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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十九章 最後の1人
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489 トンデモ論から出た

「キィェェェッ!」


「チェストォォォッ!」


『ふげぽっ!』


「おい何やってんだお前等、もっと真面目に殺し合えよ、本当につまらん奴等だな……」



 ヴァンパイア爺や(故人)の屋敷から転移した先、奴よりも四天王カーミラに近い幹部と思しき陰謀論を唱えるヴァンパイアの屋敷、その広い庭にて始まった戦い。


 こちらの手駒は仮にヴァンパイア1号と名付けた雑魚、もちろん別に本名があるはずだが、こんなクソモブ野郎の名前など知らなくても良いし、そもそも知る価値などないのだ。


 で、ちんたらちんたら戦う2匹の雑魚パイア、完全に無駄な時間である。

 というかそもそも生命力が高くグチャグチャになっても死なないような連中だ、武器もなしに殺し合いをしろというのはいささか無理があったか。



「え~っと、こいつら何をすれば死ぬんだっけか? ニンニクじゃなくて……そうか、体内に銀をブチ込めば良かったんだな、ミラ、ちょっと銀貨出してくれ」


「削ったり溶かしたりとか、もったいないことは絶対にしないで下さいよっ」


「わかったわかった、おいクズ共、今から銀貨を投げてやるからキャッチしろ、まぁ取った方が勝利ももぎ取ることになるんだろうがな、それっ!」



 ミラから受け取ったパーティー資金の銀貨を1枚、ダラダラ殴り合いをしていた2匹のヴァンパイアに投げ付ける。


 もちろん公平を装い、こちら側のモンスター……じゃなかったキャラ……でもない、とにかく手駒の方が上手く受け取ることが出来るように調整した。


 その意図には当然気付いているのであろう味方雑魚パイアが銀貨をキャッチし、渾身のパンチと共に敵パイアの鳩尾にそれを叩き込んだ……



「ぎょぇぇぇっ! きょ……巨大組織の陰謀が……かはっ……」


「お、本当に死んだじゃねぇか、一体どういう理屈なんだ?」


「はぁっ、はぁっ……我にもわからぬのだが、ヴァンパイアは銀を、主に心臓に打ち込まれると死ぬのだ、だからといって無闇に真似するでないぞ、そんなことをすれば死人が出るのでな」


「はいはい、まぁ殺すとなったらそれが手っ取り早いということは良くわかったよ」



 たまに聞くのはヴァンパイアが銀の弾丸に弱いという話であるが、銃も火薬も存在しないこの世界には弾丸も存在しない。


 だが古来より食器に使ったりする銀、毒に反応して変色するという特性を持っていることからそうされたのであろうが、その清潔感のあるイメージの銀という金属は、やたらにダークで陰湿なイメージのあるヴァンパイアに対して強いということなのであろう、知らんけど。


