでした」



 転移して30秒も発たないうちに、敵の夜間巡回に引っ掛かってしまった俺達。

 大声を出そうとした中級魔族は首をゴキッとやって黙らせたが、今のに反応した他の見張りが居てもおかしくはない。


 それで精霊様に怒られてしまったのだが、このようなクソみたいな始まりとなってしまったのは俺のせいではない、全て社会が悪いのだ。



「しょうがないわね、ほらパイア達、サッサと前に出て敵の巡回を惹き付けなさい、下っ端の中級魔族ぐらいだったら雑魚キャラのあんた達でもどうにか倒せるでしょ? 高貴な雑魚のあんた達でもね」


『は、はぁ……』



 すぐにクソ雑魚ヴァンパイア軍団を放出、可能な限り見つからないよう、そして巡回や見張りをしている敵を確認したら、極力静かに息の根を止めるよう指示を出しておく。


 俺達の方はサリナが幻術を使い、存在感を消した状態でまっすぐ屋敷の建物を目指す。

 爺やの屋敷よりも、そして広い広い陰謀論者の屋敷よりもさらに広い庭、うっかりすると迷子になりそうだ。


 そして多少の明かりはあるものの、鳥目の俺にとっては暗すぎる。

 サリナは術を使っているので尻尾は握れないし、ここはマーサの尻でも鷲掴みにして、仲間と逸れないようにしておこう。



「マーサ、ちょっとガシッといくからな、ビックリするんじゃないぞ」


「わかったわ、はいお尻どうぞ……きゃぅっ! 冷たいぃぃぃっ!」


「馬鹿がっ! デカい声を出すんじゃ……もう手遅れみたいだな……」



 マーサのせいで、2階建てと思しき巨大な屋敷の中央付近に明かりが灯る。

 誰かが起きたということだ、そして、寝間着というかシマシマのパジャマ姿で窓際に立ったのは、紛れもなくヴァンパイア。


 その見た目の高級感からして、奴がこの屋敷の主、そして北の四天王軍における大臣級の強キャラであることは間違いない。



「……めっちゃこっち見てんな、もうバレバレって感じだ」


「はぁ~っ、所詮私達にこういう知的な作戦は無理だったのよ、残念だけどもう正面からいきましょ」


「おう、待ってました、オラァァァッ! おいそこのカスヴァンパイアァァァッ! ぶっ殺してやるから降りて来やがれ……って、居ないじゃないか、どこ行ったんだ?」


「あらいつの間に、あ、もう一度寝たんじゃないかしら?」


「そうかそうか……って精霊様後ろっ!」


「え? あひっ! 誰よお尻触ったのはっ!」

「きゃんっ、私も触られました」

「私なんかどっかの変態にずっと鷲掴みされているわよ」



 窓の向こうに居たはずのヴァンパイアが消え、余裕をこいていた精霊様の後ろに立っていた。

 もちろんそこからも消失、背後を取られた精霊様だけでなく、サリナも尻を触られたと主張する。



「ねぇっ、もう戦う時間だし、いつまでも私のお尻握り締めてないでよっ、しかも両方!」


「何言ってんだマーサ、俺が鷲掴みにしているのは左の尻だけでだな……あっ! クソッ、また消えやがった」


「イヤッ! ちょっと、もしかして今まで右のお尻を握っていたのはアイツ、あの変態ヴァンパイアだったてわけ?」


「そういうことだ、で、今度はどこに消えやがったんだ?」



 誰かの現れては、尻を触って消えることを繰り返すヴァンパイア、サリナも精霊様もその姿を確認出来ていないのだが、俺とマーサにはチラッとだけ見えたのであった。


 おそらくは今もちょこまかと……と、そこでドサドサッと、何かが地面に落ちる音。

 首だ、銀のナイフを突き刺されたお供ヴァンパイア5匹の首が、まとめて俺達の所へ投げ込まれたのだ。


 野郎共、静かに敵を殺せとは命じたのだが、静かに殺されろなどとは言っていないのだぞ。

 殺られるときにはせめて大声でも出して、敵がどこに居るのかを伝えてから死んで頂かないと。


 まぁ死んでしまったものは仕方ない、薄汚い首から貴重な銀製のナイフを抜き、足で蹴ってどこかへやる。

 しかし妙だ、完全に敵意を持って行動しているはずのヴァンパイアが、俺の索敵に反応しないのだ。


 良く考えたらマーサにその移動音が聞こえていないというのもおかしなこと、ついでに言うと警戒心の高い精霊様が、油断していたとはいえそう易々と背後を取られるとも思えない。


 つまり、奴の動きには何か秘密がある、それを前提として捜さないと、いつまで経ってもその姿を捉えることが出来ないはず、何か、その何かとは何なのかを考えなくては……



「あっ! 捕まえたっ……ってあれ? スルンッて抜けちゃった……」


「今のは私にも見えたわ、マーサちゃんは間違いなく奴の足を掴んでいたはずよ、なのにどうしてなのかしら?」



 俺とサリナが反対側を向いている間に、マーサが敵の姿を捉え、その足を掴んだ、いや掴み損ねた。


 だがマーサともあろう者が、その辺のヴァンパイア如きに素早さで遅れを摂ることなど有り得ない。

 もしかするとこの敵、実体はここに存在していないのではないか? いや、だとすれば3人の尻をリアルに触ったことの説明が付かなくなる。


 時折しか姿を見せないうえに喋りもしないヴァンパイア、その存在の秘密を探し当てるまで、この戦いは決着することなく続きそうだ。


 果たしてコイツをブチ殺すのが早いか、それとも朝日が昇ってしまうのが早いか、とにかく奇襲作戦が完全な失敗に終わったことだけは確かである。


 次からはもう少し頑張るとして、今は目の前……に居るわけではないのだが、とにかくこの屋敷の主たる敵ヴァンパイアの討伐に注力しよう……

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