 とにかくこの世界においては銀貨、あと銀製のボタンやそれこそ食器を用いていけば良いはずである。


 俺はそのような高価なものを普段使いなど出来ないご身分、というかもうゴミ分なのだが、マリエルに頼めば王宮から取り寄せてくれるに違いない。



「さてと、銀貨はそのまま使って第二試合だ、おいコラ、負けた方は汚らしい死体を焼却炉にでもブチ込んで、次の選手を出しやがれコラ!」


「ず……ズルいぞそっちばかりっ! 我らにも銀貨を、さもなくば貴様等の襲撃、全て闇の巨大企業による陰謀だと預言者様に伝えるぞっ!」


「おうおう、俺達はその預言者様ってのを殺しに来たんだ、ちょうど良いから呼んで来てくれ、やべぇ組織の黒幕が庭にお越しだって言ってな」


「そうか、そうとなったらそこで待っておくが良い、言っておくが予言者様は超強いからなっ! 貴様等など秒でフルボッコだからなっ!」


『では行って来る!』


「おいちょっと待て、その何とかって馬鹿が来るまでの余興がなくなるのはつまらん、1匹で行って残りの2匹はここでこっちの手駒とでデスマッチでもしてろ」



 大急ぎで屋敷の建物に向かって走り出した3匹の雑魚のうち2匹を、サッと前に出たミラとジェシカが捕らえ、こちらに投げて寄越す。


 きっと預言者だか何だかを呼びに行く役回りになれば、この場で死のゲームに参加することなく、そのまま生き延びることが出来るとでも思ったのであろう。


 だが俺達勇者パーティーはそこまで甘くない、殺すべき敵はキチンと殺すのが基本なのだ。

 よって俺達に出会ってしまった時点で、この雑魚共に明日はやってこないことが確定している。


 上手く先頭に立ち、まんまと『預言者呼び出し役』をゲットした雑魚パイアは、そのまま大急ぎで屋敷の入り口を開け、デカい声を出しながら助けを求めているようだ。


 その間に第二試合が決着、先程の戦いで疲労困憊であったこちらの手駒が、手持ちの銀貨を奪われ、それを腹にブチ込まれて死亡、敗北したのであった。


 そこで再び開いた屋敷の扉、出て来たのはヴァンパイア……ではあるものの、メガネを掛けたひ弱そうな、というか昨日のの爺やよりも弱い雑魚中の雑魚。


 もちろん今デスマッチをやらせている雑魚パイア共よりは多少強いのだが、それでも魔王軍でも最上位に位置する北の四天王の直属の部下とは思えない弱さだ。


 いや、ここの連中はコイツの雑魚加減に気付いていないようだ、おそらく使用者である四天王カーミラも。


 どうもヴァンパイアの連中は相手の実力の度合いを見抜くのが下手なようだが、ここまでくるともう普通にただの馬鹿なのかとしか思えないな。


 そしてもちろん、本人は自分が強いと思っている、そう、ヴァンパイアとしてはかなりの雑魚であるにも拘らず、襲撃者である俺達よりは遥かに上だと思い込んでいるらしい。


 もちろんそんなものは『荒唐無稽なな陰謀論』を信じ込んでいる大馬鹿者と同程度の、意味不明に近い思い込みであり、他者を騙し、巻き込んで利益を得ている自分が、目の前の敵が自分より弱い、いやむしろ誇張し続けている自分の力を誇示するのにちょうど良い存在だなどと思い込んでしまっているのは実に滑稽だ。


 で、その馬鹿ヴァンパイア、自信満々の面持ちでゆっくりと俺達の前へ歩み出て、第三試合を控えていた第二試合の勝者、即ち敵側の雑魚パイア2号に下がれと命じる。



「フハハハッ! 貴様等、高貴なるヴァンパイア族の男が混じっていると聞いたが、見ればそこの4匹……1匹は既に事切れて居るのか、まぁその3匹は下級の、ごくありふれた一般的なウ○コ、下民と呼ぶに相応しき低級ヴァンパイアではないか。それに比べて我、魔王軍四天王たるカーミラ様が多大なる信頼を寄せる知将、この世の闇を紐解く魔界より授かった予言、そして全ての陰謀を暴露し、巨悪による世界の破滅を未然に防ぐ者。そんな我とまともに戦って勝てると思うなよ、見れば人族が多いようだが、その生き血、有り難く啜らせて頂くこととしようっ!」


「いや話長いんですけど」

「喋ってないでサッサと死んで下さい、邪魔です」


「何と辛辣なっ!? 特にそこの馬鹿そうな顔をした人族……人族ではなくサルの類なのか? とにかく少し違うようだが、貴様のような馬鹿っぽい馬鹿が馬鹿面下げて馬鹿みたいに我の屋敷に侵入するとは、馬鹿にするのもたいがいにしろこの馬鹿がっ!」


「いや馬鹿馬鹿うっさいんですけど……」

「そうですよっ、勇者様が馬鹿なのは生まれつきです、そういった身体的特徴を挙げて馬鹿にするのは、いくら勇者様が馬鹿でも傷つくはずですよ、大馬鹿……じゃなかった馬鹿勇者様に謝って下さいっ!」


「おいミラ、お前には後でお話があります」



 特に悪気もない様子で、敵よりも辛辣な言葉を間接的に浴びせてくるミラには後でお仕置きだ。

 とにかく今はこのクソみたいなヴァンパイア、メガネのひ弱陰謀論者を片付けてしまおう。


 周りの雑魚を殺害するのはいつでも可能だし、そもそも放っておけば勝手に陰謀論を唱えて自決しそうだ。

 ということでまずはこの屋敷の主を亡き者にし、全ての権利を俺達に委譲、いや禅譲させるのだ。



「おいこのクソ馬鹿野郎、闇の組織の陰謀だか何だか知らんが、そういうことを言っている連中ほどキモいものはないんだよ、だからその親玉であるお前が率先して死ね」


「フハハハッ! 貴様は我の話術に騙されぬようだな……っと、余計なことを言ってしまったようだ、我が信徒共が混乱しておるわっ、フハハハッ!」


「全く、こんな頭の弱い連中を騙して何がしたいんだよ? クーデターでも起こして世界をひっくり返したいのか? それともただ利益のためにやっているのか?」


「フッ、正解は後者だ、こういうのを信じ込み易い連中というのはついでに財布の紐もガバガバでな、ちょっと煽ればすぐに寄付だの義捐金だの協力金だの、何かと我に利益をもたらしてくれるし、支持率も爆アゲでウッハウハだ。あ、それでも『世界の真実を暴くために頑張って下さいっ!』は全く要らぬな、そんなくだらない声援を寄越すなら臭い口を閉じて現ナマを寄越せということだ、フハハハッ!」


「もしもし、その信者共が騙されていたことを知って怒り心頭に達してますが……」


「そうだっ! もしかして預言者様は本当はっ、闇の組織の陰謀のことなど一切調べていなかったし、いつも言っている『信頼出来る情報筋からの何とやら』もまるで嘘だった、そうじゃないのかっ?」



 余計なことを口走ってしまったため、『支持者』から問い詰められる陰謀論者の馬鹿ヴァンパイア。

 自分がソレを信じているわけではなく、ただ利益のためだけに他者を煽動していたことが明るみに出てしまったのだ。


 だが、怒り狂う『支持者(笑)』を前にしても陰謀論者は余裕綽々の表情。

 また騙し直せば良い、そう考えているのであろう、そしてこの連中を再び騙し、支配下に置くことなど容易いはず。


 フゥッと、軽い溜め息を付いた陰謀論者ヴァンパイアが、その口を開き、嘘に塗れた声で周りの空気を震わせる……



「良いか諸君、闇の組織の暗躍は本当だ、我はその関係者、もちろんこちら側との二重スパイなのだが、その者から有力な情報を得て、それをそのまま、包み隠さず諸君に伝えているのだ。例えばほら、ここ最近危険なレベルの豪雪が続いていたであろう? アレも闇の組織による『ヴァンパイア絶滅作戦』の一貫だとのことだ。そして、今目の前に居るこの敵も、頭の悪そうな顔をしておきながら、実のところ闇の組織が派遣したエージェントの集まりなのだ、わかるかね? もちろん高貴なヴァンパイアの中でも特に優秀な頭脳を持った諸君らにはわかるだろう。いや、わからないというのであればそれは馬鹿だ、アホだ、ウ○コだ、そんな奴はミジンコにも劣る劣等種族に他ならないっ!」


「ウォォォォッ! さすがは預言者様だっ!」

「やはり予言者様の言っていたことは全てが正しかったんだっ!」

「俺、明日か明後日には結婚するんだっ!」



 あっさり信者共の信仰心を取り戻した陰謀パイア、最後に死亡フラグを吐き散らしていた馬鹿が居たような気がしなくもないのだが、ここに居る敵パイアは全員ゴミのように死に晒す運命と決まっているので特にそれによる未来の変化は訪れない。


 しかし凄いな、一切の証拠を提示することなく、ただ発言するだけでここまで信頼されるとは。


 おそらくは最初に『~らしい』とか『~という情報が入った』などという曖昧なワードで注目だけ集め、そこで引っ掛かったアホに対してはより強い言葉で、断言するようなワードで洗脳しているのであろう。


 いやはや、これはもしかしたら俺も真似した方が良いかも知れないな。

 適当にそれらしきことを言うだけで、ここまで信じ切ってしまう低脳な奴が本当に居るとは思わなかった。


 もちろん俺はこのような話術を使えないし、荒唐無稽な論を大々的に主張することなど恥ずかしくて出来はしないのだが、魔族側はともかく人族側には非常にやり易いポイントがひとつある。


 それは実際に俺達や王国を貶め、自分達が権力の座に着こうとしている闇……でもないか、とにかく悪い奴等が実際に居ることが明るみに出ているのだ。


 当該クズ連中を逆に利用し、その上に君臨する裏の存在をデッチ挙げればそれで全て完了な気がする。

 あとはどれだけの馬鹿が騙されるか……いや、以前王都が制圧された際、そういう煽動に弱い馬鹿共は大半を死刑にしてしまったのだ、この作戦は志半ばで頓挫しそうだな……



「ちょっと勇者様、何1人で考え込んでるの?」


「ん? すまんすまん、ちょっと面白いことを思いついたような気がしたんだがな、やっぱダメだったってだけだ」


「そうなのね、で、このキモいおっさんヴァンパイアはどうするわけ?」


「う~む、とりあえず生け捕りに出来ないかな? 自己の利益のためだけに人心を惑わすやべぇ奴だしな、可能な限り残酷な方法で殺したいんだが、そのためにはちょっと準備が必要だ」


「まぁ、確かにこんな奴に担ぎ上げられた『闇の組織の黒幕』もかわいそうよね、悪気があって暗躍してるわけじゃないと思うのに」


「いや、悪気がない闇の組織の黒幕というのを見てみたいのだが……」



 とにかく、未だに信者ヴァンパイア3匹の前で謎の主張を繰り返し、その度に称賛と、さらにはおひねり的な小銭まで受け取っている陰謀論者のおっさん。


 コイツはもう『溶けた銀を耳から流し込む刑』に処さざるを得ない、もちろんその執行前には、全身をいい感じに炙って切り裂いて……これ以上は食事が不味くなりそうだから想像するのをやめよう。


 で、そのためには一度手前の、爺やの屋敷からエリナを人族の領域に派遣、品質の悪いもので良いから銀を、キロ単位で持ち帰らせねばならない。


 それまではコイツをどこかに……とりあえず手足を切り落とした後に断面は魔力を奪う金属で溶接してどこかに放り込んでおくこととしよう、その程度では死なないはずだし、動きも魔力も同時に止められて一石二鳥だ。



「カレン、奴の手足のみ切り落とせ、セラは魔力を奪う腕輪を、一番古くて汚いやつを出してくれ、ユリナは溶接……もうやるべきことはわかっているようだな、話が早くて助かるぜ」


「じゃっ、やりま~っす!」


「ん? 何だこの狼獣人は、というかどうして人族が魔族領域で……って、あれ? 急に手足が、これは誰の陰謀だっ!?」



 カレンの速攻、セラから腕輪を受け取ったユリナも速攻、ちなみに溶接時に目を保護するためのガードはなぜか精霊様が持参していた。


 あっという間に全ての動きを封じられたヴァンパイア、未だに状況を飲み込めず、お得意の陰謀論を唱えて支配下の馬鹿共を動かすことすら出来ていない。


 もっともその支配下たる3匹も、ミラ、マーサ、ジェシカの3人が分担し、一瞬で行動不能に陥れた。


 通常なら死んでいるはずだが、多少グチャッとされても死なないのがさすがヴァンパイア。

 この3匹ももし銀が余ったら処刑してやろう、その前に復活するかもだが、手足の部分のみ完全に消滅させておけば逃げたりは出来ないであろう。



「それでご主人様、コイツ、すぐには殺さないんですわよね?」


「ああそうだが、ユリナとサリナはまだこんな奴に用があるのか?」


「そうですの、コイツの話、ほとんどがお金儲けのために、適当に創作したデマだと思いますの」

「でも一部は他者から仕入れたそれっぽい情報なんじゃないかと考えて、ちょっと色々と話を聞いておきたいんですよね、もちろん痛め付けて、変な陰謀論じゃなくて真実を話すよう仕向けて」


「なるほどな、大半はガセだけど、元ネタのふどこかに真実が混じっているかもだからそれを追求してみるんだな、だがあんま深追いするなよ、お前等がわけのわからん陰謀論に染まり出したら更生させるのが大変そうだ」


「それは大丈夫、私もサリナも、さすがにそこまで馬鹿ではありませんの」



 裏で糸を引く闇の組織、裏の人間、その他表面上はまともだが、実際は悪い事ばかりしている企業など、陰謀論者が指摘する『巨悪』は枚挙に暇がない。


 もちろん陰謀論者の大半を占める『注目を集めて金儲けだけしたい者』が挙げているのは、本当にただターゲットにされただけの迷惑を被る被害者であろう。


 だが本当は、どこかにそういう悪い輩が潜んでいないとも限らない、むしろ陰謀論者とは、その『真に悪い奴』の存在をわけのわからんデマで掻き消すために用意された、陰謀側のエージェントなのかも知れない。


 などと考えているうちに、陰謀パイアの完全な拘束、そして処刑用の低品質銀塊をゲットするためのエリナの派遣も終わっていた。


 ユリナとサリナ、それから拷問係の精霊様は、早速陰謀パイアをボコボコにして、この世界の闇を解き明かすつもりらしい、まぁ特にこれといった情報は出てこないのだとは思うが。


 俺は既に俺達のものとなった巨大な屋敷に入り、適当に広い寝室を探して確保、そこを北の四天王城攻略における第二の拠点と位置付けた。


 あとやるべきことは前の拠点、即ち爺やの屋敷に居る馬鹿共、そしてエリナが一時王都に帰還していることによって護衛が居なくなったアイリスをこちらに連れて来るぐらいか。


 それも既にマリエルとジェシカが対応を始めているし、俺は早速ベッドに転がっているダラダラルビアさんの太股でも枕にしてのんびり……と、ユリナの足音だ、かなり急いでいるようだが、何かあったのか?



「大変ですのっ! 大変ですのっ!」


「どうしたユリナ、そんなに慌てるとコケるぞ」


「あいでっ!」


「ほらコケた」


「って、それどころじゃありませんのっ! 北の四天王様にあることないこと吹き込んで、良いように操っている奴の存在が確認されましたわっ!」


「かわいそうに、もう陰謀論に染まって……」


「違いますのっ!」



 完全に怪しいヴァンパイアの術中に堕ちたかに見えるユリナ、あまりにもかわいそうなので話だけでも聞いてやろう。


 どうやら北の四天王カーミラには重用している側近が居り、ソイツが調子に乗って純粋無垢なカーミラにデタラメを吹き込み、意のままに操っているとのこと。


 そして、その側近の言葉であれば何でも信じ、どんなにありえない主張でも100%擁護するカーミラは、もはやただ戦闘力が高いだけの操り人形と化している、そのような内容の話であった。


 何となくもっともらしいと感じる話なのだが、その出所が問題である。

 もっと別の連中からそういう話が出ればまた……そうだ、王都から元南の四天王、アンジュを召喚しよう。


 カーミラとも親交があるアンジュから直接話を聞けば、これまで話題にならなかったような些細なことから真実が見えてくるかも知れない。


 となればエリナだ、もう王都に向けて発ってしまったかもだが、すぐにどうにかこちらの意図を伝えなくては……

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